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主催(しょうご)が自由に書いたもの

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#夢十夜

夏目漱石『夢十夜』第三夜 読書会 主催者の感想

第三夜はおぶっていた偉そうで盲目な自分の子供が、実は100年前に自分が殺した人で、最後石のように重くなるというホラーちっくなお話でした。 読書会では盲目であるはずの子供が、明晰に周りの状況を把握し、未来を言い当てるところに注目しました。ぼくはこのことついて、文学を読むときのスタンスと絡めて考えました。ぼくは文学について他の学問とは違い、知識がある状態(周りが見えている)よりも知識がない状態(盲目の子供)のほうが優位性がある場合もあるものだと考えています。例えば『夢十夜』を読む

『夢十夜 第一夜』についての考え

夢の話をする際よく、夢の中/目覚めた状態、を非現実/現実、の構造で語られがちです。例えば、映画『インセプション』の世界ではその構造で成り立っており、ここは夢の中(非現実)なのか目覚めた状態(現実)なのか混同してしまうという内容になっています。 対して、この『夢十夜』で語られている夢には、非現実/現実の構造ではなく、強い現実性しかないと感じました。それを考える上で、神の二つ能力について参考にしていきたいと思います。次の文章で言う、潜勢力とは、内に潜んでいて表に現れていない力の