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「世界インフレの謎」by 渡辺 努

先般読んだ「物価とは何か」に続き、新型コロナのパンデミック後の現在に発生しているインフレの原因に関して、わかりやすく説明している。特に、現在のインフレは供給不足が原因で発生しているため、本来需要サイドは調節できるが供給サイドの調整ができない中央銀行にその対応を任せざるをえない状況という説明は新鮮でおもしろかった。

世間では毎日のように「モノの値段が上昇した」と騒いでいるが、問題はそこではなく、「モノの値段の上昇は当たり前で、それを賃金の上昇に繋げられるか」について、マスコミももっと声を大にして報道すべきだと理解した。

そういう意味で、この春の賃上げ状況は、長期に亘って続いているデフレ心理から脱却できるかどうかの瀬戸際だということもよく認識できた。

この本は、新書本でコンパクトに書かれているが、前作の「物価とは何か」より、良く書けていて面白い内容だという感想を持った。

評価は、間違いなく5/5です。

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