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実話系 不思議な話

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実話風に書いてますが、全て創作です。ご安心ください。
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2016年10月の記事一覧

『プレゼント 2』

『プレゼント 2』

「華子、今年の誕生日プレゼントは何がいいんだ?」

「うーん、またペットが欲しいかな?」

「どんなのがいいんだい?」

「ホスト風情のクセに粋がってるのがいて、コイツを服従させたら楽しそうなんだ、へへ」

「おいおい、またかい。華子は好きだな、オラオラ系を苛めるのが」

「オラオラ系でイケメンホストがいたら、そりゃアタシが食べちゃうでしょ、色んな意味で」

「そういえば、去年の男はどうした?」

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『プレゼント』

『プレゼント』

セクキャバ行った時に「ホストの知り合いがいる」っていう女のコがいたので紹介してもらい、取材と称して会ってみた。

翔さん、翼クン、蓮司クンの3人と新宿のマックで落ち合う。

普段接点がない人たちと会ったことで気圧されたワタシは、不思議な話を聞くきっかけがないまま、黙って3人の会話を聞いていた。

しばらくはどうでもいい話だったが、モテ自慢が始まってから急に面白くなった。翼クンと蓮司クンがそれぞれ貰

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『ボディガード』

『ボディガード』

M子さんは会社でも評判の美人だったが、美人過ぎるのも考えもので苦労が絶えなかった。爬虫類顔の脂ぎった中年部長にしつこく言い寄られ、いなすのに毎日神経を擦り減らしていた。

再三の誘いにも全く靡(なび)かない彼女に業を煮やした部長は、可愛さ余って憎さ何とやらで、ある時、大したミスでもないのにM子さんをデスクの前に呼び出して大声で説教をし出した。

フロアにいた50人近くの社員が、動きを止めて見守る中

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『ポテトサラダ』

『ポテトサラダ』

Tさんには長年付き合った彼女がいた。結局、家柄の違いやらで泣く泣く別れて5年ほど経った頃の事。

会社帰りの、自宅最寄りの駅。「反対側のホームに、彼女そっくりな人を見掛けたんです」

一瞬声を掛けようかとも思ったが、咄嗟には上手く声が出なかった。そうこうするうちに反対側のホームに電車が来て、その女の人は見えなくなってしまった。

「彼女は地元で銀行マンと結婚したって聞いていたし。こんな所にいるはず

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『カウンタック』

『カウンタック』

「あれは未だに謎だよな」同窓会で何十年ぶりかに会ったケンケンが言うのを、周りの連中も頷きながら聞いている。

小学生の頃、団地の空き地で野球をやるのが日課だった。

あの日は雲一つなく、気持ち悪いぐらい青が強い空だった。

水谷クンが打った黄色いゴムボールが高々と上がった。

セカンドのケンケンが「オーライ」と構える。

・・・・・

ボールはいつまでたっても落ちて来なかった。

青空の一点に張り

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