「世襲と経営」by 泉秀一
サントリーHDの会長であり、創業家の代表である佐治信忠氏のインタビューをベースに、彼の経営方針や人事政策等を紹介したもの。
著者の泉氏は、現在Newspicksの編集長で、1990年生まれで32歳と若い。
その若い泉氏が佐治氏へのロングインタビュー及びこの本の出版を可能にしたものには、何か背景があるのだろうか?
この本では、キリンとの経営統合が中止された理由、新浪氏を社長に招聘した理由、ジンビーム社の買収の背景、今後のサントリーの経営に対する創業家としての考え方等、なかなか他では聞けない佐治氏の話が盛りたくさんで大変面白かった。
鳥井信治郎の次男にもかかわらず、2代目社長の佐治敬三氏が佐治姓を名乗っているのは、てっきり母方の姓のためかと思ったが、この本によれば、当時サントリーは財政的に苦しくて、跡取りがいない財産家の佐治家から資金を援助してもらうために養子になったとのことであった。
サントリーホールディングは、非上場で創業家のファミリーカンパニーということで、なかなか情報開示が難しい中、よくこれだけインタビューできたものだと感心した。
評価は、5/5です。