vol.3 セミナーの目的を再考する
「フィットネスの学び舎」セミナーイベントコラム。
第3回は「セミナーにおける目的やゴール」というテーマで過去の私自身の失敗経験をもとにお話をしていきます。
セミナーにおける目的やゴールと聞いてもピンとこないと思いますが、
過去にセミナーや研修を行ってきた中での失敗談をもとに今回のセミナーイベントは何を大切にしているのか。
そんなお話をしていきたいと思います。
「正しい専門知識だけでは浸透しない」
話は前職にまで遡ります。
私は前職はRIZAPという会社で勤めておりまして、そこで教育長という役割をいただいておりました。
時に大手メディアに出たり、
時に一部上場企業の幹部研修をしたり、
時に4000名の前で話したり、
時に新しいサービス開発や教育の仕組みを作ったり。
その中で言わずもがなお客様に提供するトレーナーとしての専門知識を研修するのも役割の一つだったのですが本日はその時の経験のお話を。
当時24歳。
全国各地を回って新しいメソッドの研修をしていた時期のことです。
対面で8時間の研修をして、2-3週間後に再度来店して試験を行い、合格すればお客様への提供ができるという仕組みで運用していました。
当時の私はできるだけ正しい専門知識をしっかり伝えてそれがお客様に届くことがベストと考えながら研修をしていました。
それは当時も今も変わっていません。
当時も研修後のアンケートを拝見すると手前味噌ながらご評価は高かったように記憶しています。
ただ、研修をして2-3週間後に再来店して試験をすると、その内容があまり浸透しておらず合格が出せない。
また翌週来てもやはり合格が出せない。
ここでしばらく悩みの期間が続きます。
「知恵から知識へ、そしてまた知恵へ」
その日も新しいメソッドの試験日でした。
女性のトレーナーの方が一生懸命勉強されたのが伝わるくらいロールプレイの中で研修中の言葉を使いながら実践してくださいました。
その方は合格という結果になったのですが、試験が終わった後にこんな質問をいただきます。
「管野さんが研修で言ってた○○って、お客様の△△っていうお悩みにも使えます?そうなったら□□って伝えても間違いではないですか?」
このご質問が今日までのセミナーを開催する際の大切にしていることに繋がっています。
私は今でもパーソナルトレーニングでお客様を担当させていただいていて、
大体月に70-80本くらいしているのですが、今有している知識をお客様にそのまま伝えることはあまりありません。
その方のニーズに合わせて表現や伝え方を変えてお伝えして伝わるように伝える、時にはあえて伝えない。
これは私だけではなく多くの運動指導、栄養指導をされている方が実践されていることかと思います。
ただ、ふと研修やセミナーになるとどうか、と。
今まで私自身も学んできたことは専門的な知識でした。
そしてその知識をどうやってお客様に伝えるかはまた別で考えながら時に講師の先生に聞いたり、時に先輩に聞いたり、現場で学んでいくものでした。
そうなるとお客様にとって価値のある情報(これを知恵と定義します)を学ぶのはまた別作業だと。
そうなると知的欲求の高い方や、知識を学ぶことへの重要性を理解している方はそれで良いかもしれないのですが、初めて学ぶ方はそうではないことが多いかと思います。
実際自分自身もそうだったので振り返ってみると
「あの時こうやって教えてくれたら良かったのに」と思うこともしばしばです。
つまるところ知識があることに大して価値はなくて、
それを知恵に変換できてお客様にお伝えする、家族にお伝えする、それが伝わったことで何か行動変容や求めている目標に近づく。
ここがゴールだと。
そうなるとセミナーでやるべきことは知識を伝えることではなくて、
知恵を伝えてそれを知識で深掘りする。
その知識を深掘りするとそれがまた汎用性のある知恵に変換できて多くの方に伝わる価値になる。
「知恵→知識→知恵」のサイクルです。
そしてこの最初の知恵だけ抜き取っているのがSNSであるから学びやすい、と。
「楽しいをゴールに」
それから自身の研修スタイルが大きく変わり、面白いように合格率が上がります。
前)腸腰筋というのは股関節屈曲の作用があって、ただ実際には股関節伸展のブレーキ機能を有していて、これが伸張反射の役割をもって歩行時には遊脚期に向かいます。
分かりやすくお伝えすると〜〜〜
後)これからお話しするのは結果これができると歩くだけで美脚になるってお話しで、腸腰筋って〜〜〜
ということになるんですけど、この理屈を学べると膝の痛みも出にくくなりそうですよね。
なので脚を綺麗にしたい方も膝痛に悩む方にもこの知識って大切なんです。
自分でこの文章を打ってても「前」の研修は知識に興味ある方以外はつまらないんだろうな〜と感じます。笑
もちろん今でも反省点はありますし、常にアップデートや修正は繰り返しますが、当時24歳の自分にとってはこれだけでも大きな発見と変化でした。
「学んでみると楽しい」というのは隣の友達に自慢話で伝えられるくらいの解像度で理解していただいた上で理解を深めることであると。
前職ではある時期を境目に未経験の方がとても増えたことやその女性トレーナーの方のおかげでこの感覚に気づくことができるようになった気がします。
「知恵だけの弊害は確かにある」
知恵から学ぶことでの重要性は今でも感じています。
この知恵を学ぶことに特化しているのが言わずもがなSNSですよね。
○○が痩せる。
△△は筋肥大に効果的。
□□で美脚に。
痩せるための〜〜6選。
私はこの知恵を学ぶことはとても良いと思っているのですが、やはり弊害はあると思っています。
例えば楽しさだけ(バズるだけ)を考えた内容ですと、正しくない情報を提示してしまうことがある。
また、その情報は仮に正しくてもそれで効果が出るかどうかは人によって違かったり、それをやることで体調を崩してしまう可能性がもあります。
だからこそ「知恵→知識→知恵」サイクルが大切だと思います。
「知恵」:○○で痩せるという情報を知る。
「知識」:なんで痩せるんだろう
→〜〜という代謝が●●だから
「知恵」:そうなるとこの場合はNGだし、でもこの場合にはこの効果もありそう。
「つまりこの方は痩せるし、体調も良くなりそう。」
どれだけ正しい知識もゴールが分からないと知的欲求が高い方にしか伝わらない。
これが私が失敗を通して気付けて良かったと感じることで、今のセミナー開催にも大きく役立っています。
「フィットネスの学び舎という場所」
今回のセミナーイベントはこの知恵と知識の往復を大切に開催します。
年始から先生方と打ち合わせをする中で、
このイベントのコンセプトやセミナーの内容について先生方に嫌がられるのではないかなとというくらいお伝えしています。
どうか嫌われていないように、、、笑
もちろん先生方の講演を聴きたくて来てくださると思いますので、
内容に関してはほぼ先生方にお任せする形にはなりますが、
このサイクルの考え方やそもそものセミナーイベントのコンセプトだけは大切に擦り合わせながら、
ご参加される方がすぐに実践できる(知恵)を理解し、
それはなぜなのかを知識で深掘りできるものになります。
そうなると皆様の現場ではあの有名な人が言ってたからではなく、
しっかりとした根拠を持ってお客様に伝えられるようになる。
そして以前にもアップしたようにその情報の根拠は間違いなく信頼性が担保できる先生方しかお招きしていない、と。
またSNSで情報が多すぎて困っている指導者ではない方々においても安心で安全で信頼できる情報しかここでは展開されませんので、
是非楽しみにしていただければと思います。
専門性の高いセミナーに難しい印象や抵抗がある方こそ、
今回の「専門性の高い」このセミナーを感じていただければ嬉しいなと思っております。
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