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散歩窓にて。

去年より体重4キロ増。
覚悟はしていたものの、
一昨日の健康診断結果はやや痛く、
なんとか減量したいと、
僕は今朝早くからウォーキングに出た。

自宅から最寄駅まで歩いて25分。今朝のコースは、駅周辺の商店街までの往復50分。
その商店ゾーンにあるコンビニで、ついでに、朝食を買う。

歩き始めて10分の所に、
住宅街が一望できる高台がある。
朝日や夕陽が拝める、さしずめ青春の丘。
ここで僕は足を止め、青空と住宅地を眺めた。

何とも清々しい。
日常のモヤモヤを忘れる。
一軒ごと、人が暮らしている。
いろいろな喜怒哀楽が展開されている。
そんなことを思い描きながら、
かつて新幹線で出張にいくたびに
いつも車窓から眺めていた町並みを
思い出した。

車窓というスクリーンで、一瞬で流れ去る、畑の間にある住宅地。煙突と湯気。自動車工場や商店、食堂。こんなにも沢山の人たちが、息づいているということに、何故か心が揺さぶられた。
そして、疲れたふりをした自分の耳もとで、もう一人の自分が囁いたのだった
「大変なのは、おまえだけじゃないよ」。

そんなことを思いながら、その丘から坂を下り、商店街のコンビニ付近まで加速する。すると、数人の歌声が微かに耳に届いてくる。歩くほどに音量が大きくなる。
成る程、コンビニの二軒隣にカラオケスナックがある。夜通しで歌い続けている人たちだろう。疲れ知らずでなんとも楽しそうだ。しっかり発散しているのだろう。

僕は羨ましくもあり、
距離をおきたい気分にもなる。
僕も三十代の頃まで年に数回は
仲間たちとカラオケで
夜通しで歌っていた。
本当に楽しかった。

でも、今、もう一度それをやりたいとは思えない。僕はもう何十年と早朝4時前に起きて、遅くとも午後10時に就寝する。夜通しのカラオケで、生活のリズムが乱れることが、元に戻すのが、しんどい。勿論、仕事なら別のテンションになるのだろうが。

人生の折り返しを過ぎて久しく、
何だか年齢を言い訳に、挑戦心を失い、
億劫がっている自分に気付く。
身体は衰えるが、
精神は年を取らせてはならぬ、
ともう一人の自分が囁く。

「そんな感じだから、1年で4キロも
太ったんじゃないの!!」と。

帰路の坂道を上がっていく。
コンビニの手荷物の重さを感じながら、
朝の夏風が、優しかった。

今日もお読みくださり、
ありがとうございました。
健やかで穏やかな1日を
祈念いたします。

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