見出し画像

「満たされる食事とは何か」ワークショップで料理家の私が受け取ったもの

こんにちは。スパイスとハーブの料理家の左近です。
今回のnoteは、レシピではなく先日料理家として参加したワークショップの振り返り記事です。振り返りながら、私の食事に対する想いを綴りました。もしよければ、ワークショップにご参加いただいてない方もご覧ください。


ゲストとして参加した魔女術WSサバト「ルーナサ」について

普段は月に2回の間借りカレー屋をしている私ですが、7月末に現代魔女であるパラレル宇宙子さんの魔女術WS(ワークショップ)サバト「ルーナサ」の回にて、料理をレクチャーするゲストとして参加をしました。

ワークショップの様子
現代魔女のパラレル宇宙子さん

<サバトとは>
ざっくり説明すると、季節の移り変わりや、植物の種まき、成長、収穫などの節目で祭壇を作り、自然に敬意を払い感謝し祝う、古くからある西洋の文化です。
サバトは1年間の中で何度かありますが、それぞれ時期によって意味や内容が異なります。今回のワークショップは、「ルーナサ」と呼ばれるもの。ケルトの「太陽神ルーの葬儀」が起源であり、最初の収穫を祝い、太陽神の犠牲を感謝します。

今回は、太陽神(男神)に見立てた人型パン「グリッティベンツ」と、大地の女神(収穫・穀物の精霊)に見立てた「コーンドリー」、夏野菜をグリルした収穫祭カレーを参加者の皆さんと一緒に作り、自身の成長も振り返りながら第一収穫祭をお祝いするワークショップ。私はゲストとして人型パンのグリッティベンツと収穫祭カレーを作る部分をサポートしました。

ワークショップ全体の様子は、先日無料公開された宇宙子さんのYoutubeやnoteからご覧いただけます。


私にとっての豊かな実り

完成した夏野菜の収穫祭カレー

今回の魔女術WSサバト「ルーナサ」は第一収穫祭であり、これまでの努力や成果を振り返り、祝い、豊かな実りを分け合うサバトでした。

ワークショップを終えてから、私にとってのこれまでの成果・実りは何だったのかを改めて振り返ってみたのですが、「このワークショップにゲストとして参加し、無事に終えることができたこと」自体が今までの努力の成果を表しているなとしみじみと感じました。

1年前の私が同じようにワークショップにゲストとして参加をしても、実力や経験不足で思うように上手く立ち回れていなかったと思います。

間借りでカレー屋を営業し続けたこと、商品開発やレシピ開発を経験したこと、自分自身で食品を販売するを経験を積んだこと、今までプロジェクトマネージャーという立場で仕事をこなしてきたこと、料理家として活動することを公言し、SNSで発信していたこと。まだまだ知識を深め、経験を積み、精進する身ではありますが、この数年で積み重ねてきたものがあったからこそ、私らしくベストを尽くし、ワークショップに参加することができたのだと、自分を振り返ることができました。


今回のワークショップで私が受け取ったもの

さらに、今回の経験は私にとって心の燃料にもなりました。詳しくは、宇宙子さんが無料公開されている動画をご覧いただければと思いますが、今回のワークショップの参加者の皆さんの中には「食べることが辛い(もしくは、そのような時期があった)」方が数名いらっしゃいました。

その中でも自分と食べることに向き合い続け、「食事はお腹が空いたら食べるというシンプルな方法でいいんだと実感した」「これからは、食事や料理を楽しんだり、身体が喜ぶものを食べたい」と仰っていた参加者のムウンさんが最後に自分の素直な気持ちに気付かれた場面では、料理家として響くものがありました。

完成した個性豊かな皆さんの人型パン(グリッティベンツ)

食事は生きていくために必要なことですが、それだけではなく、自然や生きることに向き合うこと、自分と向き合いながら感覚を取り戻すようなメンテナンスもできる大切な日常の営みだと思っています。

だからこそ、今回のワークショップでムウンさんが食事と向き合ってきた話を聞いたり、参加者の皆さんが楽しく料理をされている様子を見て、私が料理家としてやりたいこと、目指したいこと、表現したいことの再確認ができました。


満たされる食事とは何か

もう少しだけ自分語り失礼します。
私の座右の銘の一つに「吾唯足知(われ、ただ たるを しる)」という言葉があります。この言葉は直訳すると「自分は満ち足りているということだけを知っている」という意味の言葉ですが、私は「目の前の豊かさを見つめる」ことだと解釈しています。それは生きていく上で大切な感覚であり、忙しなく生活を送っていると忘れてしまいがちな感覚です。

何をもって「満ち足りている」「豊か」とするかは人それぞれですが、豊かさを感じるにはまず「自分にとっての豊かさ」を知ることが必要です。後から知ることもありますが「私が何を求めていたか」を自覚するからこそ、それが達成された時に豊かさを実感します。逆にどれだけ苦労のない生活をしていても「自分にとっての豊かさ」を自覚していなければ、満たされている感覚はないでしょう。

それを踏まえた上で、このnoteを読んでいただいている方に問いかけたいのですが、<お腹が空いた時に自分が今何を食べたいかを考え、それに応えること>以上に自分が満ち足りていることを実感しやすい機会があるでしょうか。(人によってはあるかもしれませんが!笑)

宇宙子さんの畑で収穫した野菜たち

昨今SNSを開けば、おかずの品数が多い料理や彩鮮やかで栄養バランスのとれた食事の投稿、科学調味料が使われていない食事など、健康的で身体に優しいと感じる様々な食事が目に入りますが、それを真似たときに例え出来上がった料理が健康的であっても、その料理をすること自体がとても苦痛であったり、食べても美味しさを感じなかったり、自分のライフスタイルに合っていなかったり、食事中や食後の自分の心が健康的でなければ、健康的な食事と言えないのではないかと私は思っています。

豊かな食事は丁寧なご飯でなくてもいいんです。料理家と名乗っている私でさえ、朝ごはんがみかんの時もありますし、夜ごはんが味噌汁と白ごはんだけの時もあります。

食べたいものを考える時も毎日事細かに考えなくても、家に冷凍うどんがあった場合、冷たいうどんと温かいうどん、今自分はどちらが食べたいかを考えるだけでもいいんです。自分が今できることの範囲で自分の心と身体が満たされるものが何かを考えた結果がそれであればいいと思います。

(たまに、疲れていると脳と口が求めているものと、胃と腸が求めているものの解離が起きて「身体に悪いと思っていてもギルティなものを食べ続けたい」とか「求めているものを食べているはずなのに満たされない」場合もあるのですが、その話はまた別の機会に書きます)

自分が食べたいと思っていれば、1品だけでもいいし、お米だけでもいい。炊き立ての白米の美味しさにかなうものはありません。お味噌汁だけでもいい。ひと口啜っただけであんなに五臓六腑に染み渡る食べ物はありません。茄子を焼いて醤油と鰹節をかけるだけでも、買った旬の刺身を食べるだけでもご馳走です。

毎日、毎食ではなくても、自分で食べ物や飲み物を用意しようと思えて、その食事だけはホッと心が緩んだり、美味しさを噛み締めたり、季節を楽しめるような、心も体も満たさせる食事がこの世の中から少しでも増えるように、私はこれからも料理家としての活動を続けます。

そう強く言い切れるパワーと、これから新しいことにもチャレンジしていこうという前向きな気持ちを今回のワークショプでたくさんいただきました。

改めて、お誘いいただいた宇宙子さん、ワークショップにご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

最後に

今回ゲストとして参加したワークショップのように、今後は店舗営業以外の活動も増やしていきます。

すでに予定しているものがいくつかあるのですが、「主催するイベントでスパイスやハーブの使い方を学ぶワークショップをしてほしい」「料理教室をしてほしい」といったお誘いやご依頼も受け付けておりますので、webサイトのお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。


いいなと思ったら応援しよう!

左近榮梨|スパイスとハーブの料理家
いただいたサポートで新しいスパイスを購入します🍛