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悲しみは所有から、怒りは堆肥に。平和の種を育てよう!「今、ここにある未来」上映会活動報告

こんばんは。ここさんぽの中川です。
昨日は畑で里芋や葱を収穫しました。
お手伝いを終えた子どもたちは、刈った里芋の葉っぱを傘のように持ちながら、畑の畝の周りを踊っていました。
トトロがドングリの芽を出すシーンのようでした。
畑の帰りは健美の湯に入ってあったまりました。


映画

今週月曜日はゆっくり小学校、ナマケモノ倶楽部企画の映画「サティシュ・クマールの今、ここにある未来」を上映しました。

持続可能な社会のための3つのS

先月上映した映画「サティシュの学校」では、人生を美しくするための3つのS、
Slow、Small、Simple、スロー・スモール・シンプルを学びました。

今回の映画では、持続可能な社会をつくるための3つのS、
Soil(土)、 Soul(心)、 Society(社会)を教わりました。

私たちは土から生まれ、土に還る存在です。
私たちの衣食住、すべては土に支えられています。
私たちの都市生活では土は切り離され、科学技術は土に代替しようとしていて、私たちは土の存在を忘れがちです。
ですが、私たちの足元を一番下で支えているのは土です。
アスファルトの下には土があります。
米、野菜や果物などの食べ物も、衣服の綿や麻や染料も、家の木材も、土から生まれます。
土なしでは私たち生き物は生きていけません。
このため「土」がまず重要です。

また、自分を大切にすることで、健やかで幸せになります。
自分が幸せになると、他の人、他の生き物、地球を大切にすることができます。
このため、次に「心」が重要です。

そして、社会経済システムに不公平があるため、多くの人が飢えている一方、大量の食料を廃棄する無駄が生まれています。
このような課題を解決するため、フェアに分かち合うことで誰もが生きられる「社会」が重要になります。

土・心・社会が一体となって、私たちはホリスティックな活動をすることができます。

たとえば、野菜や果樹を育てて、土を敬う。
楽しく畑仕事、料理や染色、木工をしたり、穏やかに詩作や瞑想することで、喜びを見出し、心に栄養を与える。
出来上がった物を分かち合ったり、技術をシェアしたり、他の人に手渡していく仕組みをつくることで、社会をつくる。

このように土・心・社会の美しい循環ができることで、平和の種が育っていきます。

私がこれまで見てきた技術論や専門書などでは、1つの分野テーマに絞って完結する話が多かったので、このような広い分野にまたがるホリスティックな考え方はとても新鮮でした。
1つの分野での成長が別の分野に影響を与えて響き合う、わくわくする学びと実践の多層的な循環が生まれそうです。

怒りの手離し方

3つの「S」を大切にして、平和な社会を育てたいものですが、人間なので、怒りや悲しみの感情にとらわれるときもあると思います。
サティシュさんは怒りの種は誰の中にもあると言います。
同時に、愛と慈悲と寛容の種を誰もが持っているとも。
サティシュさんは、知恵とは、怒りの種を育てずに、愛と慈悲と寛容の種を育てることだと言います。

良い庭師が棘のある植物に腹を立てたりせず、静かに棘を抜き取って堆肥にするように、私たちは怒りを堆肥にして、平和の種を育てようとサティシュさんは教えてくれます。
怒りに囚われていては、心がどんどんネガティブになり、エネルギーの無駄遣いです。
怒りでいちばん苦しむのは、自分自身です。
怒りを糧に平和の花を咲かせようとすれば、怒りのエネルギーを穏やかに変えることができます。
暴力的な活動よりも、非暴力的な活動の方が成功率が高いというデータもあるそうです。
怒りの感情に縛られずに、平和の種を育てることに注力したいですね。

悲しみの手離し方

また、悲しみや不幸せは所有という概念から来ているとサティシュさんは言います。
「私の物」を失うから悲しいと感じるのだそうです。
たしかに、他の人が何かを失ったという話を聞いても「それは大変だったね」と言うくらいで、そこまで悲しむことはありません。
ですが、自分が何かを失くしたとなると、とたんに動揺し、落ち込み、悲しくなってしまいます。
自分の物を失くすと、小さな物でも、延々と後悔し続けることがあります。
これは所有の概念から来ていたんですね。

旦那さんを亡くされた加藤登紀子さんは、サティシュさんに対し、悲しみについて尋ねました。
サティシュさんはそれに答えて、
「私の夫を亡くした」と思えば悲しみですが、
「夫はいつも私と共にいる」と思えば、悲しみは愛と慈悲に昇華して、美しいものになると言います。

私の大事な何かを失くした、ということにフォーカスするのではなく、
「私はこれを大事に思っている」、
「これのことを思えば幸せな気持ちになる」
という自分の愛情にフォーカスすれば、悲しみはなくなるということだと思いました。

これを聞いて、私はヴィクトール・フランクルさんの「夜と霧」のエピソードを思い出しました。
愛する妻と離れて強制収容所に収監されたフランクルさんが、収容所生活の中で非常に苦しい局面に陥ったとき、離れた妻の愛を強く感じて乗り越えるシーンがあります。
しかし、フランクルさんが収容所から生還した後でわかったのですが、フランクルさんが妻を思って勇気づけられたその時には、既に妻は亡くなっていたそうです。
妻が亡くなっていたときに、フランクルさんは妻への愛で難局を乗り越える力を得ました。
このエピソードを知り、愛する人が今どうしているかではなく、自分のその人に向ける思いによって、希望を持つことができるのだなと感じました。
愛する人がそばにいないときでも、「愛する人は私と共にある」と感じて、愛から力を授かることができます。

また、今回のサティシュさんのDVDブックの編集後記で発行人の上野宗則さんが紹介してくれたサティシュさんの問答エピソードも大変勉強になりました。
「関係性と執着の違いは何か」と問われたサティシュさん。
そのとき椅子に座っていたサティシュさんは、今自分は椅子に「関係」していると言います。
サティシュさんは、椅子に執着する例として、椅子をお尻にくっつけたまま歩き回るパフォーマンスをして、周りを笑わせたそうです。
そのあと椅子から離れると、
「椅子さん、ありがとう。私を休ませてくれて。さようなら」
と言ったそうです。

椅子に座ること、感謝することは「関係」ですが、どこに行くにも椅子を持って歩くことは「執着」であることがよくわかる例ですね。
関係が変化することを受け入れ、今ある状態をありのままに受け入れる、柔軟な姿勢だと思います。

世界平和のつくり方

現在、私たちは争いの時代を生きていて、争いを終わらせたいと思っても、私たち個人で世界中の争いをすぐに解決することはできません。
ですが、平和への思いを発信することは、誰にでも、すぐにできるとサティシュさんは教えてくれます。
小さい個人間の争いが、世界の大きな争いにつながっているから、個人が平和を発信することはとても大切です。
「お先にどうぞ」、「いやあなたこそ」と譲り合う人々の間には、争いは起こらないそうです。
どちらが先に行くかは、大した問題ではありませんとサティシュさんは言っています。

「どちらが先に行くかは大した問題ではない」というサティシュさんの言葉は、私には衝撃でした。
順序が大事、早く移動することが大切だと、スピード重視、規律重視、個人重視の生活の中で思い込んでいたからです。
大したことのない順番や早さの問題を、いつの間にか「食うか食われるか」という死活問題のように深刻に捉え過ぎていたように思います。

サティシュさんの言葉を聞いてから、電車の中では積極的に席を譲るようにしたいと思いました。
電車の中で立ちにくそうな人を見つけたら、遠くでも、乗車後しばらく時間が経っていても、気づいたときに声をかけるようになりました。
優先席前に立っていても座れない人が多いので、普通の席を譲ると喜ばれます。
声をかけてみてよかったと思います。
声をかけても、色んな事情から座らない方がいいと言われて、結局席を譲れないこともあるかもしれません。
ですが、席が何も変わらないときでも、相手を思って声をかけるという行為が、平和を生み出す小さな種になります。
優しくされた経験がある人、優しい行為を見た人は、自分も他の人に優しくしようと行動すると思います。
こうやって平和の種は育っていくんだと感じました。

11月3日の東京でのサティシュさんの講演会で、
「結果は出なくてもいい。
愛に基づいた小さな行為そのものに価値がある。
あなたにできることをしてください。
美しい思い、言葉を口にできれば、それで十分。」

と教えてくれました。

結果を出さなければと思うと、万全の状態で臨まなければと気が張って、なかなか行動に移せません。
ですが、美しい思いを口にするだけでいいなら、気負わずリラックスして、小さなことから始められます。
結果が出ないことで、自分や他人、社会を責めることもありません。
勇気が出て、救われる教えだと思いました。

サティシュさんが今年11月に出版した「ラディカル・ラブ」の中で、サティシュさんはチェコスロバキアの民主化を率いたヴァーツラフ・ハヴェルの言葉を紹介しています。
「希望とは、何かがうまくいくと確信することではなく、それがどの程度うまくいくかに関わらず、でもやっぱりこれが道理にかなっていると確信すること」
結果を気にせず、自分の良心にしたがった行為をすることが希望なんですね。

結果や見返りを求めず、自分が信じる愛に基づいた小さな行為を続けていきたいと思います。

感想紹介

参加者の方の感想を紹介します。

「まず最初に「日本人は自信を持って」とサティシュさんが言われましたが、全くその通りだと思いました。
政治も経済も悪いので日本人の意識が下がっていると、私は憤っていました。

しかし「人間の心は畑、怒りの種を育ててはいけない」、
政治家「個人ではなくシステムが悪い事に気づきなさい」、
政治への「怒りを堆肥として」良い種を育てなさい。
「平和のためにできることは、まず自分が平和に生き、平和への思いを発信すること」と、
ズバリ指針を教えられたように感じました。  

その他、パン作りはプロセスが大切、
仕事を遊びとする、
自然の中を歩く…など、なるほどと思う教えを戴けて満足しています。」

サティシュさんから指針を得られて満足しているとのこと、嬉しい限りです!越谷で上映会を開催してよかったなと思います。
たしかに個人や組織の不正などから怒りを感じることは多いですが、システムが悪いことに気づくというのは大きな考え方の転換ですね。
政治への憤りを、サティシュさんの教えに当てはめて平和への指針にしていて、具体的ですね。
また、他人や組織を変えようとするのではなく、自分が平和に生きて発信するというのも、非暴力的で持続可能な活動です。
平和への思いを発信されるのを楽しみにしています!

「映画のシーンで憧れの場所の銀座が、怖い場所に感じた。
自分もメディアや人の価値観で自分の幸せを決めてしまっていて、不足感を常に感じている部分があると気付いた。
私が所有していると思うことが、悲しみや怒りを生むという考え方を知れて、これからの生活でそのことを消化していきたいと思った。」

銀座が怖く感じる、私もそう思いました!
映画の中でサティシュが普通の観光のように銀座のスポットを色々巡るんですが、どこか浮かない顔。
後で銀座の虚飾についてズバズバと語っています。
たしかに、銀座は美しい商品や広告がきらびやかに並びますが、一歩引いてみれば無数の高い建物ばかり、土もなく、人が生きていくには不自然な場所です。
銀座のシーンの後、サティシュが加藤登紀子さんと里山を散策する場面の方が、ずっと自然でのびのびして美しい感じがしました。
メディアや広告の影響で、最新のトレンド、世界の高級品が集まる銀座は美しい街だと刷り込まれていますが、自分の本当の幸せに必要なものが何か、意識する必要がありますね。
所有という概念についてこれからの生活で消化していくとのこと、素晴らしい取り組みです。
私も分かち合い、循環、信頼を大切にしていきたいです。

感想シェア会では、
「普段、話したくても話し辛いことも、聞いてもらえる環境で話し易かった。 違う考えに触れられてよかった。」
というご感想をいただき、地域でのつながり、安心、情報のシェアができてよかったと思います。
感想シェア会から参加してくださった方もいました!
感想シェア会を楽しみに、大切に思ってもらえていることが伝わってきてとても嬉しかったです。

最後に、参加者の方から届いた映画の実践のアイディアです。

「平和の種を育てたいですね。」
越谷で平和の種を蒔いて育てましょう〜!

「コンポストをしてみようと思った。
パワーとフォースの話しを聞いて、人を変えよう、動かそうとするのをやめてみようと思った。」

コンポストいいですね!
怒りも生ごみも、コンポストでよい堆肥やエネルギーになって循環していきます。
人を動かそうとしない考え方も素敵です!

ちなみに、生ごみは9割が水なので、生ごみの輸送、焼却には多大なエネルギーをロスします。
焚き火に水をかけて、消えないように石油を追加するようなものです。
生ごみはコンポストがおすすめです。

Green drinks mini

サティシュさんの映画上映後は、河原でGreen drinks miniを開催しました。

グリーンドリンクスは、イギリスから世界に広まったイベントで、環境やサステナビリティーなどのテーマに沿ったトークを飲み物片手に楽しみながら行うイベントです。
日本でも各都市で開催されています。
グリーンドリンクスのルールは、誰でも参加できること、シンプルであること、ローカルであること、自由な議論の場であること、楽しいこと、などです。

ここさんぽは個人で、スモール・イズ・ビューティフルを大切にしているので、Green drinks miniということで、河原にレジャーシートを敷いて、小さく開催しました。
マイカップ持ち込みで、赤ワインやリンゴジュース、越谷のジャム、バター、ビスケットなどを楽しみました。

子どもたちはおやつや飲み物の合間に河原の芝生を駆け回ります。
大人はそれを見守りながら、河の流れの前で、グリーンでエコな話題に花を咲かせました。
草履、裸足で森や田んぼに入ること、シャロムヒュッテ、コンポストなどです。

風が強く、途中袋が飛ばされる場面がありましたが、お酒を飲んで座っている大人はすぐには立ち上がれません。
河原を駆け回っていた子どもたちがすぐに駆け付けて袋を拾ってくれました。
二人がかりで真剣に風で揺れる袋の動きを見ながら、じりじりと近づき、ばっと捕まえました。
大人から子どもにお願いしていなくても、大人が困っているのを自分で感じて、颯爽と助けてくれました。
おかげで大人は千鳥足にならずに済みました。
大人は子どものおやつを用意して見守る、子どもは自由に過ごして時々大人が苦手な部分で大人を助けてくれる、お互いを支え合える関係があっていいな~と思いました。

いただいた感想です。

「ワインやジャムなど普段飲食したことのないものを味わえて良かったです。美味しかったです、ご馳走様でした。」

「気持ち良い場所で赤ワインが飲めて、子ども達はお友達と楽しく走り回っていて最高でした。」

楽しんでもらえてよかったです!私も楽しく、大満足でした!
まだ明るかったらもうちょっと赤ワインを飲みたかった…!
また花見の季節などに開催したいなと思います!

シャロムヒュッテのサティシュさん

Green drinks miniで話題に出たシャロムヒュッテのサイトを見ていたら、サティシュさんがシャロムヒュッテに滞在したときの素晴らしい記事を見つけたので、ご紹介します!
シャロムヒュッテは、TERRAの映画で出た長野のパーマカルチャーのゲストハウス、シャンティクティのオーナー夫妻が、シャンティクティの前に経営していた山荘です。
サティシュさんが平和巡礼のために2年半徒歩で世界各地を旅したとき、出発前にサティシュさんが師から授かった教えとその意図が書かれています。

まず、お金は一銭も持っていくべきではないとのことです。
お金が人と人との本当の関係を邪魔してしまいます。
お金がなければ、必然的に人と話す必要が出てくるし、様々な新しい交流がそこから生まれてくるそうです。

次に言われたのは、ベジタリアンを貫くことです。
自分たちがベジタリアンであることを話すと、自分たちの非暴力と平和の理念を説明するきっかけになるからです。

3つめは、遠回りになるけれども必ず人が住む地域を通ることです。
何も持たずに旅する彼らにとって、道中に住んでいる人達こそが、彼らを生き長らえさせ、旅を続けさせてくれるまさに守護神となるからです。

非常に含蓄に富んだ教えですね。
一般的な旅の常識からはかけ離れていますが、平和巡礼を行おうとしたサティシュさんの旅の目的にしっかり沿っていて、巡礼をより意義深いものにしています。

シャロムヒュッテのサティシュさんのリトリートの記録は、下のリンクから読めます。


今後の予定

寒さが強くなってきていますが、ここさんぽは秋冬も元気に活動します!
散歩、映画など企画がたくさんありますので、温かい服装で気軽に遊びにきてくださいね!

11月16日(土)10時00分~13時00分
@越谷市 レイクタウン
レイクタウンで遊ぼう!散歩会

12月21日(土)13時30分~16時00分
@越谷サンシティホール視聴覚室
「ヴァンダナ・シヴァのいのちの種を抱きしめて」上映会、感想シェア会 

12月14日(土)
@越谷市 花田苑
花田苑で紅葉とどんぐりを探そう!散歩会

2025年
1月18日(土) 14時30分~17時00分
@Happy Wing ~羽根さん家~ ※越谷駅東口徒歩約5分
「美しき緑の星」映画上映会、感想シェア会

2月2日(日) 13時30分~16時00分
@越谷市市民活動支援センター
「バレンタイン一揆」上映会、感想シェア会 企画中

2月21日(金) 18時30分~21時00分
@越谷市市民活動支援センター
「医学生 ガザへ行く」上映会、感想シェア会 企画中

皆さんにお会いできるのを楽しみにしています!

遊んで学んで休みたい!ここさんぽ









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