朝マック行こ‼️🍔🍟🥤
生まれて初めて朝マックに行った。
ここ数ヶ月ほぼ毎朝行く行かないで迷っていた、私の中で今最もホットな飲食店であるマクドナルドの午前7:00〜10:30限定のメニューを食べてきたのである。
朝はめんどい。これは枕草子にも書いてある。朝起きて顔を洗って歯を磨いて日焼け止めを塗る。これら一連の作業のことを思うだけで既にめんどうくさい。この体たらくではいつまで経っても出かけられる気がしないので、歯を磨いただけで外に出た。
初夏の日差しがタイル状に敷き詰められたコンクリートを照らして真っ白に光っているのが、徹夜した重い瞼にしみて目が眩む。見上げれば街路樹の葉をすかして陽光が射しこむ。快晴の空は抜けるように青くてやはり眩しい。あたりはうんざりするほど明るく、そして思いのほか暑い。通勤中のサラリーマン、学生、先を急ぐ人、散歩する犬、どこの誰だか、見知らぬ雑多な人たちとすれ違い、横断歩道をいくつか渡って、くらくらしながらたどり着いた近所のマクドナルドは静かだった。
ソーセージエッグマフィンとハッシュポテト、白ブドウジュースをまごつきながら注文する。隅の席について昨日届いた本を開く。タイトルを捲ったところにエピグラフが挿入されている。
「お前を舞踏会に行かせてやろう」
数ページも読まないうちに注文した品が届く。さすがファストフード。本を片付けてストロー付きの冷たいジュースに吸い付くと、直射日光でからからに干上がった喉を冷やしてくれた。白ナプキンの上に置かれたハッシュポテトから染み出した油のシミがナプキンの色を濃くしている。マフィンの方は、バーガーと同じような包紙に覆われて内情が伺えない。マクドナルドで朝食を。洗い立てのシーツみたいにピカピカした、この最大限に上等な食べ物たちがちんまりとトレーに鎮座している。
人のまばらな朝のマクドナルドの片隅で、油のしたたるようなハッシュポテトに齧り付きながら、今日はきっと良い日になるという予感が確かにしていた。ソーセージとたまごとチーズの挟まったマフィンを齧る時間にも、ばくぜんとした、未来への明るい期待があった。
食べ終わってからもしばらく小説を読み進めて、主人公が裸でお屋敷をうろつき、子牛肉とハムのパイをむしゃむしゃ食べ、ビールをぐいとやるところまで読んでから店を出た。一日の滑り出しがこういう具合になった訳だから、もちろん素晴らしい一日になった。
これを読んでもまだ朝マックに行くか毎朝迷っているそこの君!お前!あなた!