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〈季節の短歌〉なみうつきもち 春・キルギス/ウズベキスタン

春夏秋冬、それぞれ異なる街の風景を詠んだ連作短歌をお届けします。
季節と街に波打つ気持ちを、31音の響きに込めて。
(著者/人子一人)



写真:ブハラの旧市街

「時空の十字路」収録短歌一覧
白波が山にぶつかるその麓 三月の雪、首都に残って 
ビシュケクに海はなくてもスシはありペテルから飛ぶピンクサーモン
柘榴の実割れば魚卵(イクラ)のようであり聞けば多産のシンボルと言う
雪が降る海の向こうの同胞が故郷に建てた小さなモスク
青空に祈る両手と曇天の凍る港で働く両手
ティムールは海を目にしたのだろうか アジアの覇者の霊廟青し
砂色の古都に聳えるミナレット灯台に似て信徒導く
新年(ナウルーズ)の杏の花に光差しかもめのように青空に舞え


短歌・写真:人子一人(ひとこ・ひとり)
2000年、東京都生まれ。日本経済新聞、毎日新聞歌壇などに掲載。連作に「新宿海底」(SLOW WAVES issue01)、「遠泳」(SLOW WAVES issue02)。


SLOW WAVES 海の文芸誌
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初回アップ日:2024年4月28日(日)
責任編集:今枝孝之


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