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実話系 不思議な話

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実話風に書いてますが、全て創作です。ご安心ください。
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2016年9月の記事一覧

『屋上の深海』

『屋上の深海』

これはワタシの話。

埼玉で商売をやっている親戚がいて、子供の頃、頻繁に家族で遊びに行った。

母の兄にあたる叔父さんは3階建ての自社ビルを持つほど成功していて、1階がお店兼リビングで、2階から上が住まい。何よりも屋上があったことが珍しく、遊びに行くとワタシは必ず屋上に行ったものだ。

叔父さんは兎に角、熱帯魚が好きだった。子供がいない分、魚に愛情を注いでいるんだと自虐的に笑って話していた。家のい

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『サーファー』

『サーファー』

Kさんはベテランのサーファー。白髪交じりのオールバックのチョイ悪親父である。

「不思議な話? そうねぇ、サーフィン始めたばかりの頃、妙なことが一回あったかな」

バランスを崩して後ろに倒れたら、何かヌルッとしたものに乗っかり、そのまま浜まで着いたという。

「巨大なエイなのかもしれないけど。未だに何なのかは分からないんだよね」

マンタがたまたま神奈川の海岸にいたんだろうか…地球温暖化?

『きのこ』

『きのこ』

「会いたいです。お金はいりません。血液関節切除脱脂綿裂傷骨膜体温死腔眼球ブローカ野痰脾臓吃逆粘膜遊走潜血大便水晶体メバロン酸欠損傍皮質歯茎膿盆脳漿HDF輸血嗜眠多形紅斑疝痛腸弛緩髄液腰椎穿刺オストミー霧視椅座位組織粥腫嗜好解剖腫瘤凝固脊髄浮腫眼振ケリー鉗子摂取咽頭肉肉肉肉にく全て愛します愛します愛します愛します愛します愛します愛します愛します…」

『出会い系』

『出会い系』

Dさんは妻子ある40代の男性。ふとした遊び心で出会い系のサイトにはまった時のことを話し出した。

「出会う気もないし、冷やかし程度で始めたんですけどね」

明らかにサクラと思われる、若くて可愛いコたちからのメール攻勢に最初はテンションも上がったが、どれも金目当ての援助交際目的と分かると興覚めしたという。

「少ない小遣いで会えるわけもないし、病気も怖いですし」

それでも惰性でプロフィール写真を見

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『水泳部』

『水泳部』

ワタシが不思議な話は無いかと尋ねると、アルバイトのNさんが「微妙な話でもいいんですか?」とポツリポツリと話し始めた。

中学の時Nさんは水泳部に所属していたのだが、W君という変わった男子部員がいた。

そのW君、水泳部なのにカナヅチだったのだ。

最初は先輩たちが泳げるように指導していたが、一向に泳げるようにならない。大会が近付いたりなんだかんだで、だんだんと誰もW君に構わなくなってしまった。

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『特殊能力』

『特殊能力』

私には特殊能力がある。

ルールが改正される前に限定はするが、軟式テニス部だった人と会った時、前衛か後衛か100%当てることが出来る。

背の高さ、動きなども参考にはするが、基本的には会った瞬間に分かる。今まで外したことが無い。多分、中学高校と6年間やっていたからだろうが。

そのことを少し自慢げに話していると、Eさんという三十路の女性が話に割り込んできた。

「私の知り合いには、顔見ただけで乗っ

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『シロアリ』

『シロアリ』

「社長がとにかく嫌な奴だったんで」A君はしかめっ面を大袈裟に作った。

シロアリ駆除の会社で飛び込みの営業をやっていたが、ノルマが相当にきつくて、入った社員も半年もつ者の方が少なかった。

「契約を取れなかった人間は朝礼でネチネチとイビられるんですよ、給料泥棒だとか人間の屑だとか…ホント、お前が駆除されろって毎日思ってました」

仕事も極めてブラックだった。老人を騙して高額な床下換気扇を取り付けた

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