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港区 新橋赤レンガ通り界隈
スローリー余話
街の”なりたち”#33
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新橋2丁目の外堀通りから新橋6丁目の芝方面へ約1キロ続く『新橋赤レンガ通り』。江戸期にはこのあたりから愛宕山にかけて武家屋敷が並んでいました。その後、明治初期の大火により政府が推進した防火に優れた赤レンガ造りの『清隆館』という勧工場が出来たことが名前の由来といわれ当時は洋家具の問屋が軒を並べていたそうです。そして世紀を超え平成の時代に『新橋赤レンガ通り』の新橋四丁目辺りは大きくかわります。
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(写真左は汐留方面・右は虎ノ門方面)
関東大震災後の帝都復興計画にあった「東京都市計画道路幹線街路環状第2号線」(通称:マッカーサー通り)が完成し交差することになったのです。この道路が開通する前には『赤レンガ通り』に面していた大正元年創業の和菓子店『新正堂』には”あの名物”があります。(以下、2023年7月発売『東京Slowly² vol.1』より)
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歓談がうまれる“美味しさ”
新橋 新正堂
新橋の「新」と大正の「正」をとって「新正堂」と名付けられたという1912(大正元)年創業の和菓子店。発売から30余年、今や名物となった『切腹最中』はユニークなネーミングで有名になったが、そのはじまりはお客さまから「お宅のあんこは美味しい」という会話から生まれたという。その「あんこ」を多くのお客さまに愉しんでいただく為に「最中」に。皮の美味しさと「あんこ」をアピールするために形状にもこだわり「あんこ」に中に「求肥」を入れることによってユニークな姿になったという。そして当時の店舗が忠臣蔵の浅野内匠頭が切腹した屋敷跡にあったという由来から付けられた名称『切腹最中』。反対も多かったが決断したのは三代目・渡辺仁久さん。笑顔の絶えない“話好き”のご主人だ。
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その流行のきっかけは取引先に謝罪に向かうお客さまとご主人の会話であったという。その謝罪の手土産として選ばれた『切腹最中』がメディアで話題になり、その原材料へのこだわりと製法による美味しさも併せて瞬く間に人気商品に。緊張した場面でも「ちょっとひといきいれましょう」という瞬間に提供される機会が多い和菓子。そんなタイミングで『切腹最中』があれば話が弾むことも多いであろう。さらに今では『景気回復最中』も加わり美味しさの笑顔とともに弾む歓談が一層増えている。かつて「サラリーマンの街」とも言われた新橋に人々を笑顔にする美味しさとアイディアが待っている。
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新正堂
〒105-0004 東京都港区新橋4-27-2
tel:03-3431-2512
営業時間:月~金 9:00〜19:00 土 9:00~17:00
休:日・祝(8月は土・日・祝)