苦しみを「苦しい」と描く映画たち
こんにちは、華です。
映画やドラマを観るのが好きです。
ホラーにサスペンス、ラブコメからお仕事もの、アニメ、社会派と雑多に観ます。
原稿を書いているときにいちばんよく流すのは、ホラー&スラッシャー映画。
いわゆる「13日の金曜日」的なアホアホが好きで、100周ぐらいしている作品は悲鳴だけでシーンがわかります笑
「胸くそ映画」ランキングに入る作品はほぼ網羅しておりますが、現代社会の構造を取り扱ったタイトルはものすごく入れ込んで観てしまうため、二度めの視聴のハードルが一気に上がります。
そんなタイトルをいくつかご紹介します!
○「正欲」
新垣結衣さん、稲垣吾郎さんのダブル主演で話題になった作品。
特殊な嗜癖を持つひとびとを描いているのですが、こんなに暗いガッキー見たことない……!
背筋が震えるほどの演技でぶつかってきます。
稲垣吾郎さんは、歪んだ正義感を振りかざす検事役を見事に演じきっていて、「どういう道を歩んできたらこんな圧迫感を滲ませる人間になるんだ……?」とびっくりするはず。アイドル時代の王子さま然とした雰囲気を全力で壊してきます。
この作品で、稲垣さんの演技の巧みさを知りました。「逃げ恥~」のようなラブコメも大好きだけど、グラデーションが複雑な世界とどう折り合うのかという役柄も素敵です。
最近では石原さとみさん「ミッシング」、ちょっと前なら長澤まさみさん「マザー」あたりもおすすめ。
ひとりの俳優=人間は、けっして綺麗なだけで終わらないという凄みを味わわせてくれる作品群です。
○「あんのこと」
(※うまくリンクできていなかったらすみません!)
今回の記事を書こうと思ったきっかけになった一作。
多くを語るとあまりに無粋な気がするので、ぜひ、リンク先のあらすじだけでも見てください。
社会的弱者である女性「あん」(河合優実さん)が苦境からどう逃れ、どうやって成長し、コロナ禍でどうなるのか。
淡々と描かれるあの頃の東京。
前半とても賑わっていたラーメン屋さんが、コロナの緊急事態宣言を受けて休業となり、がらんどうになっているというワンショットがなんとも苦い。
東京が舞台となっているのも、コロナという未曾有のパンデミックを経験した者としても、とてもきつい視聴でした。
ついこの間、都民のわたし自身が覚えた閉塞感を再び疑似体験するとは。
ときどき息を詰めてしまいましたが、それだけ役者陣の演技とカメラワークが素晴らしかった。
自分のそばにはこういう現実がある。「リアル」な事柄をあからさまに描かれて、こころを揺さぶられたと陳腐なことを言うつもりはないにしろ、この作品が生まれた意味はかならずあります。
社会派ドラマを観るたび思うのは、自分が物理的にいますぐなにかできることは少なくても、こうした現実があるという気持ちを抱えるだけでも、日常の過ごし方、感じ方はだいぶ変わります。
みんな見た目は穏やかそうだし、大丈夫そう。
けれども、ベビーカーを押していたり、泣きつかれたお子さんをあやしていたり、ヘルプマークをつけていたり、杖を使っていたり、車椅子ユーザーだったり……ただただ具合が悪いひともいるかもしれない。もっと複雑な思いを胸のうちに秘めているかもしれない。
わたしもつねにどこかいたたたたたという人間なので、お互い譲ったり譲られたり。
家の中にいるとひととの距離感に疎くなりがちですが、外に出たときぐらい、目に入るものはしっかり確認していきたいです。
稲垣吾郎さん、佐藤二朗さんの演技も光るすぐれた社会派ドラマでした。
もう1本ぐらい紹介したいと思ったのですが、上記2本だけでもハード。
誰にでもおすすめできるわけではないのですが、マイノリティのつらさを描いた作品としては非常にすぐれているので、もし、ご興味がおありでしたら、ぜひ。
是枝監督の「誰も知らない」「怪物」もなかなか手強い作品。
「しんどいから観ない」、「フィクションぐらいしあわせでいたい」という声もよく聞きます。それはそれでありだろうな。万人に向けた映画ではないし……ただ、自分が「見ていなかったor見落としていた」ひと、時代、環境を描いてくれる作品は貴重です。
しあわせのかたちはひとつではないけれど、最低限の平穏を守るためにはなにが必要か、ロールモデルがあればそこに近づこうと思いますもんね。
理想のかたちはいくつもあったほうがいい。
そして、その逆のかたちも目にしておいたほうがいいよなと思う次第。
夜に観るのは落ち込むかもしれないので、昼間にでもぜひどうぞ。
最後までお読みくださりほんとうにありがとうございます。
また書きます!