隣の芝生が青く見えたら仕事をさぼって遊びに行こう
私の主宰するコミュニティの参加者さんとオフ会でお話しすると、よくこんな話を聞きます。
「今の事業は順調だけど、このままでいいのかな」
「他の人がやっているビジネスも面白そうだし、手を広げた方がいいんじゃないか」
「このままじゃ成長が止まってしまいそう」
わかります。その気持ち、とてもよくわかります。
何ならオフ会って、参加者が極端ですからね。
めちゃくちゃ好調でイケイケな人と、現状を打開したいという焦燥感に駆られている人。でもって、前者と後者が遭遇したら、後者の方がそんな風に考えはじめるのも無理はない話です。
私も昔は、手当たり次第に事業を広げようとしていました。ネットショップを運営しながら、コンサルもやって、教材も作って…。結果として、どれも中途半端になって収益は落ち込む一方でした。
でもね、手を広げたいとか、隣の芝生が青く見えるとか、実はそういう気持ちって、単純に【疲れている】サインなんですよ。
毎日同じことの繰り返しで飽きが来る。周りを見渡すと、みんな新しいことにチャレンジしている。自分だけ取り残されているような気がしてくる…。
こういう状態になったとき、ほとんどの起業家は「新規事業を始めよう!」と考えます。でも、それは間違いです。
必要なのは【休養】です。
疲れているときに新しいことを始めても、ろくな結果にはなりません。むしろ、今やっていることにすら支障が出かねません。
私の場合、海外に行きます。 思い切って2週間くらい休みを取って、知らない土地で過ごすんです。
すると不思議なもので、帰ってきたときには「やっぱり今の仕事が一番だな」と思えるようになっています。
なぜでしょう?
それは、休養を取ることで心にゆとりが生まれ、客観的に物事を見られるようになるからです。
疲れているときって、ついつい【逃げ】の選択をしがちです。今の仕事が嫌になって、新しいことに手を出そうとする。でも、それは本当の解決にはなりません。何か新しいことをはじめようと、もっともらしい理屈をひねり出す人が多いですが、突き詰めると「今の仕事から離れたい」といった後ろ向きな考えが動機づけになっている場合が多いんです。
あと、旅行を推奨する理由は気分転換以外にもあります。今の事業をより良くするためのヒントが、旅先で見つかることだってあるんです。
「こんなサービスがあったらいいな」
「うちの商品にこういう工夫を加えられるかも」
リフレッシュした頭で考えると、今までとは違った発想が浮かんでくるものです。
結局のところ、事業って【飽きないこと】が一番大事なんですよ。【継続】と混同されがちですけど、継続って嫌々でも我慢して続けることも含まれるでしょう。そうじゃなくって【飽きないこと】つまり、楽しい気持ちで続けられることが大事ということです。なんなら楽しい気持ちで働き続けるためのその手段である仕事を変えるという選択が求められる場合だってあります。(基本的に他人様の会社で働くことになる勤め人としての人生は、それをしないと我慢を重ねる人生になるので注意が必要です)
新規事業を始めるのは簡単です。でも、それを軌道に乗せるまでには膨大な時間とエネルギーが必要です。その負荷とストレスを刺激として楽しめるうちはいいですが、遅かれ早かれ無理がたたるのが一般的です。ならば、気分転換は新規事業ではなく、旅行をはじめとした非日常体験によって楽しむことにし、その一方で今順調に回っている事業があるなら、それを大切にした方が賢明です。
ですから、隣の芝生が青く見えてきたら、まずは休みを取りましょう。
海外でも国内でも構いません。とにかく、普段の環境から離れて、心身をリフレッシュすることです。
そうすれば、帰ってきたときには「やっぱり今の仕事が好きだな」と思えるはずです。
むしろ「あそこをこう改善しよう」「こんな新商品を出してみよう」といったアイデアが次々と湧いてくるかもしれません。
つまり、新規事業に手を出すエネルギーがあるなら、それを今の事業の改善に使った方が効果的なんです。
ビジネスの成功者って、一つのことを極めた人が多いですよね。amazon創業者のジェフ・ベゾスも、20年以上eコマースの分野を掘り下げ続けました。その結果として、AWSのような新規事業も生まれたわけです。
私たちも、安易に手を広げるのではなく、今の事業を深掘りすることを考えましょう。
そのためにまず必要なのは、心身の健康管理です。
疲れを感じたら、躊躇なく休みを取る。 これこそが、事業を成長させる最も確実な方法なのです。