絵描きが小説文庫本出した時の備忘録
話は2022年12月に遡る。
普段一次創作で絵を描いているオタクはとあるドチャグソえちえちCPにハマり、日々イラストとSSを量産していた。
以前から小説の真似のようなSSを書いていた事もあったが気が付けば書いたSSは3000字、5000字、ついには1万字を超えていった。恐ろしいことにまだ書きたいネタがたくさん控えている。ありがたい事に好きだと言ってくれるフォロワーもいる、これはまとめて一冊の本にするしかないとオタクは思った。
しかしオタクは普段絵描きである、小説本を読むことはあっても入稿した経験は無い、しかし漫画同人誌は年に4冊出す程度にはよく描いた。つい先日も3月のイベントで頒布する本を12月に入稿したばかりであった。
出すか、小説本。
という気持ちで出たカバー付き文庫本262ページが出来るまでの備忘録です。
絵描きスペック
今まで出した同人誌は計7冊、一次創作の為30冊刷れば通販も回せる規模
小説は読むし多少書ける程度、好きな作家は京極夏彦と森見登美彦、川端康成
好きな文庫本は岩波文庫、新潮文庫、講談社文庫
執筆~入稿用データ作成まで全てiPhoneで作業
出すぞ、小説本!
そう決まったら印刷所などいろいろ決めなければならない、ありがたい事に小説同人誌を出しているフォロワーTさんがよく相談に乗ってくれた為印刷所については紆余曲折あったが満足いく装丁で刷る事が出来た。
Tさんありがとうございます、毎月何故か締め切りがあるのに付き合ってくれて本当ありがとう……またなんか詰まったらネタ出し手伝います。
装丁と印刷所を決める
いつか小説本出すなら文庫本の大きさで出したいな~外出先でも読めるし本棚にも収まりがいいし、何より文庫本っていう大きさが可愛い。
というわけでサイズは文庫本、A6で印刷する事に決定。
あと出来たらカバーも付けて新潮文庫っぽい感じにしたい
ここまで来たらあとはもう印刷所を探すだけ、普段いろんな印刷所で入稿している経験もあり小説本が印刷出来る印刷所さんにも何件か心当たりがある。
3軒ほどピックアップした印刷所さんでA6、100ページ(仮)、カバー付きという条件で見積もりをし、安価かつ一定の印刷クオリティが確約されているオレンジ工房さんの「【文庫サイズ・小説限定】フルカラーカバー付き小説セット」に決定。カバー付きプランあるのありがてぇ~!!
とりあえず本文を書こう
小説同人誌を出した事は無いがPDF形式で入稿する事は前出のTさんから教えてもらったので、PDFにする前の元データである本文をつくる必要がある。
本文に関してはポイピクに投げていた3000-5000字程度の短編を加筆していき1本につき1万字程度までに増やしていく。
執筆には「Nola」というアプリを以前から使用していたので引き続きそれを使っていく。時間のある時にスマホで打ち、帰宅後PCのブラウザ版から書いた。
そんなこんなで間にフォロワーとの神戸旅行をはさみながらも2週間程度で短編が8本揃い、合計文字数は8万字を超えた。執筆中、Tさんに「さっき1万字だったのにもう3万字になったの?!」と驚かれた。あのまた俺なんかしちゃいました?
自分がポンコツであることに自覚的なオタク、加筆修正をしながら推敲をしていく。多分3回くらい8万字の自分が書いた文章見直した、もうやりたくない。推敲作業が苦手だという字書きの意見を見たが全くもってその通りだと思う。眼の前に自分で書いたとは言えとてもえっちな自CP小説があるのに妄想よりも推敲作業を優先させねばならない。結局3回の推敲を経てもミスは2箇所残っていたし、加筆修正で最終的に9万字超えた。
入稿用データをつくる
漫画同人誌と違って本文が出来上がったからといってすぐに入稿できるわけではない。PDFで入稿するのだがオタクはPDFでの入稿がわからずnoteにある小説同人誌の作り方記事を片っ端から読んだ。
特に参考になったのはこちらの記事である、正直この記事を読んでくれている方には申し訳ないが圧倒的にナツメさんの記事の方が有意義であるのでこちらを読むべきであると思う。
こちらの記事で紹介されている「縦式」というアプリでPDFにデータ変換できるというので早速DLしてみるが、使い勝手がわからない。アプリを触っているうちに文章の入力方法と貼り付けについてはなんとなくわかった。
Twitterで縦式について悩んでいるとTさんから金言が出る。「とりあえず貼ればいい」
とりあえずデータを貼ればいい、それだけで気持ちが楽になった。
縦式というアプリの使い方については同じくナツメさんのこちらの記事が大変参考になるので読んでほしい。
タイトル通り10分以内に入稿用PDFが作れる。
改頁や改丁の違いもよくわからないまま、各章に見出し設定、改頁していく。PDFに出力してGoogle DriveにアップしPCに入稿用本文データとして保存。
つくるぞ表紙
絵描きなので表紙作りは割と慣れていた。と言いたいが絶賛このときは仕事が忙しく絵に関しても若干どころじゃないスランプ真っ只中。
フリー素材サイトから表紙タイトルに使えそうな枠をテンプレートに挿入していく。
入稿後に「あの市販文庫のカバー下のような表紙素材」という有料素材があった事に気づく。市販の文庫っぽいもの作りたい方がいたらこれどうでしょう。私もあの頃に戻ってこんなのあるよって私に教えてあげたい。
カバーあるだけで市販の文庫っぽい
正直カバーつけると高くなるってことは知ってた。具体的に言うと1冊500円程度、下手すればもう1冊薄い本刷れる額でカバーは刷られる。
それでも作者のワガママで市販されている文庫本のような装丁を目指していたので、思い切ってTwitterのアンケート機能で相場より高くなっても購入するかというフォロワーを試すようなアンケートをした。結果は高くても買いたいという声がほとんどだった。ありがたいと思いカバーのデータを作った。
この頃川端康成の「少年」が新潮文庫から出たものを買っており、好きな作家とページ数も近いこともあり装丁については新潮文庫のものをベースに作りました。
カバーに関して詳しくは以下のnoteに記事にしています
入稿、そして完成
データさえ揃ってしまえば入稿作業はいつもの漫画本と変わらない。
オレンジ工房さんはこの23年の3月から前金制となったので入稿データを送り、ミスが無い事を確認したメールが届いたあとに入金を済ませ印刷してもらう。
印刷所から発送の連絡があり、翌日には届き通販に備えカバーを巻く。
手に取ってみるとしみじみと文庫本というのは手に収まる
反省点
何冊同人誌を作ってもやはり失敗はあるし、基本ポンコツなので今回の失敗を記しておく。
カバーには何かしらPPをかける
(市販の文庫本はやはりPPをかけているし、カバー保護のためにも必要)市販文庫ぽいカバー下表紙したかった
というわけで絵描きだけど小説もたまに書くよって人いたら軽率に本にすればいいよ〜!文庫本いいよ!A5本の倍額(単純計算)かかるけど本棚に並べられるし外でも読める!
以上です!ありがとうございました!
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