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ひとつの暇つぶし

今週木曜、職場の僕の席に
今日が最終出勤なのでと、
かつての役員が挨拶に来られた。
彼は60代半ば、40年以上勤め上げ、
このたび、ひとつの季節を終えた。

これからはどんなふうに、
との僕の問いに
何も決まってないとの常套句。
でも本当らしかった。
健康面はほぼパーフェクトで
血液検査等で異常値はなく、
まだまだ十分に働けるという。

でもその実、これまで役員だったので
この年齢でのその経歴がネックとなり、
なかなか再就職先が見つからないという。

なるほど、そうかもしれない。
長く役員を務めると、
再就職先となる企業は敬遠する。
かつての肩書が邪魔をする。

むしろ管理職経験もある、
というレベルのほうが
雇いやすいのだろう。

そういう意味で
定年退職後の準備は大切だし、
定年を迎えるまで会社にいるか、
その年齢に至る前に、
つまりは50代のうちに、去るかは
思案のしどころだ。

ところで、つくづく会社とは
有り難い所だと思う。
会社にこき使われ、
会社人生に家族を犠牲にした、
といった話を聞くこともある。

でも、一定の給料と様々な経験を
授けてくれるのが会社だ。
出世競争の観点は
自己成長という意味では賛成だが
劣等感などは全く不要、
巡り合わせもあり、何より、
自分の人生を生きているのだから。

ときにはしんどい業務もある。
でも経験した者勝ち。
未開のこと、未経験の仕事は、
一旦は不安ではあるが、
一度やってしまえば
経験則が生まれ、心落ち着く。

背伸びをせず去勢を張らずに
等身大の自分を見せれば良い。

様々な経験が人生の味わい、
自分だけの財産となる。

仕事の目的を、自らの成長のためでなく、
会社に尽くし、その分の名誉や地位を
得ることとすれば、いつの日か、
会社に裏切られた感が出てくるのだろう。

島田洋七さんが著した、
がばいばあちゃんの名言がある。
「人生は死ぬまでの暇つぶしぞ」
「暇つぶしには仕事がええ。
「暇つぶしながら金が貰えるから」

これぞ至言、金言。

為すべき仕事が目前にある。
これは、本当に有り難いこと。

働く時間、ひとつの季節。
決して肩書ではなく、
そして高額収入のためでなく。



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