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質感がすごい。それが好きって話『パンとスープとネコ日和』

いや、号泣。読むの二度目だしドラマも見た、けど。

理由は、すんごく個人的な話で。約20年前に拾ってきた猫が亡くなったんです。って言っても最近の話じゃないんですが( ̄▽ ̄;)

もう1年以上経つのか……でも、うん。なんかまだ最近のことのように感じてて。

拾ってきた当時にのまえ小学生だったので、本当に人生をともに過ごしてきた、家族だったんです。

この本の中で主人公が飼ってる猫ちゃんの「にー」「あーん、あーん」「うわあああ、うわあああ」の全部、脳内再生がすごくて。

可愛こぶってる「にー」、催促の「あーん、あーん」食事を用意する足元での「うわあああ、うわあああ」

もう、姿が浮かぶようです。

あ、本の紹介!「パンとスープとネコ日和」(著/群ようこ 角川春樹事務所)

https://www.amazon.co.jp/dp/4758437629/ref=cm_sw_r_cp_awdb_imm_c_C6SbGbNJH99R3

めちゃくちゃ凄い。質感が。

お母さんへの思いとか、近所の人達との空気感とか、「この人いいな」って思うときの決め手とか。すごいしっくりくる!

主人公が頭の中で喋ってる言葉が丁寧なのも、学歴や出版社に勤めてることで裏打がちゃんとあるのも良い。親がちょっとだらしなく見えてそれが反面教師になってる面もあるだろうし、全部ちゃんと「不自然じゃない」ところがお話に出てくるご飯みたくスッと体に入ってくる。

そしてご飯が美味しそう!!

にのまえ個人的に好きなのは「悪人ってほどでも無いんだけどちょっと嫌な感じの人」の描写が匠のそれ。あるあるネタを見てるみたいな面白さがwほんと好き!

物語の流れ↓

主人公は商店街で地域密着型の食堂をやっている家の一人娘、父親はいない。母親はずっと一人でお店を切り盛りしていて、家にはいつも常連のおじさん達の酔っ払った声と煙草の匂いがついて回った。

思春期になり母親と距離を取りたくなって塾や図書館に入り浸っていた主人公は偏差値の高い学校へ進学し、母親は鼻高々だけど自らのコンプレックスをぶつけてくることもあった。価値観が違う二人の親子仲はあまり良くない。

大人になりバリバリと仕事をこなす主人公は婚期を逃しまくったまま中年期になっていた。母親の急死でお店をどうしようってなった時、出版社の仕事で知り合った料理家の先生に「あなたセンスあるわよ」と言われた言葉が響く。私がお店を、やってみようかな。仕事ばかりだった五十歳が「自分のやりたいこと」を丁寧に整えた食堂をオープンさせる。

みたいなお話。

複雑な事情とか、経緯とか、物語として込み入ってくる部分はあるんだけど

それよりも。店員のしまちゃんと雑談してる時の空気感とか、猫の相手してる時の口調ははしゃいでるけど冷静な感じとか。「ストーリー」に直接絡まないおかず的な部分の面白さがとっても好み。素敵。

素敵な女性がたくさん出てきて嬉しいって書こうと思って、そもそも男性があまり登場してなかったことに気付く。続編にはそれなりに登場してくるんだけどね、こちらも素敵な人ばかりで良いのよー!

群さんの描く「魅力的な人」がほんとに素敵。好み。描写の淡々さ加減とその中にたっぷり込められた「質感」に本当、感銘。好きぃ。

群ようこ と よしもとばなな が脳内引出しの同じ場所に入ってる私にのまえでございます。この「直接言語化できない良さ」を描ききってくださるお二人がとにかく好き。

群ようこ さんはエッセイもスキッとまとまっていてユーモラスで大好き!短編をスッキリきれいに面白く書ける人好きなんだよなぁ。。。

もう、好きしか言ってない。実質ラブレター。でも言いたいのって本当にそれだけなんだわ。

ご飯が美味しそうだし空気感がとにかく良くて猫がかわいい、とっても素敵な本です!おすすめ!!

……あと、おかずですらない要素で。最近シャニマス馬鹿になってる脳みそに開店初日に飾る「アルストロメリア」の花瓶が本当に嬉しかった……( ..›ᴗ‹..)‼花言葉は未来への憧れ!!ですしねっ!(熱量)


ちなみに、記事画像の可愛い口元は動画でも使わせていただいてます『ぱくたそ 』さん出身です。可愛いので見に行ってみてね!

😺https://www.pakutaso.com/😺

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