新品タイヤへの交換後は慣らし走行が必要!やり方や長持ちさせる方法を解説
3級整備士の闇です!
第164回の今回は新品タイヤへの慣らしについて書いていきたいと思います。
〈新品タイヤにおける慣らし走行の必要性とは?〉
新品タイヤを履いた際には、慣らし走行をして一皮むくことが大切です。慣らし走行をしないと、タイヤ本来の性能が発揮できないだけでなく、寿命を縮めてしまう原因にもなります。ここでは、タイヤの慣らし走行がなぜ重要なのか、その理由を3つの観点から解説します。
・タイヤが持つ性能を十分に発揮させるため必要
慣らし走行は、タイヤ本来の性能を引き出すために必要です。夏タイヤはもちろんのこと、冬用タイヤであるスタッドレスタイヤを新品に交換した際も、慣らし走行を行うようにしましょう。
夏タイヤの場合、特に雨の日の走行に注意が必要です。タイヤの表皮がむけるまでは、接地感を確認しつつ、慎重に運転することをおすすめします。十分に慣らし走行を行うことで、乗り心地や静粛性も良くなるでしょう。
・寿命を短くしないために必要
慣らし走行を怠ると、タイヤの寿命を縮めてしまうかもしれません。タイヤはゴムだけでなく、骨組み部分のコードをはじめとする、いくつかの部材を組み合わせて作られています。これらが馴染むまでタイヤは緊張状態にあり、熱の影響を受けやすい状態です。
また、タイヤは走ることで寸法成長するため、落ち着くまで異常発熱を誘発するような運転は避けた方がよいです。異常発熱の状態になってしまうと、タイヤが損傷する可能性が高まります。適度に慣らし走行することで、ホイールリムとタイヤが馴染み、故障耐久性が向上します。
・新品タイヤの走行感覚に慣れるため
新品タイヤの走行感覚に慣れることも、慣らし走行を行う上で重要な目的です。新品タイヤを履くと、新しい靴を初めて履いた時のように、今までと異なる感覚があるでしょう。慣れるまでは靴の場合つまずく程度ですが、車の場合は事故につながるかもしれません。
また、タイヤの性能は銘柄によって異なります。タイヤごとに得意とする状況もあれば、苦手な状況もあるのです。特に、雨の日は性能差が出やすく、旋回時もスピードに注意しなければなりません。
新品タイヤの慣らし走行が終わるまでは、いつも以上に慎重な運転を心掛けると良いでしょう。
〈タイヤの慣らし走行のやり方と目安〉
慣らし走行のやり方や目安については、JATMA(一般社団法人 日本自動車タイヤ協会)の『自動車用タイヤの選定、使用、整備基準』にも記載されています。正しい方法で行うことで、本来の目的を十分に果たすことができるでしょう。
ここでは、慣らし走行の正しいやり方や目安などについて解説します。
・慣らし走行のやり方
慣らし走行のやり方といっても、難しいものはありません。いつもより運転に気を使う程度で十分です。具体的には以下の点に意識を向けると良いでしょう。
急旋回しないこと
急発進や急加速をしないこと
急ブレーキを要する状況にならないよう、車間距離を多めに取ること
上記のように、急のつく運転を避けることが重要です。危険性が差し迫る状況において急ブレーキは必要ですが、急加速や急旋回は意識的に避けられます。また、慣らし走行を終えるまでタイヤは発熱しやすいため、高速道路の利用も控えるのがおすすめです。
・慣らし走行完了までの目安
慣らし走行を行う際の速度と走行距離の目安は、夏用タイヤと冬用タイヤで異なります。
目安は以下を参考にしてください。
【夏用タイヤ】
走行速度80km/h以下、走行距離100km以上
【冬用タイヤ】
走行速度60km/h以下、走行距離200km以上
夏用よりも冬用タイヤは、多めに走行する必要があります。また、冬用タイヤで雪道を走行しても表皮が取れにくいため、雪が降る前に100kmほど通常の舗装路で慣らすと良いでしょう。速度の目安は60km/h以下のため注意が必要です。
・慣らし走行の後に実施した方が良いこと
慣らし走行を適切な方法で終えた後、行っておきたいメンテナンスが2つあります。
1つ目は、タイヤの空気圧チェックです。慣らし走行でタイヤの寸法が若干大きくなることもあるため、空気圧が低下している可能性があります。再度点検して、適正空気圧よりも少なければ補充が必要です。
2つ目は、ホイールナットの増し締め点検です。稀に、走行によって若干の緩みが生じるケースがあるため、再度規定トルクでしまっているかをチェックすることで安心して車を使用できます。
〈慣らし走行後に行いたいタイヤを長持ちさせるためのコツ〉
タイヤ交換後の慣らし走行も大切ですが、その後のメンテナンスもタイヤの寿命を延ばす上で重要と言えます。定期的にタイヤの状態を確認して、空気圧不足や偏摩耗を避けることが、タイヤを長持ちさせる上で有効です。
ここでは、タイヤの基本メンテナンスについて解説しますので、ぜひ役立ててください。
・月に一度の空気圧チェック
タイヤの空気圧は1ヶ月に5%~10%程度低下すると言われていますので、点検の頻度は月に一度をおすすめしています。空気圧不足で走行すると、タイヤの寿命を縮めるどころか、高速走行時にバーストしてしまうかもしれません。
また、空気圧不足は偏摩耗と呼ばれる、タイヤの外側や内側の部分的な摩耗や両肩摩耗につながります。給油時や洗車時に、ガソリンスタンドなどを利用しつつ空気圧を点検しましょう。
・定期的にローテーションを行う
5,000km走行ごとにタイヤローテーションを行うことも、タイヤの寿命を延ばす上で有効な方法です。摩耗具合は、タイヤの取付け位置や車種、駆動方式によっても異なります。そのため、定期的に装着箇所を入れ替えることで、摩耗状態が均一化され長寿命化につながるのです。
ほとんどの車でローテーションは可能ですが、タイヤの種類やサイズによってはできないケースもあります。判断がつかない場合は、走行距離をメモして時期が来たら、お店に依頼すると良いでしょう。
・走行前にコンディションを点検する
車の使用者は、走行距離や使用環境などから適切な時期に日常点検をしなければなりません。法令によって義務付けられており、車検証の裏にも記載されています。点検項目は簡単なものばかりで、ポイントを押さえれば誰でも実施可能です。タイヤについては、亀裂や損傷の有無・空気圧・溝の深さが点検項目となります。あわせて、摩耗状態もチェックするとさらに良いでしょう。
〈慣らし走行の効果が低減するタイヤの寿命を縮める行為とは?〉
定期的な点検やメンテナンスは、タイヤを長持ちさせるために効果的です。反対に、タイヤの寿命を縮める行為があることをご存じでしょうか。
タイヤのために良いと考えて行っていることでも、実は劣化を助長しているかもしれません。ここでは、タイヤの寿命を縮めてしまう行為について解説します。
・洗剤を使用してタイヤを洗う
日々走行を重ねていくことで、車は汚れていきます。タイヤも同様で、さまざまな汚れが付着しやすいパーツです。洗剤を使用して洗うことが重要と思われがちですが、実際はタイヤの寿命を縮めることにつながります。タイヤを構成するゴムには、劣化を防止するための薬剤が配合されており、皮膜を作ることでタイヤを守っています。洗剤を使用することでその被膜を落としてしまうため、汚れが特にひどい場合を除き、過度な使用は控えた方が良いでしょう。
・パンクしたまま走行する
パンクしたまま走行すると、タイヤにとって致命的なダメージを引き起こしてしまうでしょう。タイヤの形状が保てないほど空気圧が減り、潰れた状態で走行するとタイヤ内部の損傷につながります。タイヤにはコードという骨組み部分があり、強度を保つ上で重要な役割を担っています。タイヤが潰れた状態で走行し、コードが損傷すると空気圧に耐えきれなくなります。パンクに気付いた場合は、速やかに走行を中止することが大切です。
今回は新品タイヤへの慣らしについて話させていただきました。
ぜひまた見に来てください!