無ければ作る。
どんなモノであっても、
売っているモノのうちに満足できるモノがあれば、
それに越したことはない。
しかし、
満足できない場合はどうするか。
私はいつも、
作れるモノは作ってしまう。
洋服のためにミシンも使うし、
師匠が亡くなって久しい革細工歴は30年近くになる。
今回は手帳カバーだ。
文庫本カバーなどでもそうだが、
売っているモノはそのサイズ用であっても、
ある程度のゆとりがあるものだ。
私が欲しいのはビタビタサイズなのだ。
だから作るしかない。
それだけのシンプルなことだ。
一枚革で作る。
こんな贅沢な革の使い方は、商売ではしないであろう。
サイズ感が重要である場合、
加工は最低限に抑えたい。
部材と部材が重なる厚みすらも、
使い勝手に影響が生じてしまうためだ。
仕上げには軽くオイルを入れた。
しかし本当の仕上がりは、
何年も使い込んでいったその後である。
色や艶が深みを増し、
傷も付き皺も刻まれていく。
金では買えない歴史を共に過ごして、
ようやく仕上がるのだ。
今回の写真はGR3x、
そしてfp+ultron75mmf19
で撮影しました。