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自分の状態にあった適切な休み方

突然ですが、休むのは上手ですか?

私は正直上手でありません笑

心療内科医が教える本当の休み方(鈴木裕介)を読み、「休む」という概念がアップデートされました。

今回はいくつか発見があった点をご紹介します。

働く全ての人におすすめですが、私の専門である人材開発・組織開発の立場からもとても重要な気づきがありましたので、組織づくり、人事、マネジャーの皆さんには特におすすめです。


AbsentとRest

休養とは疲労を回復し、健康を取り戻すという目的を果たす活動だが、本書いわく8割の人が、慢性的な疲労を感じており、その根本的な原因は「休む」ということがそうかんたんなものではなく高度な技術である、という認識が不足しているためと示されている。
とくに認識が不足しているのが、Absent(欠席、欠勤する)とRest(休憩・休養する)は違うという点である。
つまり、仕事をしていない時間を過ごす=上手く休めているとは限らないということです。

ただ仕事をするのをやめるのではなく、本当の意味で休むためには、本書では以下の3つのプロセスがあると示されています。
①休みが必要な状態だと自覚すること
②休むことができる環境を確保すること
③自分の状態にとって適切な休養活動を選択すること

①休みが必要な状態だと自覚すること

そもそも休みが必要な状態だと自覚をすることが難しい理由があります。
それは、ストレス反応は以下のように3相期ので変化するためです。

Phase①警告反応期

ストレッサーに対して体が緊急反応する時期であり、ショックに抵抗する前の「ショック相」が現れ、それに対して、抗ストレスホルモンと言われるアドレナリンやコルチゾールなのが分泌され、心拍数を高める、血圧や血糖値を上げる、といったことによって心身を活性化させる生体防衛反応の「抗ショック相」が現れます。

Phase②抵抗期

ストレッサーによる刺激が続くと、やがて抵抗期が現れます。抵抗期の間は、パフォーマンスがドーピングされ、ストレスを感じにくくなるのです。しかし、3ヶ月ほどストレッサーに晒され続けると、エネルギーが消耗し疲憊期にはいります。

Phase③疲憊期

体温、血圧、血糖値の低下などショック相に似た反応が起き、副腎機能が低下し、うつ病など、病名がつく状態になったりします。
このように、抵抗期があるために、適度なストレスであれば高揚感があり、パフォーマンスが上がりますが、現代のようにストレッサーにさらされ続ける状況下では、この抵抗期においていかにストレスに気づき、休めるかが重要です。

②休むことができる環境を確保すること

しかし、多くの人が「休んだ方がいいかも」と気づいたとしても、自分が今苦しいということを周りに伝えたり、休む宣言をし、休む環境を獲得することに大きなハードルを感じることがあります。

自分のつらい状況を打ち明けることは、清水の舞台から飛び降りるほどの勇気が必要、という精神科医の先生もいるそうです。

なぜなら、人は他者とつながり、共同体の中で孤独にならいことを重視する性質があるためです。

しかしこれが行き過ぎて、他者のニーズを満たすことばかりになり、自分の休みよりも優先してしまう状態を過剰適応というそうです。

期待に応えないと、周りに迷惑をかけるわけにはいかない、と自分に鞭をふるっている状態です。

私は組織開発を支援する立場として、エンゲージメント向上(仕事や組織への貢献に対して前向きな心理状態)を行っていますが、この過剰適応状態とエンゲージメントが高い状態を切り分ける必要があります。

弊社(NEWONE)の顧問である慶応義塾大学の島津教授は明瞭な定義をしていますが、I want to work(エンゲージメントが高い)とI have to work(過剰適応)は違うということです。

やりたくてやっているのか、楽しい!までいかなくても納得してやっているのか、は自分に定期的に聞いてみることが大事ですね。

③自分の状態にとって適切な休養活動を選択すること

本書では、心理学者のstephen Porgesが提唱したポリヴェーガル理論に基づいて、自分の状態を把握する観点と方法が示されてます。

本書によると、このポリヴェーガル理論の革新的な点は、従来は「交感神経」から「副交感神経」に切り替えることが重要と言われていたところから、副交感神経は2つの迷走神経(腹側迷走神経、背側迷走神経)から成り立つ、と示した点です。

副交感神経の中でも腹側迷走神経は、リラックスモードに関係しますが、背側迷走神経は不動(フリーズ、固まってしまう状態)のストレス反応につながっているということが示されたのです。

これによって、すべてのストレスは須く交感神経優位のためと語られていたため、休養行動が適切に捉えられていなかったところから、交感神経優位によるものなのか、背側迷走神経優位によるものなのかを分けてとらえることで、休養行動の選択ができるようになる、ということです。

本書では、キャッチーに以下の3つのモードで説明されています。

A炎のモード(アッパー系、怒り、パニック)
交感神経優位な状態

Bリラックスモード
腹側迷走神経優位な状態

C氷のモード(ダウナー系、フリーズ)
背側迷走神経優位な状態

この氷のモードの存在が明らかになったことで、何だかやる気がでない、集中力が散漫である、といったいわゆる、気合が足りない、と見える状態も、気合いが足りないわけではなくてれっきとしたストレス反応として理解できるようになったわけです。

モードにあった休み方を選ぶ

ストレス研究者のリチャード・ラザルスは、自分を助けて回復に導こうとする行動をコーピングと名づけました。
本書によると2つのコーピングがあるそうです。

1.逆の方向に入れる(アッパー⇄ダウナー)
2.腹側迷走神経に入れる(アッパー、ダウナー→リラックス)

詳細はぜひ本書を読んでいただければと思いますが、自分がアッパー系の状態にいるのか、ダウナー系にいるのかを自覚して休むということを知らなかったので、休み下手な私はとても大きなヒントを得ることができました。

休むのが下手なあなたにおすすめです!

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