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第4節:あなたには、あやうさを生きる力が与えられている

今日も老子さんのSNSサイトである「老子道徳経」のツィートを見ていたらこんなことが書いてあった。

この前、老子さんと話をしていて、確かなものしがみつこうとするのが間違いだということは理解できた。

どういうことかというと、この世界には確かなものなんてひとつもないし、確かと思っているのは、単に僕がそう思い込んでいるから、ってこと。

まあ、永遠の愛を誓ったはずの元カノも青い目をした若い兵隊と5月にカリフォルニアに行ってしまったし‥‥。確かなもんなんてないよないんだよな‥‥‥。

(╥_╥)

でも、ここに書いてある「ものごとの根源に立ち返り、自らを、そのあやうさに委ねればよい」ということが、よくわからないんだよね。いったいどういうことなんだろ。ちょっと老子さんに聞いてみようかな。

「老子さん、すいません、ひとつ質問があるんですけど、ものごとの根源に立ち返るってどういうことですか? それが分からないと、あやうさに委ねることもできません」

カチッカチッ!!

僕は、老子さんのツイートにコメントを入れて、昼寝をすることにした。というのも、昼寝をすれば老子さんに会えるってことが分かってきたからだ。

そんなわけで、午後の柔らかい日差しをうけながら、うとうとしはじめたころ「呼んだか?」という声が聞こえてきたので、眠気まなこの僕は「あ‥‥、はい‥‥」と曖昧な返事をしていた。

目の前には老子さんが立っていた。

呼ばれたからきたよー!!


びっくりするな~もう‥‥


「‥‥‥、あっ、えっと、どうして、元カノが急に僕と別れたいっていったか知りたくて‥‥‥、??? ‥‥‥、じゃなくて、ものごとの根源に立ち返り、自らを、そのあやうさに委ねればよい、ということがよくわからなくて‥‥」と僕は半分夢なのか現実なのか分からない中で答えていた。

すると、老子さんは「おお、なかかないい質問だ」といいます。「まず、彼女がお前に我慢できなくなったのは‥‥」と。

僕は慌てて「そのことは、もう終わったことなんで‥‥」といっても、老子さんは、僕を無視して話を続けるのです。

(-_-;)


「お前は、彼女にしがみついていただろ。だから、元カノはお前に愛想をつかしたのだ。お前は彼女からどれくらいのお金を借りていたんだ?」


(-_-;)



「ん‥‥?  ん‥‥?  ん‥‥? 

あ、すまん。問題はそこではない。問題なのは、お前の態度だ。お前は、彼女との関係を過信していたのだ。原因はそこだよ。お前が愛と思っていたのは単なる情じゃよ、愛じゃない情じゃ。お前は情を愛と勘違いしていたにすぎんのじゃ。それが本当の理由だ」

「あ、でも‥‥、あの時は、これは本当の愛だって確信したんですよ。僕らはこの世界で巡り合うために生まれてきたんだって‥‥、前前前世からの約束だったんだって」

と僕が言い返すと、老子さんは薄ら笑いを浮かべます。

「それも間違っとる、彼女の前前前世の約束の人は、青い目をした若い兵隊の方じゃ」


( ゚д゚)ハッ!



「もし、お前が本当の愛を知りたいのなら、ものごとの根源に立ち返ることじゃ。そして、もしお前が物事の根源に立ち返ることができたなら、真の愛の意味を知ることだろう。そのためには、まず自分知らなければならない。自分という敵をな」


そんな話をぼんやりと聞いている僕の顔をみて、老子さんは「どうじゃ?」といいたげな表情をするので、僕は仕方なく「自分が敵って何ですか?」と聞きかえすと、老子さんは嬉しそうな顔をしてまた話し出します。


「それはつまり、お前が持っている知識や情報がすべて間違っているということだ。お前がもしものごとの根源に立ち返ることができたなら、お前が持っている知識や情報がすべて誤りであることに気づくだろう。もちろん、今、お前が持っている知識や情報はこの世界では役に立つかもしれん。しかし、所詮、そんな知識はここでのローカルルールでしかない。つまり、お前の考えはすべて、根源から見ると間違っておる。お前が持っている情報なんて、敵によって与えられた情報でしかないんだっ‼」


そういって熱弁する老子さんに対して、僕は「言ってる意味が分かりません」と答えると、


「ばかも~ん‼」


という、喝が間髪入れずに飛んできます。

そして、こういうのです。


「では、訊こう。思えが考える愛とは何だ?」



僕はしばらく頭の中でいろいろなことを考えました。「お互いを思う気持ち」とか「困ったら助け合うこと」とか「隣人?」とか。

でも、そう考えていると、どんな答えも間違っているように思えて、何も答えられなくなってしまいました。

そんな僕の様子を察したのか、老子さんは楽しそうな顔で話し出します。


「お前が知っている情報とは、誰かから教わったことを自分の考えだと思っているにすぎんのじゃ。それが敵じゃというのだ。お前は偽りの知識で塗り固められている。それが己の敵だとワシはいっているのじゃ。

しかし、お前がお前自身を知って、根源に立ち返ることができたとき、お前は本当の自分を知ることになるだろう。それがものごとの根源に立ち返るということだ。

そして、もしお前が、自分自身を生きたいのだと思うのであれば、根源に立ち返って、根源のもつあやうさに身を委ねればいいのだ」

そういい終えると、老子さんは胸を張って少し偉そうにしていました。


‼( ̄^ ̄)‼


「分かりました。では、どうすれば僕は、根源に立ち返られるのですか?」


そう僕が聞き返すと、老子さんは、にっこりと笑うだけで何も答えようとはしません。

どうやら老子さんは、それは自分で考えろ、といっているようです。


そこで、僕は尋ねます。

「では、教えて下さい。ものごとの根源に立ち返り、自らを、そのあやうさに委ねればよい、とは何ですか?」

と。

すると老子さんは、

「考えを捨てるのじゃ、考えを捨てて根源とひとつになればいい、それが、考えるな、感じろといういうことだ」

といって、話を続けます。

「この世界は、いつだってうつろいの中にある。この世界に確かなものなど一つもないのだから、もし、お前が何か一つのことを確かなものだと決めて、それにしがみついて生きていたら、お前はその移ろいの流れに逆らうことになる。

この世界を水中と考えてみるといい、水の中は常にうねりを持ってうつろっている。そのうねりに逆らわず、根源とひとつになって、その流れに乗っていればいい。そうすれば、お前は常に根源とともにある。根源とともにあれば、何かにしがみつく必要もないし、その流れに乗っているだけで上手くいく。

お前がこのことを知っていたなら、元カノもカルフォルニアに行くこともなく、今でもお前のそばにいかもしれんしな。残念じゃった、なぜなら、お前は、彼女の前前世の約束の人だったのだから‼」

∑(๑ºдº๑)!!



老子さんは、にっこりと微笑むと、「また何か疑問があれば質問してこいっ‼」といって姿を消してしまいました。

バイバ~イ!!

はっと目覚めた僕はゆっくりと身体を起こすと、一枚の紙を手にしていることに気づきます。その紙には次のような言葉が書かれていました。


「老子のツィート」

老子さんが残していったこの一文を読み終えたとき、元カノの笑顔が浮かんできて、僕の頬には一筋の涙が流れ落ちたのです。

(╥_╥)


つづく。


*この記事は架空の老子さんと「僕」の脳内会話のフィクションです。なお、文中の行書体で書かれている文章は老子さんの超訳本である「老子 あるがままに生きる」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から引用させて貰っています。


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アキタロウ
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