【技術書典】運営の助言に逆張りしてみたら #技術書典 6 で爆死して令和早々生活が困窮している話
はじめまして。フリーランスでフロントからバックエンドまでやっている坂本さん(@Skmt3P)と申します。令和の目標は「フィンランドへの移住を果たすこと」です。自分のマネーフォワードの残高を見て、さっそく現実に打ちのめされつつありますが、頑張ってます。フィンランド移住の件についても、今後はnoteに書いていきますので、その際には何卒よろしくお願いします。
タイトルでお察しいただけることとは思いますが、私は(1)技術書典6での爆死と、(2)個人事業のアクシデント(*有料部にて紹介)を不幸にも同時期に被ってしまった者です。どっちか片方だけであればきっと石油王ばりの富裕層に属していたはずです。しかし、実際には極貧層の人間なので、この貴重な10連休は、遠出と言っても近所の喫茶店で安い珈琲を啜りに出かけたり、会費引き落としされる前の24時間営業のジムで鍛えたり、基本プレイ0円のシャニマスを嗜むことしかできない、華々しいイメージ(=偏見)のあるフリーランスエンジニアとは対極の生活を送ることになりました。
本稿はあくまでも自戒です。言いたいことは...
1. 技術書典(に限らず、即売会全般)にサークル参加する際には、運営の皆様の言うことにはしっかりと耳を傾けような!ということ
2. これ
3. 銭けっとや技書博など、各界隈のエンジニアがサークル参加して技術書を同人頒布する機会と参加するサークルが増えているのはとってもいい事だと思うけど、サークル参加する前にちょっと一考してみような!ということ
4. 「成功談や楽しかった談が犇いているが、わいみたいに失敗する人もおるんやぞ!わいみたいにはなるなよ!」ということ
5. 技術書典が邪悪という話ではなく、もっと計画的にサークル参加し(*生き)ような!ということ。技術書典のサークル参加はなんだかんだ楽しかったです!
本稿執筆までの流れ
2019年1月に技術書典運営からのアナウンスがあり、サークル参加を検討しました。その時には「執筆できるテーマも技術力も持ち合わせてないけど、ちょっくら挑戦してみようかな」ぐらいの勢いで申し込んでみました。が、蓋を開ければ2/5の当落通知で落選。ツイッタランドで無限に愚痴っていたところ、心優しき方にお声かけいただき、便乗という形ではありますが、初のサークル参加にこぎつけることができました。
サークル参加が初めてで、かつ、これまでに他所向けに書いた文章なんて、ブログや黒歴史小説か卒論しかない、しがない文系大卒クソ雑魚エンジニアということもあり、書籍の執筆には30人日は少なくともかかった気がします。決して順調な進捗とは言えませんが、どうにか新刊を落とすことなく、技術書典を迎えることができました。
しかし、実際に技術書典6で頒布してみると、大多数のブース来訪者に見本誌を手にとってすらもらえずに、自分にとっての技術書典6が想像以上に呆気なく幕を閉じてしまいました。通常時であれば「高い勉強料だったなぁHAHAHA」と笑ってTHE ENDなのですが、(2)個人事業のアクシデント(*有料部にて紹介)があったことから、技術書典後の数日は「これはやばい・・・」と仕事に頭が回らなかったことは、今でも記憶に新しいです。この時の精神状態は、数年前の薄給SIコンサル時代を彷彿させるものでした。
資産を切り崩し、債権債務を整理した結果、とりあえずの目処が立ったことから、今はようやくこの事をこの記事を書いて自戒することができるくらいの精神状態に戻る事ができました。余談ですが、現状は今月働くための定期代すら手元にありません。
マシな精神状態になったので、出かけることもままならないGW前半に改めて技術書典へのサークル参加を振り返りました。すると、「あー...これは自業自得だわ」などと反省する点が多々見つかりました。本稿は、その反省結果を世に出すことで、「来年以降の令和では、こんな辛いGWを過ごす方がひとりでも減りますように」という自戒と願いを込めて綴っています。以下、技術書典6で自分がとった逆張りと、過去の自分への叱責です。
「頒布数が多いのは電子書籍よりも紙の書籍!」への逆張り
運営主催の勉強会で表記の助言をいただいたにも関わらず、書籍は電子書籍のみの頒布としました。物理的には、そのダウンロードQRコードを記載したクリアファイルとシリアルコードを貼付したチートシールをセットにして頒布しました。この一風変わった方式を採用した理由は、(1)紙の書籍を印刷するよりも頒布数単位の印刷費用が低コストであり、(2)在庫が出た時にクリアファイルとシールなら嵩張らず、(3)ダウンロードカードと違い、ダウンロード後のカードがただのゴミにならず、(4)続編を頒布する時にセット売りしやすそうで、(5)単純に前例が無さそうで面白そうだったためです。今思えば、「この発想したわい天才やん」という自己陶酔もありました。
「ウルセェえええ!!!御託はいいから(1)紙本は絶対に頒布しやがれ!紙本の末尾に電子書籍のダウンロードQRコードとシリアルコード貼付して適当なオンラインストレージから電子版もダウンロードできるようにしろ!(2)電子版は物理版の頒布と同日からダウンロードできるようにしろ!BOOTHとか使え!あと『【ダウンロードカード版】0円』の頒布はBOOTHでの検索結果を汚す粗悪なソリューションだからやめろ!」という話です。
「タイトルは一発で分かりやすい方がよい」への逆張り
今回頒布した書籍のタイトルは「WebDev from Zero」でした。このタイトルだと「Web開発を0からやるんだろうなぁ」としか得られる情報がありません。ふわふわ時間しているため、本書のターゲットとなる方が、非常に本書にリーチしづらいタイトルとなっています。今更ですが、今回頒布した書籍のターゲットは、Web開発・技術書執筆・フリーランスの入門者です。このターゲットに向けた、「心理的ハードルを下げるための」入門書を執筆しました。内容はざっくり次の通りです。
我ながら、こう書くと結構充実した内容ですね。ただ「お前、WebDevしてるの1章だけで他はタイトルと内容あってねえじゃねえか!」とか「そもそもオムニバス形式にしたのが邪悪」と突っ込まれると、完全論破です。反論のはの字も出てきません。なんでこんなタイトルにしたかと問われれば、「カッコいいから」とか「海外企業へのエントリーシートに貼付する時に英語の方がパッと見で伝わりやすそうだから」とか「カッコいいから」という小学五年生の頃から変わらないちっぽけな理由しか出てこないんですよね。
「タイトルは一発で分かりやすくしろハゲ!あと、このタイトルはちょっと寒くないかにゃー?」という話です。ただ、祖父はハゲていますが私はハゲていません。
「初めての頒布は100部くらいが適当」への逆張り
「100部を2回刷るよりも200部1回刷る方が圧倒的に安い」というジレンマが人を狂わせます。技術書典の運営の方は、100部が適当という話も、このジレンマについても事前の勉強会でお話してくれていました。そして私は「クリアファイルなら在庫残っても薄いし200部刷って大丈夫デッショー」という浅はかな思想のもと、200部を刷ってしまったわけです。実際は100部で十分でした。
ただし、この話については、今でも初参加でも頒布できる本は150〜200部刷っていいと思っています。頒布できるかどうかは事前のチェック数から見積もるしかないのですが、これが非常に難しい。今回の自サークルの集計結果からは「印刷前時点で20〜30のチェックがあれば150〜200刷って大丈夫」と言えるっぽいことが分かったのですが、実際どうなんですかね?サークルチェック数は指数関数的に技術書典直前に増えるので、とっても難しいんです。自分たちの場合は今回が初参加で、且つ1サークル内で毛色の異なる書籍を2種類頒布する予定であったため、本当にさっぱり分からんマンでした。
「う、うん。これについてはどんまい。ほら、クリアファイルなら在庫出ても薄いから大丈夫って読みは当たってるからええやん?でもやっぱり結果論からいえば100部ぐらいがなんだかんだ適当なんじゃないかな?」と、流石にこの点については過去の自分を叱責できません。紙本でないが故に大量の在庫を抱えることになったのかも知れませんが、紙本でないが故に在庫が嵩張らなくて保存が楽になったという・・・うーん、これもジレンマなんですかね。
「『広く浅い書籍』よりも『狭く深い書籍』の方が人気」への逆張り
これは本当に猛省すべき逆張りです。運営の方も先の勉強会でこれを話してくれたのですが、「『狭く深く』語れるモノを持ってない」が故に、広く浅いオムニバス本を頒布してしまいました。そして、ここで改めて『広く浅い書籍』と『狭く深い書籍』を比較すると、(1)前者は後者よりもターゲティングが不明瞭で一般参加者にリーチしづらく、(2)そもそも前者なら商業誌で十分で、技術書典に来る客層は後者を求めてやってくることが多いことに気づきました。加えて、自分が書いたWeb開発(Nuxt+Firebase)や技術書執筆、フリーランスをテーマにした書籍は、同人誌はもちろん、数多くの商業誌が既に世に出回っており、既に市場が飽和している状態でした。そんな中、多少のオリジナリティを出した同ジャンルの書籍を頒布したとしても、なかなか一般参加者各位の購買欲求を刺激しづらいことは言うに及びません。
今回頒布した書籍では、もはや暗黙知となりつつあるNode.jsやエディタのインストールからWebアプリや技術書執筆の環境構築をする手順を紹介したり、はたまた普通のフリーランスのお金や仕事事情、失敗談を掲載したりして、0から出来て、こうした挑戦への心理的ハードルを下げる書籍を執筆できたと自負しています。しかし、対象読者にリーチできなければその努力も無に帰してしまうのです。ただ、今回はありがたいことに、少数ではあれ、一般参加者の方に手にとっていただくことができました。その点は、非常に感謝しており、また非常に嬉しい体験でした。
「兎にも角にもたくさん頒布したいなら、『狭く深い書籍』を書け!書けないならインフルエンサーにでもなるか、他の書籍の5000兆倍宣伝しろ!じゃないと到底頒布なんて出来ないぞボケェ!」と言う話です。
と、ここまでが本節における「より多くの人に頒布すること」が技術書執筆のモチベーションになっている方(=ここまで本稿を執筆した自分)に向けた内容です。しかし今思うと、「より多くの人に頒布すること」がモチベーションになるのも冷静に考えればおかしな話で、書きたいことや思いがあってこその同人誌であることを、(2)個人事業のアクシデント(*有料部にて紹介)に囚われ、また最近ヲタ活から縁遠くなってしまったヲタクは忘れておりました。
「うっせええぇ!書きたいこと書いて、爆死する覚悟を持って、ダメな時には爆死しろクズがぁ!(※それとは関係なく、計画的に生きような)」と言う話ですねこれは。
「『収入を得るため』でなくとにかく『楽しんでください』」への逆張りをした結果
(2)個人事業のアクシデント(*有料部にて紹介)があったことから、執筆当初から「技術書典で収入を得ること」が脳にこびりついていました。フリーランスという仕事柄、工数を割いたからには収益化したくなる思いは多少は出てしまうものかと思いますが、それにしたって「純粋に楽しむこと」が出来なくなるくらいレベルの収益化への執着は、今振り返れば、イベントを楽しむことを阻害する邪悪な思想だと思います。
そもそも、一個人が適当にやる規模感での同人活動の黒字化は非常に困難です。その時間普通に働いた方が普通のサラリーマンであれ、フリーランスマンであれ、圧倒的に稼げることは言うに及びません。しかし、そんな中、例え赤字であろうと時に苦しみ、時に楽しみ、頒布イベント時には全力で楽しみ尽くすのが同人活動の醍醐味なのではと今回の技術書典で思いました。
「金に執着しなきゃならない時は執筆活動はやめて稼いどけ!!!執筆するなら金勘定はぶん投げて楽しみつくせ!!!」と、これ、今回の総評な気がします。自分で書いてて心が晴れた気がします。
逆張り以前の段階で詰んでいた結果
これは完全に余談ですが、技術書典のサークルチェックってこんな感じなんですよね。
今回自分は「こ09 C++全く分からん」から参加させていただいたのですが、冷静に考えて「サークル名とか島の場所は後から参加させていただいた身なのでどうしようもないけど、サークルカットをガチで書かないとどうやってもリーチしねぇ・・・」と思いました。これをSketchで1時間弱でチャチャっと仕上げたわいがうんこだった。。。
このサークルカット(右下の方)から、Web開発・技術書執筆・フリーランスのオムニバス本書いてるなんてわかりますか?書いた本人である私にすら分かりません。ブラウザ標準のキーワード検索以外には、検索機能が備わっていないページであるため、サークルカットやサークル名は、技術書典6における数少ないサークル検索の手段となります。そして、私はこのサークルカットの時点で詰んでいたと言う訳です。どうりで勤務先の方や友人に「坂本さん、どこいたんすか???探してみてもさっぱり分かんなかったっすけど」って聞かれる訳じゃい。探せないんだもの。
「サークルカットちゃんと書けよ!!!!!!」と言うオチでした。
おわりに
さて、生活が困窮しているのは事実ですが、サークル参加は楽しく、実りある経験を得ることもできました。なんだかんだサークル参加してよかったと言う思いは終始変わっていません。とは言え、無計画に挑んで辛い思いをすることもあるのもまた事実なので、この記事で、そんな思いをする人が一人でも減ればいいなと思っています。
文中においても紹介しました今回の技術書典で頒布した書籍ですが、BOOTHで絶賛頒布中です。100部くらいまでは同時に購入いただいても大丈夫なはずです。買えない方、買わない方もハートだけ押して帰ってもらえるととってもとても嬉しいです。何卒、何卒よろしくお願いします😇
心理的ハードルを下げる本(Webアプリ開発・技術書執筆・フリーランス)【クリアファイル付電子版】
心理的ハードルを下げる本(Webアプリ開発・技術書執筆・フリーランス)【電子版】
また、本日開催される銭けっと2にも出展させていただきます。困窮につきお釣りはありませんので、諭吉でのお支払いはご遠慮ください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。
では、拙文を最後までお読みいただきありがとうございました🙇♂️
**以下は有料ラインです。個人事業のアクシデントについてのポエムを色々ぼかして書いています。書籍に関心のない方でも、赤い羽根募金感覚で課金して読んでもらえると幸いです。**
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