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愛玉子のもうひとつの標本

それは、愛玉子のワークショップのために東京に出張へ行った帰りの話。
せっかく東京へ行ったなら、
寄りたい場所が2つあった。
ひとつは「東京都立牧野標本館」
もうひとつは練馬区の「牧野記念庭園」

標本館は事前に閲覧のお願い申請を送って、
歓待していただいたひとときだった。
牧野記念庭園は、以前遊びに行ったことはあったが、こうして愛玉子のことに深く関わりだしてからは初めてでしかも学芸員の方にお会いできたらお話を聞きたいなと思ってはいたが、アポを取っていたわけではなかったので、偶然おられたのは幸運で、牧野博士のお導きだと思った。しかもお約束がある中、時間を割いてお話をいただけて、本当にありがたかった。

念願の本物の愛玉子の標本を見るために向かった「牧野標本館」
その標本によって、牧野博士は世界に向けて
愛玉子を「Ficus awkeotsang Makino」の学名で発表し、台湾語が由来の「awkeotsang」がラテン語のようにおしゃれになって世界へ発信されたのだ。
大ロマンである。
そんな奇跡の標本を、室長としては死ぬまでに拝まねば!

いざ行かん! 植物愛の宝庫、「牧野標本館」へ。

標本を拝みに行くと、ご担当の中村様が丁寧に案内をしてくださった。
中村様をひとり貸切状態で館内を案内していただいた。標本館の設備はすごかった! どうすごかったかは割愛するが、これを牧野博士がご覧になったらさぞかし、お喜びだろうなと思った。
そして去年なら「らんまん」騒ぎでゆっくりと説明も聞けなかったという。今年で良かった。

知らなかった標本も見せてもらうことができた。
それは地味な愛玉子の枝が数本の標本。
すっかり枯れた状態の枝だったが、どこかしら生命力を感じた。
そこにまたすっかり茶色く変色した墨書きの書簡もついていた。
なんと牧野博士宛に送られたとみられる書簡だ。
もちろん当時の臺灣に在住していた人からの書簡であろう。中身も見せてもらえた。
昔の時代劇にでてくるような
果し状のような巻物状態の長い紙に縦書き、
墨字でびっしりと書かれていた。
旧字、昔の話し言葉で綴られた文は達筆で
解読が必要だったが、中村さんが事前にある程度調べてくれていたので、その場で解読してくださった。(ありがたい!)
なんと、明治時代の町中の風景が蘇るような描写で、当時の愛玉子の民間の食べ方が綴られているではないか!

もうその瞬間 明治時代の臺灣にタイプトリップ。
町に馬車が走り、轍で砂煙がたつ路地に子どもたちの人だかりが見え、暑い夏の日差しの中で、ひんやり冷たい愛玉子を頬張っている人たちの姿が目に浮かぶようだ。感動。(>▽<)

この文書を送った人はどういう人だったのか、牧野博士にどのように依頼されて書いたのだろうかといろいろ妄想が膨らみ、書簡の送り主を調べることとなった。消印が不明瞭でいつ送られたのかわからない。送り主もどういう人物なのかが詳しくわからなかった。中村様の調査では、当時臺灣で国語教師だった人らしい。全文の解読は、練馬区の牧野記念庭園で学芸員をされていて、ドラマ「らんまん」に合わせて、放映前から高知新聞で牧野博士のコラムを掲載、その後「シン・マキノ伝」として本も出版された、田中純子様にお願いすることとなった。(なんという幸運)
本を持参していなかったのを本当に後悔した(サインをもらい損ねた)

結果、
いろいろわかったことがあり、
とてもおもしろかった。
こういうのは、どこでみんなに知らせればいいのだろう?とりあえず、よく投稿するインスタグラムでもいいかな? Facebookでも見てもらえるし・・・

そして情報を提供してくださった中村様と田中様に御礼の気持ちを込めて、まずは
ここに知ることとなった経緯を書くこととした。


おまけ。
この話とは全然関係ないけど、
愛玉子に関連する話で、最近がっかりなコラムを2つ見つけた。
一つは東京の有名なホテルの中華レストランの紹介の記事。
もう一つは、このnoteでの記事。
いずれも愛玉子を一生懸命紹介しているようだったので、ワクワクして読んでいったら、登場したのは「種」ではなく「粉」。
「愛玉凍粉」でつくった「こんにゃくゼリー」の紹介だった。
本人たちには悪気はないのだろうな。
それをまるで「愛玉子ゼリー」かのように紹介している。
パッケージの裏をよく読んでほしい。
みんなそんなに「似せた」ものを食べたいのか・・・? 本物があるのに。
残念すぎて、もうちょっとでコメント欄にツッコミを入れそうになったが寸止めでやめた。だけど
私の使命は他にあるはず、と思いながらも、
残念すぎてほんとにがっかりした。
どうしたら、美味しさが伝わるのかな、
本物の・・・と
また使命感に燃える室長であった。
(牧野博士〜 応援してね!と心でお願いをしながら・・・)



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