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病院食の後の家のご飯
私は数ヶ月前に糖尿病が発覚し2週間ほどの入院が決まった。 それまで私は外で飲む飲み物は殆どが炭酸ジュース、自由気ままに気の向くまま暴飲暴食を繰り返していた…間食も多く、特に菓子パンやおにぎりなどの糖質&脂質が大好きだった…………結局急激な喉の渇きがあり不審に思い病院に行ったら案の定だった……
病院食も始めの方は良かった…家ではあまり食べないバランスの取れた食事、the一汁三菜という感じだった。多少苦手な食べ物がでてもこれくらいならと我慢して食べれる範囲だった。
入院生活5日目付近で付け合わせの酢の物がちょっと…いや、かなりキツイ。元々苦手な食べ物ではあったが頑張っても飲み込むのがつらい。食べ物食べてて泣きそうになったのは小学校の給食以来だ…………
私は小松菜が苦手なのだが、5、6回連続で主菜副菜に大量の小松菜を出されたのは気が遠くなる思いだった。私は基本的に食事はとても楽しむタチなのだが、この時は本当に辛かった。調理担当の人に当たり外れでもあるのか、ハズレのときはとても形容し難い味のなにかだった…………
インスリン注射や食事改善の成果か退院が見えてきた。やっとろくに味のしない味噌汁やおひたしともオサラバだ!!!
まぁ入院中の愚痴をダラダラつづけたがここから本題なんすよね……
退院して最初の食事は和食だった。 ご飯、ワカメと豆腐の味噌汁、切り干し大根の煮付けきゅうりとワカメの酢の物、ほうれん草のお浸し、そして主菜の焼き塩鯖。
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病院で野菜多め、肉とかよりかは魚の方が良いと言われていたので病院の食事の用に一汁三菜に野菜+αなメニューを心がけた。
病院の先生から言われた通り野菜から食べ始める。 切り干し大根美味い。程々の歯応えの大根にあまり自己主張しない人参、お出汁を吸った油揚げと時折り食感にアクセントをくれる糸こんにゃくと椎茸。あぁ……美味い。少しご飯を食べてまた切り干し大根を食べる。 箸休めにすこし白だしをかけたほうれん草のおひたしを摘む。白だしのほんのりとした塩味を覗かせるほうれん草が丁度いい。小松菜は茎の主張が激しすぎて味も苦手だが、ほうれん草くらいの茎の細さなら気にならない。美味い。
味噌汁を少し啜り、メインの塩サバだ。見るからに脂が乗っているコレは…当たりだ……口に含み白米をかき込む。最高だ!!!美味い!!!!しょっぱ過ぎず脂がのってる鯖美味すぎる!!!大根おろし乗せて食べてもさらに美味い!!幸せだ!際限なくコレで白米を二合くらい食べたいが250g迄に留めておく。
脂っこいものの箸休めに酢の物も摘んでいく。 また自分は趣味の一つが料理なのだが明らかに調味料が足りていなかった病院食がかなりこたえた……酢の物を自分で作ったのは初めてだったがちゃんと三杯酢を自作して作ったら普通に食べれたので今まで食べた酢の物の味付けがダメだったのだと改めて感じた。ちょうど良い塩梅に口の中がサッパリして更にサバが進む。
最後に猫舌故に冷まして置いていた味噌汁を改めて食べ始める。久々の味の輪郭がハッキリしているお味噌汁が前はいつも食べてたはずなのに凄く美味しい。具も普段と変わりなくワカメと豆腐だが、それが心を落ち着かせる。改めて私が家に帰ってきたと思わせてくれる。
最後にあったかい玄米茶を淹れて一息をついた。
やっぱり和食って美味しいのだと実感した。我慢に我慢を重ねた状況で食べるご飯は本当においしかった。
病院で削がれていった気力が回復していく様だった。これが私の元気をもらったあの食事だ。 食べたいものを食べられるって幸せなんだなぁ……
カリノ