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記録 2000年12月30日 洞窟探検家テッドの記録 Ted the Caver (2)
著者より:
わかりやすさのため、これからの記述は2色で表示していきます。灰色の文字は当時つけていた洞窟探検日記からの直接の引用で、青色の斜体は現在振り返って書いた感想です。
この不思議な体験での考えや感情を、できる限り正確にお伝えしたいと思います。関係者の実名は使用せず、日記の関連部分はすべて掲載します。探検後の食事や買い物など、洞窟での体験に直接関係のない部分のみ省略し、その箇所は簡単にまとめています(私の日記はかなり詳細に記録していたため)。
体験をできるだけ正確に伝えるため、日記は書いたままの形で掲載することにしました。文法的な間違いなどもそのままにしてありますが、ご容赦ください。感想部分で適宜補足説明を加えていきます。
ノートではテキストの色分けに対応していないため、残念ながら原文のように翻訳文を色分けして表示することができません。そこで、私の解決策として、グレーの原文を太字で、青色の作者の感想を通常の文字で表示することにしました。
記録 2000年12月30日
正月前に最後の洞窟探検をしようと、Bとミステリーケイブへ向かうことにした。特に際立った洞窟ではないが、しばらく探検から遠ざかっていた私たちには、どんな洞窟でも良い機会だった。今回は少しワクワクする目的があった。洞窟の下層部に小さな通路があり、その先に進めるか確認したかった。入口は狭いが、強い空気の流れが吹き出していた。通り抜けるには明らかに狭すぎる通路だったが、その中を覗いたこともなかった。午後3時までに装備を詰めて出発。Bは速い運転を好むため、驚くほど早く到着した。いつもの木にアンカーを設置し、洞窟への下降を開始。私が先に降りて装備を整える間、Bが続いた。
これから何度もBについて触れることになる。私たちはここ数ヶ月、洞窟探検を共にしている。彼は数年前に洞窟での事故で怪我を負い、二度と歩けないと言われた。しかし、懸命な努力と不屈の精神で、歩けるようになっただけでなく、洞窟内でも自由に動けるようになった。難しい場所では少し時間がかかることもあるが、必ず乗り越えていく。どんな障害物に直面しても、克服するまで諦めない。
先ほどの洞窟の小さな開口部について。洞窟探検家の間には「風が吹けば、道は続く」という言葉がある。つまり、通路に強い空気の流れがあれば、その先を調査する価値があるということだ。
私たちは穴を調べるために下に降りた。穴は洞窟の最深部近く、洞窟壁の側面にあり、床から約1メートルの高さにあった。中を覗くには、岩の張り出しの下に身をかがめなければならなかった。
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予備のライトで穴の中を照らしてみると、興奮する光景が広がっていた。穴の周りの壁は3-5インチほどの厚さで、狭い通路へと続いていた。穴のすぐ内側で通路は少し広がり、3~4メートルほど這って進める空間が続いていた。その先は大きく開けているように見えた!どれほどの広さなのかまでは分からなかったが。ここは未踏の通路かもしれない(この経路を通った人は明らかにいないが、反対側から別のルートがある可能性はある)。
這い進める空間に到達するには、まず入口を広げる必要があった。現在の穴は私の拳ほどの大きさしかない。入口を抜けても、広い空間に出るまでは窮屈な這行が続く。大変そうだが、やれそうだと思った。
私たちは暗闇の中で数分休憩を取り、攻め方を考えた。そこで座っていると、通路の向こう側から風が唸る音が聞こえてきた。低く不気味な音だった。時折、低いゴロゴロという音も聞こえたが、気にするほどのことではなかった。この洞窟は大型トラックが行き交う幹線道路の近くにあり、その振動が岩を伝わって響いているのだろう。
最善の策として、コードレスドリルを洞窟に持ち込んで岩に穴を開け、ブルピンと小型のハンマーで岩を砕くことにした。比較的単純な作業に思えた。穴を体が通れるくらいまで広げて、向こう側を確認する。装備を穴まで運ぶのは骨が折れる作業だが、やる価値はあるはずだ。
私はこの通路をフロイド・コリンズにちなんで「フロイズ・トゥーム(フロイドの墓)」と名付けた。フロイドが人生最後の惨めな日々を過ごした窮屈な空間に似ていたからだ。
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フロイド・コリンズは1900年代初頭の洞窟探検家で、狭い通路で身動きが取れなくなり、自力で脱出できずに亡くなった。この驚くべき出来事は「Trapped: The Story of Floyd Collins」(たしかこのタイトルだと思う。著者は覚えていない)という本に詳しく記されている。この通路を「フロイズ・トゥーム」と名付けたのは、フロイドへの敬意を表すとともに、その通路の狭さを物語るものでもあった。
今から思えば、こんなに簡単だと思っていたことが滑稽だ。数時間の作業で通り抜けられると考えていたんだから。これほどの時間がかかると知っていれば、きっと始めてさえいなかっただろう。そして、この洞窟で経験することになる出来事を知っていれば、絶対に戻ることはなかった。
装備を集めて地上へと向かった。普段なら、この洞窟に戻る気など全くなかっただろう。特別な洞窟ではないのだから。だが今は、戻って通り抜けることに心が躍っていた。洞窟を出る前から、次の探検の計画を立て始めていた。
(日誌の残りの部分は、洞窟からの登り、夕食、帰宅についての記述だった)