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『異世界でも本屋のバイトだが、アマゾネスのせいで潰れそうだ』第14回

「おい、仲間探してないか? 安くしとくよ、2000イェンでいいよ」

ダンジョン前はちょっとした歓楽街並みの客引きの列だ。自分を売り出す冒険者、怪しげな武器を売ろうとする老婆、割高な値段で弁当を売りつける薄汚いコック、無駄に谷間を見せつけながらダンジョンのガイドブックを売るアマゾネス。

G3級のエプソムダンジョンは3人までのパーティと制限が掛かっている。何でかって? そら王宮が決めた「ダンジョン自然保護法」とやらのせいだ。もっとも、一気に大勢で押しかければ、どんなダンジョンだろうと攻略できるだろうってもんだ。

「そこのお方、拙者とパーティを組まんかの?」白髪頭の痩せた侍が、俺とヤマダの前に立ちふさがった。

「名はムサシ・ダイカザン。『地獄斬り』を発案し、あのアイビスサマーダンジョンにおいては大ラスボスである『メデューサ三姉妹』を葬り…」

「おっさん、間に合ってるからヨソあたってくれ」俺は手をヒラヒラさせて老侍を追い払った。

「いいんですか? 結構頼りになりそうだったのに」しばらく行ってからヤマダが残念そうに振り返った。

「アイビスなら昔潜ったことがあるが、侍が最深部まで進めるわけがない。まあ、行くのは簡単なんだよ、真っすぐな通路なんでな」俺は出てくるモンスターが侍の刀じゃ刃が立たない、ゴーレムばかりなんだとヤマダに教えてやった。

「1階を降りる前に、刃がボロボロだ。あそこに潜ろうなんて侍や剣士は聞いたことが無い」

なるほどね、ヤマダは口を尖らせて頷いた。

「いいか、まともな冒険者なら、ダンジョンの入り口で仲間を探したりしないんだぜ」

「じゃあ、僕らもそうですね」生意気を言うヤマダの首を抱え込み、俺はDDTを喰らわせてやった。もちろん、死なない程度に手加減してやったが。

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