ルヴァンカップ名古屋戦~自滅の敗戦

2024年9月8日 ルヴァンカップ準々決勝第2戦 サンフレッチェ広島 vs 名古屋グランパス エディオンピースウィング広島


 9月に入り日差しは弱くなってきたとはいえ未だにじとーっとした蒸した空気がまとわりつく。妙に疲れを感じるこの気候は選手のコンディションにとっても厄介だろう。そんな中でサンフレッチェのスタメン発表に目を見張った。

 まずはワントップにヴィエイラが入っている。第1戦で加藤のとこになかなかボールが収まらなかったことで苦戦したからだろう。ヴィエイラにとっては久々のスタメンであるがだからこそ結果を出したい。というのも今シーズン怪我で出場機会が限られた中でノーゴール。その上ベンチに新加入のゴンサロ・パシエンシアが入ってきた。この試合の出来次第ではポジションを失うことにもなりかねないだけに奮闘を期待したかった。

 一方でパシエンシアとは一体どんなプレーをするのか興味は尽きなかった。欧州での実績があるとはいえそれがそのまま日本での成功に繋がるとは限らない。それだけに出番が待ち望まれる。ただそれが余裕のある中での出場であることが望まれる。アドヴァンテージが僅か1点しかないだけに失点だけはしてはいけないのだった。

 そんな試合に対して名古屋はパトリックを前線に持ってきた。フィジカルで押してくるのだろう。そこのマークは怠らないようにしたいものの実際に試合が始まると完全に名古屋に支配されてしまうのだった。前線に出してもヴィエイラはボールの来るところにはいない。そしてセカンドボールは必ず名古屋の選手に行く。そんな焦りからか、右サイド低い位置で森島のボールキープを後ろからファールに行ってしまった。守備において多大なる信頼を寄せてる中野がやってしまった。それだけ上手くいってない、余裕がないということだった。

 サイドからのFK。キッカー山中。山なりのキックにパトリックが飛ぶ。マークしなきゃいけないパトリックはなぜかフリーになり叩きつける。逆サイドに転がしたボール。GK川浪は掌ひ留めることができずゴールを割らせてしまったのだった。

 失点。呆気ない失点だった。どことなく緩い入りだった気はした。マークすべきパトリックをフリーにしたのもぬるさがあった。どうしてしまったんだろう。名古屋はこの後も硬い守備でつけ入る隙を与えない。それにより行き場を失ったボールはどんどん下がっていきいつしか追い込まれていく。名古屋ペース。完全に名古屋ペースの試合なのだった。

 そこで後半川辺に代え中島を入れる。すると急にペースが変わりヴィエイラもボールに絡めてくる。トルガイがボランチに下がることによりバランスが良くなった。それでチームは活性化されたものの今度はトルガイの得点力を活かせなくなった。ヴィエイラ、加藤とそれぞれ決定機を外す。枠に入らない。シュートは打っても決め切ることができない。かつての勝てないサンフレッチェの再現が起こっているのだった。それにより延長線に突入。過密日程で一番避けたかった事態が起こってしまったのだった。

 2回あった決定機を決められなかった加藤は見切りをつけ満田と交代した。フレッシュな満田は遠目からも狙うという積極性を見せた。だがやはり枠には入らない。ボールは前に進んでいくものの最後が崩せない。同じく決定力に欠けるヴィエイラもパシエンシアに交代したもののそれによって特に変化は起きない。このまま無為に時間だけ過ぎていく、そんな気がした時だった。右サイド高い位置でファールを受けた。絶好の位置。新井と東がボールをセットする。DFが上がりゴール前で構える。右足でも左足でも蹴れる。どんなデザインをしてくるか。固唾を飲んで見守る中蹴ったのは左足の東だった。

 ギュンという速い弾道でのキック。ゴール上隅。そこしかないというコースだった。GKランゲラックも反応できず叩き込まれたのだった。

 決まった、決まった、決まった。東のFK決まったの初めてではないだろうか。いつもいつも枠に入らない東がこのじゅうような場面で決めた。勝ち越しゴール。残り延長後半15分を耐え凌げばいい。

 時間が過ぎていく中、DF佐々木が負傷交代。イヨハが入り東を下げ越道を投入する。逃げ切り体制だ。ところがこの時間を掛けるべき場面で満田は前線でのFKを早いリスタートでショートパスを出してしまう。これを名古屋は余裕でカット。前線に振り出し永井がスピードで持ち上がる。イヨハが追いかける。切り返しに外され折り返し。ここに流れてきた選手より先に越道触った。が、そのクリアボールはそのまま自ゴールに飛んでいく。入った。入ってしまった。オウンゴール。せっかくのリードは自殺点によって相殺されたのだった。

 終わった。さすがにこの後追加点が取れることもなくPK戦へ。パシエンシアから始まり満田、中島、泰志と続いていったが中島以外みんな決めれなかった。枠に入らない、真ん中に蹴る、ボールの威力がないと負けるべくして負けたPK戦で全員成功した名古屋を尻目に敗退が決まってしまったのだった。勿体無い。自滅感が強い。何とも遺恨の残る結果となってしまった。

 点が取れない前線選手。交代で入った選手の守備の不安定さ。そして終了間際の満田のヘンテコなパス。そしてPKの下手さ。サンフレッチェとして持ってる悪癖の集大成のような試合となってしまった。

 この敗戦によりこの後続く試合に悪影響を与えなければいいが。そんな不安を抱えながらただただ哀しさだけが残っていくのだった。

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