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巨星

弦を爪弾く一音ごと、珠玉。
達人でいて仙人の風貌、
誰も追いつけない孤高の領域は
神々しくさえあった。

腕の良いギタリストは山ほどいる時代、
YouTubeでいくらでも出てくる。
彼はアコースティック・ギターの
フィンガーピッキングの先駆者であり
プロの演奏家の草分け、
確実にひとつの時代を切り拓いた。
そして岸部眞明氏や押尾コータロー氏など
弟子たちは人気ギタリストに成長した。

僕は彼の演奏を生で2回聴いた。
新宿は曙橋のライブハウス「Back㏌Town」。
演奏する彼からわずか4メートル位の席で
僕はギターの神様を
まばたきするのを惜しむように直視した。
巧な右手の指、爪の動きを追いかけていた。
その弦捌き、ピッキングが奏でる深い音色、
一音ごとに瑞々しく、雑味やむらのない調べ、
丁寧な消音、独自の世界観に憧憬を重ね、
真のプロフェッショナリズムを浴びた。
そう、プロとはこうあるべきなのだと。

 「The Sprinter」「Shadowy Key」
「東方美人」「Mahjong Piece」等、
クールで渋い楽曲と演奏は
半世紀以上の実績の証。

そんな御仁の訃報。
75歳で逝ってしまった…。

急啓
中川イサト様。

ビジネスパーソンである僕は、
先月も先々月も、
イサトさんの演奏をDVDで見て、
そのお姿、音色から、
自らのプロ意識を奮い立たせておりました。
深謝は尽きません。

イサトさんは永遠に、
アコースティック・ギター愛好者の
最大の憧れです。

イサトさんの魂は大空へ舞い上がり、
巨星となります。

 ありがとうございました。
合掌

 

 

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