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通勤の途中で

朝の通勤時間帯は、人口減少が著しいこの街でも人通りが多くなる。自分は天気に関わらず徒歩通勤だが、通る道は歩行者以外に自転車も通る。

最近は、見慣れたママチャリよりクロスバイクとでも呼ぶのか、洒落た自転車を多くみるようになった。ファッションなのか健康志向なのか、いずれにしても、乗っている人も格好よく見えるから不思議なものだ。

そんな自転車に、時折、後ろから自分の体スレスレのところをすり抜けられることがあり、肝をつぶす。もしぶつかったら、わが身はもちろん自転車に乗っている方も無事では済まないかもしれない。後ろに目が付いていたらいいのにと思う。

歩き進んで交差点にさしかかると、地下道の出入口があり、そこは道幅が狭くなっている。人一人なら難なくすれ違えるが、そこに時折自転車が突っ込んでくる。何の挨拶もなく突っ込んでくるものだから、歩行者優先を主張して、衝突覚悟で前に出ようと考えることもあるが、衝突したら勝ち目はない。加えて怪我でもしたらと思うと、強気な姿勢は急速にしぼんで、道を譲ってしまう。

負け犬の遠吠えになるが、どうして譲ることを考えないのだろうか?単に考えが及ばないことが原因であれば、どうにもしようがないが、ひがみ根性が染みついた我は、譲ることが「損」または「負」になると感じる人が多いのではないかと思う。

「譲り合い」を美徳としていた時代は過ぎ、「譲れ!オイ!」の時代になったのだろうか。

還暦が近づいても強気になれず、ついつい譲ってしまいながら、「陰徳あれば陽報あり」だの「情けは人の為ならず」と自分を慰めている。


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