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「やばい」の残響

昨日午後6時過ぎ、
東京駅丸の内の地下歩道を
同じブルーのスーツ姿の
6人の若きビジネスパーソンが
急ぎ足で僕を追い抜きて行きました。
彼らは何やらぼそぼそ言ってます。
「まじ、やばい、やばっ」

僕の気を引いたのは、彼らのほぼ全員が
その一言しか発していなかったこと。
会社の行事かクライアントとの約束で、
午後6時までに日比谷あたりまで
行かねばならなかったのでしょう。

彼らの後ろ姿が
「やばい」の残響と共に
遠ざかっていきました。

「やばい」の本来の意味は、
辞典(三省堂)によると、
「まずい状態に落ち入るさま
また、その時に発する語」。
「危ない」から
派生して言葉のようです。

ところでこの「やばい」。
最近、男女を問わず、結構な大人たちが
「やばい」という言葉を使う場面に
出くわしませんか。

例えば、グルメ番組では
タレントさんがお店の料理を一口ふくみ、「これっ、やばっ」と驚嘆し、笑顔に。
少し間を置いて「美味しい過ぎる」
と補足しています。

朝のTV通販番組で
電動マッサージ機を
試しながら女優さんが
「これ、やばっ」と気もち良さそうに。

日本語の乱れを憂う貴兄もいるでしょう。
でも、この「やばい」が、
ひとつのファッションになってる感すら
僕にはあります。

僕が小学生の頃、
(ごめんなさい、半世紀前ですが)、
かじり着くように観ていた
TVアニメ「ルパン三世」で、
第6話のタイトルが
「雨の午後はヤバイぜ」でした。

雨の日にルパンは峰不二子の誘いに乗り、不穏な騒動に巻き込まれる。
紆余曲折を経て結局、
不二子ちゃんだけが得をして終話。

あの頃の僕らにとって
「やばい」はカッコいい、大人っぽい、
キザな語感の言葉でした。
僕がなんぞは、気取って
「やばい」という言葉を使っていると、
先生や親に叱られたものです。
「下品な言葉を使いなさんな」と。
さしずめ昭和の残響のようです。

令和の「やばい」は
プラスの意味で使われるがことが多々。

例えば、会社で、ある企画を
プレゼンテーションした人に、
「先輩、これっ、やばいくらい
素晴らしいです」と言えば、
今や誰も不快感は抱かないでしょう。
(企画の内容の良し悪しは別として)

要は、「やばい」と「天国言葉」の
組み合わせなら、
誤解を生まない可能性が
高まるということ。

天国言葉や幸福ワードである
「しあわせ」「素敵」「ラッキー」
「ハッピー」「うれしい」「楽しい」
「ありがとう」「感謝してます」
「美味しい」「素晴らしい」 等
との組み合わせ。

「やばっ、うまっ!」
「やばい、幸せ過ぎる!」
「やばっ、大好き!」
「楽しすぎて、やばい!」

当然にTPOを踏まえた使い方も肝要、
品性が合わないという方もいるかも。
誰に対しても使えるフレーズでは
ないけれど、
気心の知れた仲間たちとの会話で使えば
「やばいほど楽しい」かもですね。

いずれにしても、簡略すれば
「やばい」=「すごすぎる(強調用語)」
ということで。

但し、辞典にもある
「まずい状態に落ち入るさま、
また、その時に発する語」
という意味で使うなら、
それなりの表情をださねば、ですね。

「やばい」の残響、
日常会話としては大いに有りです。

今日もお付き合いくださり、
ありがとうございました!!

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