ユウナという名の猫 記録と記憶-Link47 少しでもポジティブに
脊椎へ進行しているので、これ以上の手術は出来ない。
今日明日でどうこう、はないだろうが1年は持たない。
でも幸運な事に、他臓器への転移は認められない。
ショックではあったけど、知る事で少し安心できた。
そして処置が終わったユウナが診察室へきた。
先生も笑うほどの豹変再び。w
猫は目が悪いと言われるけども、全然見えてると思う。
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帰り道はタクシーではなく、
「お家に帰ったら美味しいご飯食べよう」
「今日はよく頑張ったねー」
などとユウナに言いながら、歩いて駅まで。
電車に乗り、キャリーの中でまた現実逃避を始めるユウナを撫でながら
先生に言われた言葉について考えていた。
1.これ以上の手術は出来ない ー
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おそらく原発は腸骨。
そこから仙骨へ進行し、脊椎へ到達したのだと考えられる。
ほとんどは切除で寛解するんだけど、
出来たところが悪かった。
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かかりつけに言われた「仙骨への浸潤」という言葉と、
2度目の手術で切除された場所、
そしてCTを診てくれた先生の言葉から考えて
おそらくこういう状況だったんだろうと思う。
※画像の上が頭側
こうなった以上は
痛み止めをしながら進行に任せるしかない。
というネガティブではあるけれど、
もうこれ以上ユウナの体を切らなくていい。
そして
また怖い思いをさせなくていい。
というポジティブに捉える事にした。
これからは多少の通院はあれども、基本的に家にいる事になる。
ユウナからすると、
一番知っていて一番落ち着く環境である事は間違いない。
2.今日明日でどうこう、はないだろう ー
これは救いの言葉だった。
あまりにも早い進行のため、毎日
この次の瞬間にもしかしたら・・・
と、何も出来ないもどかしさに、ただひたすら狼狽えるしかなかったから。
そして少し気になったのは 「一年は持たない」 という表現。
もちろん1年以上生き延びて欲しいのは山々。
でも「脊椎へ進行」しているということは、
今後神経への影響が出てくる可能性もあるはず。
うまく逸れてくれればいいけれど、先生の言い方から考えて、
おそらく最大半年ぐらいなんだろうな、と思った。
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寂しくて悔しいけれど、
毎日神経をすり減らすほどにうろたえなくても、
まだユウナと一緒にいられる時間は確実に残っている
という事実の方に目を向ける事にした。
3.他臓器への転移は認められない ー
これも嬉しかった。
つまり、内臓は元気。
気力がついてくるどうかは別として、美味しいご飯を食べることもできる。
それに物も見えるし聞こえるし、鳴くこともできる。
ユウナには私の声が聞こえるし、ユウナの声を聞くこともできる。
そういった意味での「いつも通り」の時間ならまだ過ごせる。
「狼狽えるポイント」がまた一つ減った。
今後の投薬についてなど、詳しいことはかかりつけの病院へ伝えてくれるそうなので、難しい事は心配しなくていい。
「分からない」という荷物が降りて、少し楽になった。
でもやっぱり ー
いわゆる「寿命」まで一緒にいたかった。
長女であるナナは乳腺腫瘍を患い、その影響から12歳で旅に出た。
ユウナはまだ10歳。半年後の10月になれば11歳。
ナナよりも長生きして欲しいから、
さらに1年、というのはわがままにも程があるのだろうか。
キャリーに手を入れてユウナを安心させるために撫でながら、
ユウナの様子を見ようと俯いたら涙がこぼれた。
ー続ー
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