見出し画像

築地 築地本願寺

スローリー余話
街の”なりたち”#16

初代・安藤広重によって描かれた「江戸土産-築地御坊」
写真提供:中央区立京橋図書館

1657(明暦3)年の大火によって、それまで浅草横山町(現在の東日本橋周辺)にあった西本願寺の再建の為に湿地を埋立て「土地を築いた」ことから『築地』と呼ばれる”街”。この「土地を築いた」のは徳川家康と特別な信頼関係をもって佃島の埋立に成功した「佃島」の本願寺の門徒衆が中心となって行われました。埋立は旧ピッチで行われ翌年には仮の本堂が立てられ1679年には大屋根を持つ立派な本堂が完成して「築地御坊」と呼ばれるようになり、船乗り達の航海の目印にもなったといいます。現在のコンクリート造りで仏教の聖地インド風の本堂は関東大震災後に日本建築の父と呼ばれる建築家・伊東忠太東京帝国大学名誉教授によって設計されたものです。

「開かれたお寺」として現在も多くの参拝客が訪れる『築地本願寺』には、特別な精進料理があります。
(以下、2023年10月発売『東京Slowly² vol..2』より)

清らかに端正に、思いを馳せる
功の多少を計り、彼の来所を量る

「精進料理」で心を清める

日本料理
紫水

浄土真宗の開祖親鸞上人は、肉食妻帯を許し、その代わり近親者の命日には肉食を避け、身を清める「精進日」をつくったという。
鎌倉時代の仏教と共に日本に伝来した精進料理は、中国の修行から戻った層により披露再現され、その寺の食事に取り入れられ、寺周辺近隣の食文化に大きな影響を与えた。大きな寺では、食事を作る典座という僧が配置されていた。制限の中で工夫を重ね、より美味しく食べられるものえお追求して、羊羹や饅頭など多くの献立を開発した。ここ「日本料理 紫水」で提供される精進料理も、仏教文化の制約の中で鎌倉時代からの工夫を継承した正統な膳と精神を伝えている。端正な朱塗りの折膳の中に手間暇惜しまず作り込んだ数々のもどき料理と厳選した食材から滲み出す素材の滋味が味わえる。

日本料理 紫水
東京都中央区築地3-15-1 築地本願寺第一伝道会館内
電話:03-3444-0551
営業時間:11:00-21:00
定休:年末年始