「聴く」を仕事にする中で、クライアントさんに与えられるもの
YeLL株式会社という「社外の複業人材によるオンライン1on1」サービスを提供する会社で、サポーター(話の聴き手)として働くことになりました。
従来、「1on1」というのは、上司と部下で定期的に行う1対1の対話を意味します。部下が、最近の業務での成功や失敗、気になっていること、悩み、チャレンジしていること等を上司に話し、上司は部下育成の場として活用します。
社内の上司と部下の間で行われることが多い1on1ですが、社内1on1には無いメリットを提供できる、ということで社外人材がサポーター(話の聴き手)となり、そのような面談サービスを提供するのがYeLLです。
YeLLの提供したい価値や実現したい社会については以前、こちらの記事で触れました。
先日、YeLLの研修会に参加しました。
そこで共有いただいた貴重な情報がこちら。
1on1セッション後の顧客満足度調査において、高い評価を付けたクライアントさんが理由として何を記述していたか、ということから、「どのようなセッションが顧客満足度が高い傾向があるのか」を調べてみたという内容です。
満足度が高かったクライアントさんが書いた理由の中に、一番登場していた言葉は「自分の~、自身の~」という言葉。
「自分の考えが整理でき~」
「自身のモチベーションがいつ~」
「自分のタイプがわかって~」など。
「自分について客観的になれたこと」が有意義度を高める秘訣だったということが、統計を取る中で判明したそうです。
一方、「アドバイス」という言葉の登場回数は「自分」の3分の1程度。
適切なアドバイスを提供できた場合は、もちろん満足度もぐっと上がるので、アドバイスの必要性を否定するつもりはありません。
しかし、アドバイス提供に意識をおくよりは、まずは自己理解を深めてもらう、自分を客観的に眺めてもらうことが大切なようです。
では、どうやったら「自分について客観的になる」ことをサポートできるのでしょうか。
ここからは私の個人的な意見ですが、まずは①沢山話してもらうこと。クライアントさんの話を聞いている人は私以外にもう一人います。それはクライアント自身です。率直にたくさん話してもらえるような場づくりが全ての基本です。
次に、②伝え返しすること。クライアントが言った言葉について「〇〇なんですね」とか「〇〇のように感じられました。」と返すことで、聴き手が鏡となって、クライアントの思考を写します。
さらには、③抽象的なワードの深堀り。クライアントが発する抽象的なワードを拾って「それってどういうことですか?」と更なる言語化をサポートします。例えば「モヤモヤする」なんて言葉はまさに抽象的なワードですね。
最後は、これが一番難しいですが、④良い質問の投げかけ。「なぜそうされたんですか。」とか「それはあなたにとってどんな意味があるんでしょうか。」とか、質問は限りなくあります。適切なタイミングで、適切な質問を投げかけることで、クライアントさんが良い意味で「考え込む」ことになり、気づきに繋がります。聴き手が沈黙を恐れてはいけない理由がココです。
「こんな問題があって、なんとかしたいんです。」とか「どうしたら良いかわからないんです。」とか、課題をテーマに話がなされるときは、どうしても「何か良いアドバイスがしたい。少しでも助けになりたい。」という思いが先走ってしまいがち。
でも、まずは「聴く」。相手の思考を吐き出しきってもらう。そして、それが出来た暁には、クライアントさん自身が解決するチカラを持っている。
そう信じることが大切なんだと感じました。