スピネーション・プロネーション③ 改善のためのエクササイズ
前回(スピネーション・プロネーション②自分で確認する方法)、前々回(スピネーション・プロネーション①)の続きです。
今回は、スピネーション・プロネーションを改善するために自分でできるエクササイズを見ていきましょう。
1,足のアーチを回復させるためのアプローチ
Donnellan(2013)は、ビー玉とタオルを使う方法を紹介しています。
【翻訳】
つま先拾い:床にビー玉を10個置きます。裸足で行いましょう。つま先でビー玉を次々につまみ、カップに入れます。左右各3回繰り返します。
つま先まき:床にふきんを置き、つま先で巻き上げてから、つま先で広げます。10回繰り返します。
足指でタオルをたぐり寄せるエクササイズは、バレエのレッスンで行うこともあるようです。このエクササイズの目的は、足のアーチを回復させることだと言えると思います。
2,正しいアライメントを学ぶアプローチ
スピネーション・プロネーション改善にあたって、足のアーチを回復させるとともに、もう一つ重要なことが、アライメントへの意識を高めることだと思います。そのためのエクササイズとして、バレエの書籍からの引用になりますが、トラッキングランジをご紹介します。
このエクササイズは、アライメントが正しい状態(足首・膝・股関節の3点が地面に垂直の直線状にある状態)でできているかどうか確認しながら行いましょう。アライメントは、ジャンプの離氷・離陸や着氷・着地に際して非常に重要なポイントです。怪我・故障を防ぐためにも、このエクササイズを通して正しいアライメントで筋肉を強化していくことが大切だと思います。
なお、ジャンプの離陸・着地を含め、膝を曲げた際に、2枚目の画像右側の絵のように膝が内に入ったり外に出てしまう場合は、アライメントに問題があり要注意です。改善エクササイズやリリースに取り組んだり、足について理解している専門店や専門医院に足を運んでみることをお勧めします。
3,正しいアライメントで筋肉を動かす習慣をつけるために
陸トレは、アライメントが良い状態で行うためにも、インソールを入れた靴を履いて行うと良いと思います。靴は足をしっかりホールドできるように、かかとの壁が固く、靴紐かマジックテープで締めるタイプの運動靴を選びましょう。下肢を使う陸トレでは、上のバレエのエクササイズのように正しいアライメントでできていることを確認しながら行うと、スピネーション・プロネーション改善に役立ちます。
可能であれば、学校などで履く室内履き、普段履く日常靴も、できるだけ足をしっかりホールドできる靴を選び、インソールを入れて、正しいアライメントを身に着けられる環境を整えることをお勧めします。
4,「エクササイズの前にリリース」という考え方
上でご紹介した佐藤愛『本気でうまくなりたい人のためのダンス解剖学教室 プリエ使えてますか?』(東洋出版、2019年)では、リリースとエクササイズをセットで行うことを薦めています。間違った使い方の凝り・癖がついた筋肉・筋膜をリリースしてから正しい動きを覚えさせるのは、とても効果的で、優れた考え方だと思います。佐藤愛さんの『本気でうまくなりたい人のためのダンス解剖学教室』はシリーズが3冊出版されており、どの1冊もとても勉強になります。とてもお勧めです。書籍を購入すると無料で動画を視聴することもできます。
次回は、リリースの方法を、佐藤愛さんの書籍や、インソール専門店で教えていただいた経験からご紹介できたらと思います。
【参考文献】
Donnellan, Marty. "Before you skate", Teach Someone to Roller Skate! (Even Yourself!) A Beginning Skating Course For All Ages-Quad and Inline, Marturion LLC, 2013, pp.19-21
佐藤愛『本気でうまくなりたい人のためのダンス解剖学教室 プリエ使えてますか?』東洋出版、2019年、pp.97-99