見出し画像

割れたタカラガイ収集

ついに出会えてしまいました。背面が割れたタカラガイをたくさん拾えるビーチに。ぼくは基本的に秘密が大嫌いで、なんでも軽率にベラベラと喋ってしまう良い加減の男。楽しみは共有していきたいので、正直に場所を明かしたいのですが、すみません、ここだけは当面内緒。

タカラガイは背面の文様、艶やかな光沢感、色彩の美しさ、風情、多様なバリエーションから世界中にコレクターがひときわ多い巻貝です。

上がキイロダカラ、下がハナビラダカラ。同じ環境から安定的によく打ち上がるため貝貨に利用された

古来、人類はタカラガイに魅せられ、神秘的な装身具として身体に飾り留めたり、紀元前1,600〜1,046年に栄えた中国の殷王朝をはじめ、フィリピン、インド、アフリカなどでは「貝貨」という貨幣に活用していた時代もあり、漢字の「貝」は貝貨として最も多用されたキイロダカラの形から生まれたそうです。

ですから、魅力的な背面が割れたタカラガイに手を伸ばすなんて酔狂の極みと呆れられても仕方ありませんね(笑)。

背面の文様には確かに惹かれますが、ぼくの心をより捉えのは腹面です。外套歯と呼ばれるギザギザの造形、内唇、外唇のふくよかな丸み、そして何より海流や風雨、波と砂に研磨されエイジングを重ねた佇まいの虜となるのです。背面がひどく割れても、腹面はほぼ原型を保っている。その頑強さにも心底、驚嘆しちゃう。タカラガイをお守りとして纏う人たちは、おそらく腹面の強固ぶりに永遠の生命を想起して、あやかりたいと祈念したのではないでしょうか。

その想像を確信したのが、国立民族学博物館(みんぱく)のコレクションを展示した『ビーズインアフリカ』展。我が家の前に立つ県立近美葉山にてタカラガイを施した装身具の数々を観たとき、タカラガイの腹面だけを呪術的に崇めるアフリカ民族の霊性、感性に心底感服し、彼ら先人のアートワークをリスペクト。ぼくも真似して作ってみたいと憧れを抱きました。

とりわけコンゴ民主共和国の『クバ』というタカラガイ尽くしの帽子が素晴らしい。ビーズとともに帽子表面を埋め尽くすように配されているタカラガイは明らかに背面が割れています。コンゴの一部は南大西洋に面してますが、その海岸には背面が割れたタカラガイがたくさん打ち上がるスポットがあるのでしょうか。あるいは糸で縫い留めるために何らの方法で背面を加工したのでしょうか。ものぐさな自分には後者の加工がとても手間に感じるので、簡素にクバ制作を進められそうな背面割れのものをせっせと集め始めた次第です。

タカラガイ背面を写し、大きくプリントしてディスプレイしている居間の「マイ神棚」コーナー近くにタカラガイ尽くしの自作クバを掛ける。ベースとなるフェルト帽子は手元にあるし、収集に絶好のビーチも見つけた。漠然とした夢が俄然、現実味を帯びてきましたよ。

#タカラガイ
#クバ
#みんぱく
#ビーチコーミング

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?