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人的資本経営と出戻り文化について
最初にまとめ
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こんにちは
Skyland Venturesの愛川です。一橋大学の3年生です。
人的資本経営という言葉を最近よく聞くようになってきましたね。
人的資本経営とは
人的資本経営とは、企業が従業員を投資対象として捉え、人材への戦略的投資を通じて企業価値の向上を目指す経営手法です。2020年9月に「人材版伊藤レポート」が公表されて以来、注目が高まっています。
余談ですが伊藤邦雄先生は一橋の先生です。やった~
現状の課題
現状、日本で人的資本経営は話題ですが、実情としてそれができている企業は少ないと思っています。
何かここで分かりやすいデータでも出そうと思ったのですが、開示が進んでなさすぎてデータも碌に出せません。最悪だ。
その原因の一つを年功序列制の崩壊という観点から考察してみます。
年功序列制とは従業員の給与や昇進が勤続年数や年齢に基づいて決定される日本の伝統的な雇用制度で、長期雇用を前提とし、新卒で入った会社に勤めあげることが普通とされてきました。
江戸時代の丁稚→手代→番頭 or 支配人…という仕組みに起源があると言う方もいます。
とにかく日本の伝統的な雇用文化です。
しかし、バブル崩壊後からじわじわと年功序列制は崩壊し始めています。
そして、「勤め上げる文化」がなくなりつつあることで、社員の研修にお金をかけることが難しくなっている現状があると思います。
せっかく研修を行なって社員がスキルアップしても、そのスキルを用いて他の良い給料がもらえる会社に就職してしまうからです。
例えば、私は社内留学制度がある会社を一時期調べていたのですが、3-40年前と比較して社内留学制度はかなり減っていると感じています。
人的資本に対して投資をすることが難しくなっている社会で、人的資本経営を進めることは難しいのではないでしょうか。
では、年功序列制の崩壊が進む中でどのように人的資本経営は達成できるのか。私はその一助となるものは「出戻り文化」だと思っています。
出戻り文化
ここでは、出戻り文化を「一度会社を辞めた人がまた同じ会社に戻ってくることを許容、歓迎する文化」とします。
短期的に「今誰かが会社からいなくなる」ことを否定するのではなく、快く送り出す文化や人間関係を続けることで、他の会社で何かを学んで来てくれた人が、帰ってきてそのスキルを使って貢献してくれることになるのでは無いでしょうか。
また、会社で研修してスキルを獲得した人がそのまま会社にいないといけない、という閉じた文化を変える必要があるのではないでしょうか。
出戻り文化を許容するための仕組み
出戻り文化が有名な例として、DeNAが挙げられると思います。
実際に、一度退職した社員が、社員紹介によって再入社するケースが多く見られるそうです。これは「DeNAギャラクシー」という考え方に基づいており、退職後も「Delight」を世に届けるという信念のもと、銀河系の星々のようにつながり続けることを重視しているらしいです。そのため、退職者との関係性を大切にし、MyReferなどのツールを活用して退職者からの紹介採用も積極的に受け入れています。卒業後も何らかの形でつながり続けている人が多く、それが出戻り文化を支えています。
また、カゴメも出戻り文化を推進している企業です。カゴメは従業員の自由な人生選択を支持し、退職者を裏切り者扱いすることなく、出戻りを積極的に歓迎しているそうです。同社のCHO常務執行役員の有沢氏は「従業員は、ひとつの会社に全人生を捧げるべきではありません」と述べており、年功序列の給与体系を廃止し、成果主義を導入する一方で、終身雇用制は維持しながらも柔軟な人材の出入りを認める文化を構築しているみたいです。
また、私が聞いて印象的だったのがカゴメのメールアドレスの話です。出戻りに対してポジティブであり既に前例がたくさんあるからこそ、出戻りの方のメールアドレスの仕組みが決まっているそうです。
aikawa1@kaisya.com
aikawa2@kaisya.com
上記のように、出戻りで帰ってきた方のメールアドレスはどんどん数字が増えていくらしいです。玄人っぽくてカッコいいかもしれない。
おまけ
日本の人材市場の歪みとして、年功序列制は崩壊しているのに新卒カードという仕組みは残っているということも挙げられると思います。新卒が取れなくなった会社は中途採用に移行する企業もある一方で、より若い時期の学生にリーチする企業もあり、就活の若年化がさらに進んでいます。
個人的な意見としては、勉強するために大学に入っているので就活の早期化は本当に辞めてほしいです。
ありがとうございました
このnoteは個人の意見ですので、反対意見などがある場合は愛川に直接お願いいたします。(一橋大学、およびSkyland Venturesに文句を言わないでください。)
お読みいただきありがとうございました。
出典
岩井克人『会社はこれからどうなるのか』
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