「蜜蜂と遠雷」by 恩田 陸
今週簡単な手術を受けるため入院したので、前から読まなくちゃと思っていたこの本を入院中読み終えた。いつもの積読なので、読んだのは文庫本ではなく、単行本の方。本の帯には、第156回直木賞受賞作、2017年本屋大賞ノミネート作と書いてあるので、私が買ったのは直木賞受賞後、本屋大賞受賞前ということになる。
単行本は2段組みで500ページある大作ではあるが、各登場人物のエピソードとピアノコンペティションの進行内容がうまく織りあって、読者をぐいぐい引っ張っていく感じで、やはり直木賞と本屋大賞のダブル受賞となる作品だと改めて感心した。
文庫本の方には、あとがきでこの本の編集者がこの本が世に送り出されるまでのエピソードを書いているのを本屋で立ち読みしたが、この小説のモデルとなった浜松国際ピアノコンクールを作者と聞きに行ってから、この作品が出版されるまで10年以上もかかったという話で、そこまでかかった作品だけのことはあると思った。
今ちょうどその浜松国際ピアノコンクールが開催されていて、ユーチューブで1st stage 、2nd stage、3rd stageまでの演奏が聴けて、昨日6人の本選出場者が発表され、いよいよオーケストラとの最終演奏という段階。
小説もコンクールの各ステージでの演奏や合格者発表の状況を描いており、ユーチューブで見るそうした映像とこの作品の描写が重なって味わい深い。そういう意味で、このタイミングにこの本を読んだのは本当に良かったと思う。
評価を付けるのもおこがましいが、5/5です。