ドライブシャフトブーツの交換工賃、役割を解説
3級整備士の闇です!
第90回の今回はドライブシャフトブーツ交換について書いていきたいと思います。
〈ドライブシャフトとブーツとは〉
まずドライブシャフトとブーツの説明しますね。
ドライブシャフトはミッションからの動力をハブに伝える役目があります。
車はハンドルを左右どちらかに切っても、しっかりと動力が伝えられるような構造となっています。
ドライブシャフトのアウタージョイントは、「等速ジョイント」と呼ばれる構造となっており、角度があってもスムーズに動力伝達ができるようになっています。
ドライブシャフトブーツはドライブシャフト内部のベアリング部にゴミや異物が入らないように保護する役目があり、材質はゴムです。
ゴムで作られた部品ですからゴムの劣化により破れてしまうこともあります。
近年では破れにくい材質に変化していますが、全く破れないわけではないのでやはり消耗品としてとらえた方がイイと思います。
〈ドライブシャフトブーツの破れを放置したら〉
ドライブシャフトのアウタージョイントの中身はご覧のようにベアリングになっています。
スムーズな回転動作をするように写真のような金属製のボールが入っておりますが、ドライブシャフトブーツが破れるとドライブシャフト内部に砂や水などの異物が入り結果ベアリングを痛めます。
ベアリングが損傷すると異音が出ます。
ハンドルを切って走行すると「カリカリ」と言うような音です。
さらに異音が出たまま走行し続けるとどうなるのか?
ドライブシャフト内部でベアリングが損傷してバラバラになり、動力を伝えられなくなるので走行不能になります。
走行不能になる前にドライブシャフトブーツが破れる前の交換が望ましく、破れていた場合は速やかにドライブシャフト本体もしくは状況を見てブーツ交換をする必要があります。
ドライブシャフトブーツの破れを放置すると
異音が出る
最悪走行不能になる
〈ドライブシャフトブーツ寿命は?〉
ではドライブシャフトブーツの交換する目安はいったい、いつなんでしょうか?
ドライブシャフトブーツの寿命を考えてみます。
今回入庫してきたワゴンRのドライブシャフトブーツの材質は、比較的柔らかく良く破れるタイプのものです。
しかしドライブシャフトブーツの寿命は距離数や年数ではっきりと言え無いのが現状ですね。
なぜかというとハンドルを良く切る乗り方の人と、直進ばかりの乗り方をされている車では違うからですね。
〈ドライブシャフトブーツ交換〉
それではドライブシャフトブーツを交換したので、レポートしますね。
まずは、ドライブシャフトから異音が出ているか?を確認します。
異音が出ている場合は、すでにドライブシャフト内部に異物混入があり、ベアリングを痛めている可能性が大きいです。
このように異音が出ている場合は、ドライブシャフトブーツの交換をするのではなく、ドライブシャフトASSYでの交換が望ましいです。
今ではリビルト品が出ているのでASSY交換でも比較的安く修理できます。
逆にドライブシャフトブーツが亀裂のみでグリスが外に飛び散っていない場合は、ドライブシャフトブーツのみの交換でOKですね。
そして今回のようにドライブシャフトから異音はないが、ドライブシャフトブーツが破れている場合、ドライブシャフトを分解し洗浄して組み付けという流れになります。
しかし洗浄しない整備工場もあることが現状ですよね。
その場合時間が経ってから異音が出るようになりますから親切な整備とは言えないですよね。
それでは実際の交換作業の様子を見てみましょう。
ドライブシャフトをミッションから抜くとATFが出てきます。
注意が必要です。
ドライブシャフトのアウタージョイントは「スライドハンマー」という特殊な工具を使用します。
内部のグリスもキレイにしますよ。
内部のボールを取り外し洗浄してキズなどのチェックをします。
今回は傷もなく再使用可能でした。
組み付けは念のために等速ジョイント用の消音グリースを塗布します。その後モリブデングリスを詰めていきます。
ドライブシャフト本体にブーツをセットしアウタージョイントを元通りに組み付けます。
新品のドライブシャフトブーツを組み付けます。
車両へも元通り組み付け終了です。
〈交換工賃はいくら?〉
みなさん実はここが1番気になるところですよね。
今回は片側(右側)のアウターブーツが破れていた場合で計算してみます。
ドライブシャフトブーツ:¥1900
グリース一式:¥1500
部品代工賃合計 ¥3400 ¥11900 ¥15300
今回はブーツのみの交換でしたが、異音が出ていてドライブシャフトASSYで交換した場合も概算ですが値段を見てみましょう。
リビルトドライブシャフト:¥12000
部品代工賃合計 ¥12000 ¥8500 ¥20500
当然ですが若干ASSY交換の方が高くなりますね。
このほか分割タイプのドライブシャフトブーツもあります。
部品自体は高いですが、工賃が安くなる場合があるので、自分は状況によって使い分けますね。
〈まとめ〉
ドライブシャフトブーツが破れると、異音などが出る上に最終的には走行不能になるので早めの整備をすべき。
異音が出ると高額修理にもなる可能性があるので、日ごろから定期点検などをしっかり受けて早めの予防整備をしたいとこです。
もし、すでに左右から異音が出ている場合や、リビルトのドライブシャフトを使用しない主義の整備工場などではかなりの高額修理が予想されますので覚悟も必要。
年式が低い場合や、過走行な場合は、そろそろ車の買い替えを検討しても良い頃かもしれませんね。
今回はドライブシャフトブーツ交換について話させていただきました。
ぜひまた見に来てください!