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【企業インタビュー】食品ロス削減に向け新規事業に取り組むサンチュ農家。課題だったマーケティングを副業人材が解決。

平均気温15度という温暖な気候の千葉県旭市。この地で20年以上に亘り、葉物野菜「サンチュ」の生産・販売を行うのが有限会社かまやです。サンチュ専門農家として、収穫や検品を人の手で行うなど、新鮮で安全なサンチュ作りにこだわっています。

同社が今取り組んでいるのが、社会問題にもなっている食品ロス(※)問題。そこで新規事業として、規格外のサンチュを使ったピューレや調味料といった新商品の開発を進めています。

※食品ロスとは、本来は食べられるものの、売れ残りや規格外などの理由で廃棄となってしまうもの。

製造メンバーはいるもののマーケティングのできる人材がいなかったという同社では、副業人材を活用することにしました。今回は副業人材の活用について、同社の加瀬智美さんにお話を伺いました。

―副業人材を活用しようと思われた背景を伺えますか?

千葉県の旭市で、江戸時代から続く農家の屋号「かまや」を継ぎ、1999年からサンチュの農園を営んでいます。市場へ卸す他、焼き肉店などの飲食店にも卸しています。

サンチュは特殊な野菜でして、大根のように収穫したら終わりではありません。茎から出てくる葉を、出荷できるか否かに関わらずどんどん採っていく必要があります。ですからどうしても食品ロスが出てしまいます。

また、ここ数年はコロナ禍で飲食店が休業する期間があり、食品ロスが増えたこともありました。せっかく育てたサンチュを廃棄することに、心を痛めていました。そこで食品ロスを使って加工品を作れないかなと考えました。過去にも父がサンチュを粉末にしたり、餃子の皮に練り込んだりしたことがありましたが、販売に繋げるのが大変だったことや加工賃がかさんでしまい売値が高額になってしまった印象があります。そのため自社で工場を立ち上げることで、コストを抑えつつ業務用には料理に使えるピューレ、個人向けにはソースやドレッシングのような調味料を製造販売したいと思っています。

原材料は自社で用意が可能で、チームには食品加工のプロがいますので、製造も問題ありません。一方で課題になったのが、販売やマーケティングでした。普段は市場や飲食店への販売が中心なので、個人消費者向けにどんな戦略で販売すればいいかわかりませんでした。

悩んでいたところ、地元の金融機関の方から副業人材の方を活用してみては、というご提案をいただきました。旭市は都心から離れていますし、最初はそういう方にお願いできるのかなと正直半信半疑でした。でも販売やマーケティングのスキルを持つ方が多数登録していることや、都心の方が2時間かけて来るのではなく、オンラインで打ち合わせできることを金融機関の方から教えていただき、チャレンジすることしました。

―副業人材を募集する際に、どのような人材をイメージされていましたか?

今回新商品を開発するチームは20代や30代の若いメンバーが多く、普段からLINEなどでやり取りしています。ですから副業人材の方も、できればチームメンバーに近い世代で、LINEなどに慣れている方がいいと思いました。

副業の方の場合、毎日顔を合わせて話せるわけではないです。週1回オンラインでのやり取りだからこそ、チャットツールなどでしっかりコミュニケーションすることが大事かなと考えました。

―副業人材の募集から採用までの経緯を教えていただけますか?

Skill Shiftを通じて募集したところ、23名と多くの方からご応募いただきました。本当は全ての方とお話したかったのですが、なかなかそうもいかず、3名の方に絞らせていただきました。絞ったポイントは、書類で経歴や実績を具体的に書いていただいたところです。やはり漠然としたことよりも、数字などを使ってわかりやすく実績を記載いただいた方がイメージしやすかったです。

面接の結果、1名の方を採用させていただきました。その方は面接の時から「今日はこの時間でこれについてお話をします」と進行してくださったんです。すごく時間やタスクの管理が上手な方という印象を受けました。

私自身、今は新しい工場の立ち上げを進めながら、新商品開発の打ち合わせにも参加し、さらに副業人材の方と販売について考えるという状況です。全て同時進行ですので、正直こなせるかなという心配がありました。

そういう中で「いつまでにこれをやりましょう」ときっちり管理してくださる方なら、安心してお願いできると思いました。その方は30代の都心に住む方で、大手ECサイトの会社にいたご経験もあり、実績もたくさんお持ちの方です。

―採用した副業人材の方に、どのような業務を依頼していますか?

昨年(2023年)の11月に契約して、だいたい週1回オンラインでミーティングを行っている感じです。今は新商品の製造販売に向けて、いつまでにどんな準備をするべきかについて、洗い出していただいているところです。すごく細かくタスクを出していただき、進捗状況を資料にまとめてくださるので、とても助かっています。

―副業人材の方を起用したことで、どんな効果がありましたか?

来月から新商品の製造がスタートする予定ですので、売上という面での成果はまだ出ていません。ただ準備に向けて、副業人材の方にはすごくサポートをしていただいています。タスク管理も素晴らしいのですが、やはり社外の方から客観的な意見をいただけるところがありがたいですよ。私自身とても勉強になっています。

副業人材の方には、開発している商品の製造やパッケージについてもアドバイスをいただいています。その方はマーケティングが専門なのですが、それでも「専門ではありませんが、今はこういう商品がトレンドですよね」という感じで、いろいろな視点でご意見をいただいています。

また「他にご相談があれば伺います」と言ってくださるので、新規事業だけではなく既存の事業についても相談しています。ちょっとしたことを相談できる方がいるというのは、すごく心強いです。

―今後はどんな展開を目指していらっしゃいますか?

まずは新規事業である新商品をしっかり売って実績をつけていきたいと思っています。ただその後には、ご近所の農家さんたちの食品ロスも、今回弊社が立ち上げた工場で加工できればいいなと考えています。

旭市は千葉県の中でも特に農業が盛んな地域で、近所にはいろいろな作物を作っている農家さんがいます。千葉県は加工工場の数が少ないので、これまで加工品を作るには県外の工場にお願いするケースがほとんどでした。そうなるとどうしても輸送費がかかってしまいます。しかし今回立ち上げた工場なら、近隣の農家さんも輸送費を気にせず手軽に加工品を作れるようになると思っています。

これは私たちにとっても、メリットがあります。私たちが生産しているサンチュは夏に需要が増えるため、夏の間は食品ロスが減ります。そういう時期に他の農家さんの食品ロスで加工品を製造することにより、工場をしっかり稼働させることができます。

今回の取り組みをきっかけに、弊社だけではなく地域全体の食品ロス削減につなげていきたいです。

COMPANY PROFILE

有限会社 かまや
〒289-2514 千葉県旭市椎名内1338

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