天才バカボンのパパなのだ 本多劇場 2/21〜3/3

1・6・9・10・15/15 (13・14)
時間を知らせる音や光は無く始まる公演

電信柱の近くに設置しようと提案する署長
それに疑問を感じる巡査
まだその感覚を忘れてない巡査

席まで伸びる電線の錯覚でこの2人の会話を
舞台と客席の分離された距離感ではなく
道の向こう側から見聞きしている
通行人のような気分で楽しめる

キチッと揃った赤い巡査と
オレンジ 青がちぐはぐな署長

どっちがしっかりしてたのか
どっちがネジが外れかけてたのか

ボロ椅子を選んだことに対しての
冷めた目だったのかと一瞬思ったけど
そうじゃなかった
巡査の意見も改めて聞いてあげる良い上司

「雨が降ってないからだよ」
「…ねええ」一旦は納得しちゃう署長

物語の展開も追いたいから
ついつい喋る登場人物のみに自然と
フォーカスして舞台上を狭く見てしまうのが
演劇の見方になりがちだったけど
バカボンがどの場面でも立体的に存在していて
必然的にぐーっと引いた画面で物語を
見続けられた

(あぁそうだった、対角線上に存在する
もう1つの電信柱は天井側から草が生えていて
違和感があって、その違和感を飲み込んで
見続けるんだった)と思い返せて
より没頭できて楽しめた

「主人!?」の「!?」を表せちゃう浦井さん

メスなんだという確認中にママがする
あざけ笑いが毎回必ずくすっと笑っちゃうし
会話を聞いてる時の納得して頷いての所作が好き

「ヤマネコ」のイントネーション
変えてた違和感に後から気づけたし
聞こえてきた瞬間は空気に混ざりこんでて
気づけなかったし凄かった

「え..?思ってるよ..?」ってやたら溜めてた
回もあったりと毎回絶妙に変わってた

しょんぼりしたら傘を抱き抱えるバカボン
とってもしおらしくて可愛らしい

苺味だったんだね、教えてくれてありがとう

ぶつって決めてたんだもんね、バカボンは
流れるように返事してくれてありがとう

誰かが出てくる度に必ず
(何かが起きるって分かり始めてるけど
誰か声を出してこの違和感を唱える者は
現れるんだろうか)という淡い期待を
抱いては消しての繰り返しだった

稽古写真を見てた段階ではまさかこんなに
喫煙シーンが物語の鍵になってくるとは
全く思ってなかった

レレレのおばさんがしゃがんでみんなの
目線が下に降りてから煙を吐く
バカボンが奥から前に出てきて吸って吐く

ここがピントがぐちゃぐちゃになる
タイミングな気がしていて
この物語の中でのみんなの頭がゆがんでいく
瞬間なのかなと思い始めてきた

お豆腐屋さんの説明に割り込むパパを
巡査が制御する瞬間が「おとう..」と
言いながら横に流されてたり
四角のジェスチャーしながらだったりと
あのシーン凄くパパらしくて好き

配信のアングルだと署長がふら〜っと
椅子にもたれかかった時に背景の電信柱の
斜め具合とシンクロしてて良かった

署長の「よ〜し分かった」のパパ真似からの
「この辺少し開けとかないと〜!!!」は
語り継がれる名場面

レレレのおばさんが泣いちゃった時
いつもならみんなと慰めてあげてたのに
配信のバカボン呆れてた!新鮮!

署長に向けて全然謝ってなかった!

「私やりましょうか」って座ろうとする
パパに対して「お前何だぁ」って言うのは
結構核心をついてるなと思った

思い返してみたら今までの変な出来事の
発端はぜーんぶパパだった気がする

「え、なぜ」のこの上ない単調さが好き

唯一まともな人が現れたと思って
精神を保って事情聴取を貫き通そうと
思い続けてた署長だったのに
「何だかとても思いがけない気が
いたしますわ」という言葉遣いの辺りから
(おや..)と暗雲がたちこめてきて
ズボン云々を発案し始めたのをきっかけに

(あ、全員バカだ、お前すらもバカだったのか)
とふつふつ怒りが込み上げていた

怒号を浴びせた後の署長が机の上に残った
ペンを蹴飛ばした回があって凄い良かった
漫画の枠線を超えて欄外にペンが飛んでく感じ
あれを実写で見れた気がして嬉しかった

でも呆れて離れていかずに怒りながらも
ちゃんと本人達に言い聞かせてあげてるの
やっぱり署長は良い人なんだよなぁ

壁越しの声での初登場の初回が児玉さんなの
偶然だろうけど物語の空気にハマりすぎてて
かなり良かった

児玉さんが立体なら関町さんは平面の
役割を担ってくれてた
衣装がベタ塗りみたいで漫画チックだった

ここにきて赤羽さんがまた新しい風を
吹かせてた
帽子であんなに遊べる人の名前が
「男」な訳がない

KAZMAさんは知っている人を
見つけたかのような思い出し笑顔を見せて
多分全く知らない人だったから真顔で
歩いて行ってしまった

ここから面白くなりそうだなと思った矢先
客席の真ん中に座っていた女の方が席を
立ったのが視界に入ってきて
(え、ここから更に面白くなりそうな
予感しかしないですよ、お姉さん)
と勝手に心配しながら見てたらその方が
西出さんで勝手に安堵してた

今日は違う席に座ってた
私がそのすぐ後ろの列に入っていく時に
ちょうどあくびをしてて女2そのままだった

立ち上がってそのまま舞台に上がっていく
様子を目撃した男の人の「えっ」って
声が聞こえてきてにやにやしてしまった

西出さんより後ろの席だった人だけが
あの感覚味わえるからそこも楽しめる

青酸カリをもう持ってると知った
ママの納得の笑み素敵

「すぐ死ぬよ」で閃きポーズしてたり
「紙持ってないかな」で落ちてた警察
ファイル出そうとしてたバカボン良かった

慌てて思い出して「ビックリしましたか?」
って託してた質問をちゃんと聞いてあげてて..
こんなに素敵な署長を1人ぼっちに
させないでくれ..頼むよ..

走り出す時ママの表情イキイキしてて
どこのスタートでも目で追ってた

スポットライトの役割のみ全うしてたと
勝手に思い込んでた床紙がまさか
あんなにひらりと剥がれちゃうなんてね

あの場面鮮烈で強烈で大好きだな

GIFにして小さなブラウン管テレビに
ひたすら流しておきたくなるような気持ち

うっすら小さく鳴り始めてたBGMが
よく聞いたら異様な音量まで膨れ上がってた
だけど1人1人の夢遊病のような動きに
釘付けで全く気づけてなかった

椅子から崩れ落ちた回もあったけど
あれもあれで良すぎるシーンだった

明日も14時に間に合うように
本多劇場に向かってしまいそうです。
行って席に座ってしまえばこっちのもの、
何食わぬ顔で巡査が机を持ち上げながら
署長がその後ろから椅子を2つ転がして
現れてくれそうな気がしてしまいます。

本当に終わってしまったんですね。
楽しいひと時をありがとうございました。