#62 はじめに 〜 宮沢賢治の事ならば、長い間の謎でした【宮沢賢治とエミリィ・ディキンスン その0】
○ はじめに
今日は賢治が亡くなった日。
私にとって、世の中の大概の事は謎なのですが、その中でも、宮沢賢治の事ならば、長い間の謎でした。そして未だに謎なのです。宮沢賢治のほとんどを、理解できている気がしません。
賢治好きだという人にその魅力を尋ねても、納得できる回答を貰った記憶がありません。たとえばその相手方が専門家だったとしても何か違う。見当外れのような気さえします。まして「貧しい一農民として、農業に身を捧げた賢治が好き」と言う人に出会うと、もはや「賢治好き」とは何なのか?と、考え込んでしまいます。
そんな謎の賢治についてひょんな事から調べ始め、何故だか19世紀アメリカの詩人、エミリィ・ディキンスンとの関係を探り、突風の吹く早池峰やら、夜中の出羽三山を彷徨うことともなりました。
こんな体験を誰かに伝えても不審がられ、その間に起きた不思議な出来事の数々は他言すべきでない事にも思われます。
とは言いつつ、私自身が、そんな経験も忘れつつあり、また、身近な人には「文章にするべき」とおっしゃる方もいて、とにもかくにもまとめてみようと思った次第です。しかしながら、論文でもなし、旅行記でもなし、どんな形式が相応しいのか?と思っていると、時間だけが過ぎていきます。
まずは書き始めねば、と思ってまとめ始めたのが、これから書く文章です。どんな中身になるのやら、どこへ終着するのやら、全く不明な原稿であること、お許しいただければ幸いです。
言い訳ばかりが続くため、これではさっぱり始まらぬので、四の五の言わず書き出すよう、気合を入れようと思います。
(続く)
2023(令和5)年9月21日(木)