日光浴と免疫力 [父親目線の小児白血病闘病記] 僕は君を守れるか Vol Ⅱ-9
そして美月(娘)は退院しした。
4年前の化学療法の時を上回る、10ヶ月の入院生活だった。
H先生の「退院ししてもまた直ぐ入退院をく繰り返すことになるかも」と言う言葉が重くのしかかり、
妻も僕も、4年前の時の様に、手放しでは喜べなかった。
それでも美月には、闘病生活に耐えたご褒美が必要だ。
そこで、我が家は、学校が始まる前に、
ディズニーランドへの家族旅行を計画した。
そして僕には、あるたくらみがあったんだ。
僕の父親は戦災孤児で、ろくな教育も受けていなくて、子育ても母親に任せきりだったけど、健康については一つだけ持論を持っていた。
それは、「おひさまに当たれば病気は治る!」と言う考え。(笑)
いつだったか、幼少の僕が水疱瘡になった時、まだ水疱が引かない内に海水浴に連れて行かれて、しっかり跡が残ってしまった。(笑)
そう、久々の家族旅行で、美月には、いっぱい楽しんでもらい、
いっぱい陽の光を浴びてもらおうと企んでいたんだ。
ちょっと、民家療法みたいなヤバい話?って、思われたかもしれないけど、僕には根拠があった。
それは、以前に抱いた疑問。
[骨髄移植の成否は、結局のところ、GVL効果じゃないのか?]と言う疑問。
美月の血液は移植後3ヶ月経っても混合キメラの状態だった。
皮膚が赤くなるとか、下痢とか、多少のGVHDらしき反応もあったが、以前、ルークトークで聞いていた患者本人さん達の酷いGVHDの症状からしたら、随分と軽いモノだと言う印象を持っていた。
つまり、美月と正広(兄)の血液は余りに親和性が高くて、GVHDもGVLも弱いんじゃないかと。
だとしたら、もっと免疫を活性化してGVLを誘発したら良いはずだ。
骨髄移植を受けた人に渡される、移植後の生活上の注意として、[長時間のに日光浴は避けるべき]と言うのがある。
これは、紫外線を浴びることで、GVHDが誘発されることに起因する、注意喚起だ。
GVHDとGVLは諸刃の剣
紫外線を浴びてGVHDが誘発されるなら、GVL効果も発揮されるはずだ。
日光浴で免疫の活性化が起きるのは、あながちマユツバの話ではない。
それが僕の考えたことなんだ。
この事は、妻も了承してくれた。
そして、旅行当日、
おとぎの国の空は、雲一つない快晴だったんだ。
〜日光(紫外線)による免疫への影響〜
日光(紫外線)が免疫に及ぼす影響については
相反する二つの効果が言われている。
A:一つは僕の父と同じく、お日さまで免疫力が上がると言う意見
その根拠として、
ビタミンDが生産され、NK細胞、マクロファージが活性化される。抗菌ペプチドが生産される。
(↓の外部サイト参照)
B:もう一つは皮膚科で言われている事で、免疫力が低下すると言うこと
その根拠は
紫外線を浴びると制御性T細胞(免疫のブレーキ担当)が活性化するとされる。
ただ、Bに関しては
制御T細胞の活性化はあくまでも過剰な炎症反応・サイトカインストームを制御する為の反応だと考えられ、
=免疫力の低下と言うのは言い過ぎのように思える
またGVHDと類似した膠原病においても
日光(紫外線)を禁忌としていることから、
免疫の活性化と無関係ではないと思うのだ。
*注意
今回の記事の内容はGVL効果を主眼においた、僕個人の見解です。
本文中にもあります様に、
GVHDにおいては、日光(紫外線)が禁忌である事に変わりはないので
その点については、ご留意ください。
この闘病記、
僕は君を守れるか_序章_元疾患編 indexはこちら
僕は君を守れるか_破章_骨髄移植編 indexはこちら
僕は君を守れるか_急章_生体肺移植編 indexはこちら