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#小説
日曜日の夜、美由紀は考えた。
日曜日が終わる夜に、美由紀は夕食を食べながら考えた。
一人分の料理をするのはもったいないからと買ったスーパーのお総菜コロッケと、温めた冷凍ご飯、せめてもの健康への気遣いで並べたもずくパックと豆腐たちは、なんの味もせずに彼女の舌を滑り去っていくだけだった。そもそも、味なんてなかったかもしれない。音量を落としたテレビの音は、さっきから他人の笑い声ばかりで、なにひとつ面白くない。でも、人生って本来
短編小説「ランナー」
「ランナーはな、病気なんだよ」
午後のワイドショーのランニング特集を見て、パパはため息混じりに呟いた。
テレビ画面には、カラフルなウエアに身を包んだ話題のランナーたちが、休日の道路を埋めつくす様子が中継されている。沿道の人々は目を逸らして道を譲り、アナウンサーとカメラマンは、両手の隙間からこわごわと覗く。ランナーたちは頬を桃色に染めて、時に手を叩いて大声で笑ったり、また時に涙を流したりしなが