野口英世 運命に逆らい続けた男の物語

野口英世。紙幣で彼の顔を見るたび、「この人はどんな人生を送ったんだろう」と思うことはあるだろう。でも、彼の人生を知れば知るほど、その物語はまるで一本の壮大な映画のようだ。運命の逆風に立ち向かい、自らの手で未来を切り開いていくドラマ。彼はただの天才ではない。「諦めない魂」が形を持ったような人間だった。

炎に焼かれた少年

1876年、福島県の貧しい農村で生まれた英世。彼の幼少期は平凡ではなかった。わずか1歳半のとき、囲炉裏の火に落ち、左手に大やけどを負ったのだ。火傷はひどく、手は指がくっついたまま不自由な状態に。普通ならここで人生の選択肢が狭まるところだが、英世は違った。いや、むしろここからが彼の「反骨人生」の始まりだった。

周囲から「手が悪いから何もできない」と決めつけられるたび、彼はそれを跳ね返すように努力した。16歳で猪苗代高等小学校を卒業した後、彼は医学への道を志す。それはただの職業選びではなかった。自分と同じように「傷ついた人々を救いたい」という願いが、その心の中に燃え続けていたのだ。

夢のために日本を飛び出す

野口英世の物語の転機は、19歳で上京したときだ。