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ATEEZ×クラシック音楽の親和性が抜群なんよ

韓国のボーイズグループATEEZが、テレビ番組「Kingdom」で披露したステージについての感想です。





はじめに

私がATEEZというグループを詳しく知ったのは、2021年12月、turbulenceとthe realでカムバしていたのを聴いたのがきっかけで、
それまではいくつか曲を知ってる、くらいの知識でした。
グループを調べるうちにKingdomにたどり着き、その音楽とパフォーマンスたちに感銘を受けて、気づいたことを文章にしたい!と思って、今に至ります。

つまりはめちゃくちゃにわかなので、なにか見当違いなことを書いてしまっているかもしれません🙇‍♀️





Kingdomについて

2021年春に放送されたKPOPサバイバル番組であり、
6組のボーイズグループが、パフォーマンスで勝負をします。

前哨戦と、本戦1〜4次バトルまであり、
コラボステージなどもありますが、
グループとしては合計5つのステージをそれぞれ披露しています。

ATEEZは3つのステージにおいて、
KPOPの楽曲にクラシック音楽をサンプリング(既存の楽曲の一部を切り出し、新しい楽曲に取り入れる手法)したアレンジで、パフォーマンスをしています。
そして全ステージにおいて、一貫したストーリー性を持っていました。






*1次バトル
Symphony No.9 “From The Wonderland”


こちらはATEEZの代表作「WONDERLAND」に
ドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」がサンプリングされています。


コンセプトは「海賊」。
「Pirate King」「treasure」など、ATEEZの楽曲には海賊を連想するようなものがいくつかあるので、もともとATEEZというグループ自体にそういうテーマがあるんでしょうか?



で話を戻すと、WONDERLANDと新世界よりの相性がめちゃくちゃ良いのです。
この編曲をするためにWONDERLANDが作られたのでは?と思うくらいです。(そんなはずは無い)

そもそもWONDERLAND自体に行進曲のような要素(8分の6拍子とか金管楽器)があるので、クラシックとよく合うのでしょう。
調も一緒。
海賊の船出と、新世界より、という世界観もマッチします。
原曲は重低音が強いイメージですが、弦楽器や木管楽器、ピアノが追加されることで高音も効くようになり、より豪華な曲になってます。



特に気になったのは、サビ前(動画1:41と2:53)です。
ここで使われている部分、本来は9小節ある1つのフレーズです。

これを、1回目(1:41〜)は1〜4小節目、2回目(2:53〜)は4〜7小節目と、分けて挿入しているのです。
1,2回目を合わせても8小節しか無いところに9小節あるフレーズはそのまま入れることはできないので、こういう工夫になったのかな〜と思います。
上手いこと使ってますよね!



それから、圧巻の4段階高音(3:31〜)

(どこからそんな声が出るんでしょう…)
音が上がるにつれて楽器の数が減って、ピアノだけになっていくのが、より歌声を引き立てます。
数は減るのに音は広がって聴こえる、というマジック。



パフォーマンスの構成についても少し。
ステージ全体を海賊船の上に見立てて、
敵(巨大タコ)登場→撃退というストーリーがあるのが分かりやすいです。

ミュージカルを観ているようです!

あと小道具と舞台セットが凝ってます。
船の舵がちゃんと回転するところとか

(この表情も引き込まれました…)

剣や銃の使い方とか。







*2次バトル
리듬  (The Awakening of Summer)

参加グループ同士で持ち歌をカバーし合う2次バトル。
ATEEZはiKONの「리듬 타」(RHYTHM TA)をカバーしました。


こちらに、ヴィヴァルディの「四季」より「夏」の第3楽章の冒頭、あの有名なとこが使われています。
だから副題が「夏の目覚め」なんですね。
「夏」を選んだ理由は分からないままですが、調が一緒で合わせやすかったのかも。

리듬 타は「リズムに乗れ」という意味で、原曲はラップが主役でいかにもHIPHOPなノリの曲。
まずこれにクラシックを合わせるというのが新鮮です。



面白いのが、夏の第3楽章冒頭は、4分の3拍子だということです。

最初のみんなが車に乗っているシーン(0:17〜)で流れるのは、この3拍子のフレーズです。
1拍に4つの音符×3の状態。

このフレーズが、(1:43〜)もう一度出てきますが、曲が4拍子なので、ここでは以下のような拍の取り方になります。

1拍に3つの音符×4です。
こうすることで、1小節の中に入る音符の数はそのままで、3拍子の曲を、4拍子の曲に落とし込むことに成功しています。

余談ですが、全体的に治安悪めなのに、この場面では恭しくお辞儀をしているの、なんか良いですね☺️




また、(3:46〜)のバックではこんなメロディーが流れています。
正確ではないですが…

これも、「夏」を彷彿とさせるメロディラインだと思います。




コンセプトは「強盗団」で、
スペイン発のNetflixドラマ「ペーパー・ハウス」を参考にしているとのこと。
強盗団が造幣局に人質を取って立てこもり、24億ユーロを強奪するというストーリーですが、
今回の場合はお金ではなく、禁止された音楽や芸術を奪い返す、というテーマでしょうか。
リズムに乗れ、という歌詞にぴったりです。

ラテン系のアレンジにしたのは、スペインが舞台だから?
パフォーマンスにも、仮面や金庫、後半の演説シーンや気球といった、ペーパー・ハウスで出てくるモチーフが使われています。


そして最後に、1次バトルでも使われた砂時計が出てきます。

強盗団は、海賊たちの過去の姿、ということなんですね。







*3次バトル
Answer: Ode to Joy

ATEEZの楽曲「Answer 」に、ベートーヴェン交響曲第9番「歓喜の歌」をサンプリングしています。


まず、頭サビ(1:02〜)で、うっすら歓喜の歌のメロディーが流れています。
 歓喜の歌のコード進行(この調の場合)と、Answerのコード進行は少し違いますが、
ここではAnswerのコードを採用して歓喜の歌のメロディーを合わせています。

歓喜の歌

Answer


常に低いベースの音が鳴っているので、原曲Answerよりも厚みがある感じがします。

(3:10)まででひとしきり盛り上がった後、突然雰囲気が変わり、
ピアノの音だけになって、合唱の声が重なっていきます。
だんだんテンポが速くなっていくのですが、音が少ないので変化が緩やかに感じられます。
急に静かになって、なんだなんだ?となっているうちに、気が付けばテンポが変わっている、という感覚でした。もしやそこまで計算してたんでしょうか…?

そして、声楽家ユニットのLA POEMによるコーラスから、EDM風にアレンジされた第9の合唱に繋がります。
気分は大晦日。
歌い手こそガチの声楽家を呼んでますが、アレンジは現代的ですよね。
別映像で、聴いてる他グループのみんなが第9で縦ノリしてるのが映っていてちょっと不思議でした笑





1,2次バトルを終えたATEEZがたどり着いた先は、いったいどこなんでしょうか…
砂時計はもちろん、銃や仮面といった、今までのパフォーマンスで使われた小道具も登場するので、ストーリーは繋がっているといえるでしょう。


紅白衣装のATEEZの他に、
黒衣装の人物と白い覆面の人物、2種類の人物がステージに現れます。
これらは過去のATEEZの楽曲MVにも登場していました。
黒衣装の人物はATEEZの本当の姿であり分身、らしいので
白覆面はATEEZを拘束する敵、といったところでしょうか。

自分たちを制限するもの、行手を阻むものと戦い、
勝って自由を手にして
「乾杯しようlike a thunder 」と、「歓喜の歌」を歌う。
というエモ展開だったのですね。

3次バトルのステージは、ファンのために作ったステージだと、番組内でメンバーが語っている様子が多く見られました。
これを具体的に理解するにはもっと勉強が必要ですね💦






おわりに

ここまで3つのパフォーマンスを紹介しましたが、先述した通り、この3つのステージは続きものになっていると考えます。

2次バトル「リズムタ」で奪われたものを取り返し、1次バトル「WONDERLAND 」で戦いの第一歩を踏み出し、3次バトル「Answer 」で勝利を手にします。
そして全てにクラシック音楽のサンプリングという同じアレンジを使うことで、3つのパフォーマンスが繋がっているという事実をより強固にします。

Kingdomや、前番組のRoad to Kingdomで、それぞれのステージで同じアレンジ方法を使ったり、ストーリーが繋がるようにしたり、というのは、他にはあまりありません。
ステージごとに全く違ったタイプのパフォーマンスをした方が、ギャップを魅せることができて、評価が高くつきやすいので、自然なことだと思います。
それでも、自分たちの世界観を崩さないために、あえて一貫したコンセプトを持たせることに挑戦したATEEZ。
とてもカッコいいと思いました。





以上、ただのオタクの感想文でした!
このnoteが、誰かにとっての、ATEEZのパフォーマンスを観る、知るきっかけになれば嬉しいです。
読んでいただき、ありがとうございました!

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