ルヴァンカップ・マリノス戦~久々の複数得点
2022年8月3日 ルヴァンカップ準々決勝 サンフレッチェ広島 vs 横浜Fマリノス エディオンスタジアム広島
熱帯夜が続く日本列島、その暑さは夜になってもひくことはなかった。ハイプレスで前からハメに行くスキッベ監督のサッカーに取っては負担が大きい。しかも3日前のリーグ戦からほとんどメンバーは変わってない。これはカップ戦を本気で狙いにいってるということでもある。そんな中で負傷の東に代わり左サイドに入った柏、ボランチの野津田が連戦ではないだけに存在感を出していきたいとこだった。
陽が落ちつつあるエディオンスタジアムでのキックオフ。スタミナ配分など毛頭ないという様相でボールを追いかける。高い位置でのプレスはなかなか嵌らないものの自由な攻撃は与えていない。ボールを運ばれたら全体を引いてのブロックはシュートまで持ち込ませない。そんな我慢を強いながらもマイボールになると果敢に縦への速い攻撃を狙っていく。ロングフィードに森島が抜け出す。満田が抜け出す。そこからゴール前へ流し込むもナスが詰めきれてない。前線での起点にはなれるものの相変わらずFWとして点に絡むことができないのだった。
そんな裏狙いの攻撃をしてる内にいつしかマイボールの時間も多くなってきた。ただその分ゴール前には人数が揃ってる。右サイド藤井に入るもすぐにマークが着く。だがここで一気に縦へとギアを入れた。そして早いタイミングでクロス。ゴール前のDFを越える。そしてファーで待ち構えていた柏が受け狙い澄ましたシュート。これがGKの脇を抜け入ったのだった。
先制、先制、先制。柏、久々のスタメンでのゴール。左サイドの絶対的なスペシャリストだったもののここ最近はかつてのキレを無くしてるように見えた。だが柏は決める。そこが東とは違うとこなのだった。
ただまだ1点取っただけ。追加点も欲しいが前半はこのまま無失点でやり過ごしたい。そして後半に向けて仕切り直したい。そんな想いを抱きつつハーフタイムを迎え後半に入った。
追いつきたいマリノス。左サイドを縦を突かれる。そこをクリアするとセカンドボールを拾われ再び縦へ。ライン側、フリーで待ってた水沼の下へ。縦へ上がると速い弾道のクロス。走り込んだレオセアラ。身体ごと叩き込みゴールを破られてしまった。
ああ、なんて呆気ない。せっかくのリードはこんなにも早く振り出しに戻されてしまった。いや、カップ戦のルールでアウェイゴールは2倍である。ということはこの時点で上回れてしまったのだった。
再び勝ち越さなければ。だけどこういう点を取らないといけない状態というのがサンフレッチェの不得手なとこである。そこで切り札であったドウグラス・ヴィエイラがナスに代わって出るのだった。
前線にターゲットができたせいだろうか、ここから攻撃への厚みが増すようになってくる。右から左からと相手ゴールに迫り跳ね返されてもセカンドボールを拾い組み立て直す。そんな一方的な展開になりながらもゴールが破れない状況はやはりこのチームの得点力不足を感じざるを得ない。暑く敷いたマリノスのゴール前のブロックはどうやっても崩せない。だがそんな中だからこそCKの取得には縋るような想いを持つのだった。
満田がセットし右足のキック。インスイングのボールは大きすぎファーを超えていく。これでチャンスは終わったと思ったものの森島がボールに追いつきラインを破らない。そこから弧を描き半纏。ゴール前の密集へクロス。これに荒木が頭で流し込む。軌道を変えたボールは勢いはないもののGKの届かないファーサイドのゴールへと沈んでいったのだった。
入った、入った、入った。勝ち越し。これはデカい。リードした状態で第2戦を迎えることができる。荒木もよく決めた。DFでありながらセットプレーでターゲットになるのは大きい。そしてクロスを入れた森島、CKを蹴った満田。やはり得点にはこの2人が絡むのだった。
これでこのままこの点差を守り切るのか尚も点差を広げるのか。その判断に迷いそうなとこだったが森島、柏が川村、エゼキエウに交代することで攻撃よりも守備に重きを置くようになった。前掛かりになったマリノス、ブロックを敷いて対応するも隙間、隙間を上手く抜いてくる。マルコス・ジュニオールがゴール前へ飛び出した時にはやられたと思ったもののGK大迫の飛び出しによりシュートブロック。最後の最後に食い止めたのだった。
そんなしぶとい粘りをしている内にクリアボールをエゼキエウが拾う。手薄になった前線へ向かって駆け上がりヴィエイラも続く。それによりシュートまで繋げるものの決め切らない。が、それがスイッチとなり攻撃の時間が増えてくる。やはり守るだけで終わるつもりはない。
細かいパスで相手のブロックの間を縫う。そして満田が抜け出しボックスからマイナスパス。エゼキエウが流しヴィエイラが詰める。決まった。この3点目は大きい。歓喜に沸くスタジアム。だがこの後VARにより満田のオフサイド判定により取り消しは大きな失望であったもののあれを決めたというのは大きな自信となった。
そのオフサイド判定により長めのアディショナルタイム。藤井、満田が野上、柴崎と交代していよいよ守備固めと入っていった。とりあえずは1点差のままでも勝って追われればいい。ところが大きく蹴ったボールはヴィエイラがいることで収めることができる。が、この時相手DFと接触。頭を打ち倒れてしまうのだった。
元々怪我の多いヴィエイラだがやたらとラフプレーを受ける。一旦は外に出て治療を受ける。だがそれはいい位置でのFKの取得でもあった。塩谷と野津田がボールに立つ。壁を前にしどちらが蹴るか駆け引きの中、塩谷が蹴った。が、壁に跳ね返される。それに反応した野津田がダイレクトに蹴り込む。壁の隙間を抜ける。そしてスルスルスルとゴールの隅に入っていったのだった。
決まった。今度は間違いなく決まった。3点目。そしてこのまま試合は終わり3-1で第1戦を制することができたのだった。
有利なスコアである。でも2014年ACLではウエスタン・シドニーに同じ点差を2-0でひっくり返された過去がある。まだあと1戦ある。過度な喜びは慎むべきとわかっていながらも久々の複数得点に陶酔は冷めやまないのだった。