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極度の虫嫌いが昆虫好きと結婚して母親になったらイモリを世話するようになった話
子どものころから、極度の虫嫌いで、集合体も見ると身体中が反応して眠れなくなるような嫌悪感に苛まれて苦労した女が、母親になったらイモリを飼うようになりました。
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こどものころ、進級する4月に、教科書を全部母親に渡して、虫や生き物の写真に付箋紙を貼って見えないようにしてもらっていたり、街にある川辺の土砂崩れ防止の土嚢を見ると叫び怯え、生きにくいほど、昆虫や爬虫類などに怯え、自然を避けて生きてきたんです。
そんな私が、2人の娘を育てる母親になった今、ドジョウとイモリを飼っています。こんな子供時代をよく知る父母姉の家族LINEにこの話をすると、「かよはほんと変わったねぇ」と驚かれます。
まもなく訪れるカブトムシの季節には、捕まえに行く予定もたっていて、時々ダンゴムシも飼っています。結婚相手によって人生は大きく変わるもんでだし、母はつよしだとしみじみ思っているので、ちょっとそんな昔話をしてみます。
親が嫌いなものは嫌いになり、親が好きなものは好きになる
わたしの母親は、カエルが特に嫌いでした。テレビに映るの大騒ぎで、そんなかんじだったので、わたしも自然と両生類も爬虫類も苦手になって、とにかく人間、犬、猫以外の生き物は全体的にちょっと得意じゃない。母親のせいとは全然言わないけど、「親が苦手なものは苦手」だし、逆を言えば「親が好きなもの好き」なのだと実体験があるからとてもよくわかります。
好きなものも似るもので、母親は手芸が好きで、ミシンもするし洋服も作っていました。そんな母親を見て、私も手芸や何かを作ることは好きになったんです。誰といるかによって、好きも嫌いも大きな影響を受けるんだってよくわかります。
夫と結婚したことは大きな変化の始まり
さて、こんな筋金入りの昆虫や生き物嫌いのわたしに大きな変化となってしまったのは、夫との結婚です。これ以外考えられません。好きになった男性は、私も真逆の生き物をこよなく愛する人でした。生物すべて、生きとし生けるもの全てを心から愛し、子どもの頃の夢は、昆虫博士だったらしいほど、大切に愛しむひとでした。
夫と出会って今までを振り返ると、いろんなポイントに虫がいます。
始まりは、同じ会社に勤めていた22歳の頃。当時ただの同僚だった夫が、山の裏の企業に営業に行った帰りに、スーツの上からブローチのように生きたカブトムシをオフィスに戻ってきたことがありました。とても嬉しそうに、少年のような顔をして、カブトムシをブローチにして。なんという人だ、あまりに違うのに近づいてはいけない…とんでもない人だと驚いた自分の感情を鮮明に覚えています。
つい3年ほど前の夏。上野公園を家族で歩いていたら、夫の胸に蝉が止まったこともありました。人の体に蝉が止まる様子を初めてみて、絶句です。虫もわかるんだ…友好的ない人のことが…と、唖然としました。しばらく数分、蝉は夫の胸元にとまっておとなしくしていました。優しい眼差しで胸にとまる蝉を眺めて、セミの居心地を重視していたので、きっと蝉も木だとこもっていたんだとおもいます。
去年の春は、飛行機でアオムシを連れて帰ってきました。夫の実家の裏のキャベツ畑でアゲハ蝶の幼虫・アオムシがいたらしく、それを小さな箱に入れて飛行機に乗せて家に連れて帰ってきたんです。アオムシを…そのアオムシのために、そのときは頻繁にキャベツを買ってたべさせていました。無事、蝶々になりました。
夫のリクエストで、山椒の木を買い、外に出していたら蝶が卵を産んで、蛹にして蝶になるところを見届けたり、ミカンの木を買って卵を生むのを待ったりしています。今年は、なかなかうまくいかなある時、その木に、カマキリが卵を産んで、洗濯物を干しに行くと小さい何かがめちゃくちゃいて、鳥肌がたった、なんてこともあります。
言い出せばキリがないほど、生き物を愛する夫と結婚したばっかりに、徐々に徐々に虫嫌いの私に虫が侵食してきました。忌み嫌ってきる虫なので、気持ち悪いとか殺生したくなるのだけど、そうするとそれはそれは怒られる、大喧嘩に発展します。数えることもできないほどたくさんの昆虫への関わり方が原因で夫婦喧嘩を繰り返し、相当揉めてきました、揉めに揉めました。
虫嫌いの母親と生き物好きの父親のいる家は、生き物で溢れている
こんな女が、子どもを産んで母親になりました。娘2人だったので、虫取りに行ったり、セミを捕まえてきたりすることはないだろうと思っていたら、教育とはパワフルで、6歳の娘は虫や生き物を愛する心優しい子に成長しています… カブトムシは自分で世話をし、金魚を愛し、公園のダンゴムシを優しく捕まえて、名前をつけて虫籠で飼っています。1階なのでどうしても虫が入ってくるのですが、家の中で虫を殺すことは許されません。かわいそうだと夫と娘2人から猛烈に怒られるので、そっと捕まえて外に逃します。
大嫌いで避け続けたのですが、いつの間にか馴染んできて、私の拒絶反応も徐々に干上がって、カブトムシとクワガタを迎え入れることを許し、ドジョウがいて、イモリがいる家に慣れてしまいました・
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家で飼いたいという連絡を受けた時は、「もう・・・ほんとやめてほしいんだけど」と夫に嘆いたものの、いざおうちにやってくると、案外いい。
イモリ、可愛い。お腹が赤くて小さい指が4本あって、スイスイと泳いでいる姿が、意外とかわいくて、結構イモリの様子が気になっている私がいます。
水換えの餌やりも全てを娘と夫に任せているので、私はただ時々見ているだけなのですが、これがまた結構イモリがかわいい。そして何より、こういう光景を「かわいい」という反応を示すようになった自分自身にちょっとうれしいんです。
あんなに生き物全般NGだった私が、イモリをかわいいと思う日がくるなんて、そんな自分に一番喜んでいます。たかがイモリが家にいるだけなのですが、ほんの数年前の私ではあり得ない変化なので、こうやって変わっていることが嬉しい。
ずっと私が生き物を育てることはないのだろう、一生虫を忌み嫌いながら怖い怖いと怯え、騒ぎすぎだと怒られることが今後ずっと続くのだろうと諦めていたことが、変わった。私でも変わるんだ、虫にも少し近づけるし、イモリも飼えるようになった自分が嬉しいです。成長するんだ!という自分への喜びをイモリを見ながら思っています。
夫とこどもに、おしえてもらったことです。
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