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露出的、露悪的、自己中心的で自己満足
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2019年7月の記事一覧

本棚の裏側

そこにあった本棚 壁に持たれた隙間 テレビからの笑い声 夕飯の香り 入浴の音 駆け上がる階段の振動 窓を開けるサッシの軋み 時折、過ぎるバイクの爆音 全てを聞いていた本棚の裏側 昨日、捨てられて行った。

まったくさ

「地味に生きたい」って言ってたけど、 選んで出来るもんじゃないって事 充分わかっているのにさ 暗めの「口紅」いくら注してても どこかでバレてしまうから 「黒い衣裳」身に纏って 暗い夜道「踵の響き」消してもさ それでも「声」で悟られるから 誰とも「逢わず」に居る時に そうして「地味」が訪れるんだよ

Late Show

終電は、とっくに終わり 街に放り出された浮遊体の行く先は Late Show ガラガラの場内 最前列に陣取り 殆ど垂直に見上げるスクリーンと 殆ど視界から外れてる左右の映像 持ち込んだハンバーガーとコーラを両手に掴み 概ね興味の起きない予告編 濁って乾いたその二つのマナコで 瞬きもせずに黙読する 暗転、開始早々、爆音を合図に深い眠りに堕ちる 起きては、眠りに堕ちて、を繰り返し 一番楽しみのエンドロールで目を醒ます その美しく整列された文字の波紋に

闇の音

パタパタと叩く雨 カタカタと刻む秒針 ドクンドクンと打つ鼓動 グウォーンと唸る冷蔵庫

葱の唄

すっくと立った白い頭は葱坊主 すっくと立った白い頭は葱坊主 すっくと立った白い頭は葱坊主

空とコンクリート

羽ばたく事さえ出来ない翼を持った僕らは ずっと羽ばたく事をイメージして でも、きっとそんな勇気なんてないから 澄み渡る夏の朝日を浴びながら ジリジリと体温を上げ始めたコンクリートの屋上で 深く大きく伸びをする

好きになる事

理由なんて何もない 場所なんて関係ない 年齢なんてつまらない 兎に角、好きになったらそれ以外はどうでもいい だから、道を間違えて、すべてを駄目にしてしまうんだよ 大好きの1割引き位が丁度いい 多分ね そんな上手な事、僕には出来ないけれど

漆黒の虹

白昼の天空に架かる放物線 御影石色から黒曜石色へのグラデーション 通り雨の後の立ち昇る地球の香り 芽吹く野の花 蠢く獣 せせらぎからコバルト色の大海へ流れ着いた雫の束は やがて、再びあの天空へ旅をする