多裂筋を効率的に活性化する方法とは?
多裂筋は脊椎の安定性を維持し
腰痛予防に重要な役割を果たす筋肉です
しかし
長時間
同じ姿勢での作業や運動不足などにより
多裂筋が弱体化しやすく
それが腰痛の原因となるケースも少なくありません
しかし
従来の体幹の安定化運動では
多裂筋だけでなく
体幹の大きな筋肉である
最長筋も一緒に活性化してしまうため
多裂筋をピンポイントで
鍛えるのが難しいとされてきました
今回は多裂筋の活性化の論文から
ピンポイントで多裂筋を鍛える方法を
紹介します
多裂筋を効率的に活性化する方法
研究内容
この研究の目的は
体幹安定化運動中に腰椎前弯を大きくすることが
多裂筋の活性化を促進するかどうかを調べることでした
具体的には以下の2つのことを検証しました
腰椎前弯を大きくすると、多裂筋の活性化は増加するのか?
腰椎前弯を大きくすると、最長筋の活性化も増加するのか?
研究方法
13名の健康な参加者を対象に
6種類の体幹安定化運動を
中立姿勢と腰椎前弯を大きくした姿勢の
両方で行った。各運動中の多裂筋と最長筋の活動を
筋内電極を用いて測定した研究デザインはANOVA
研究結果
多裂筋の活性化
腰椎前弯を大きくした姿勢では
中立姿勢と比べ多裂筋の活性化が約6%高くなった最長筋の活性化
腰椎前弯を大きくした姿勢でも
最長筋の活性化には有意な変化は見られなかった
多裂筋を活性化するため具体的な方法
論文では
以下の6つの体幹安定化運動が
例として挙げられています
これらの運動を
腰椎前弯を意識して行うことで
多裂筋の活性化を促進することができます
四つ這いでの反対側の腕を上げた足上げ
膝をつけたサイドブリッジ
伏臥位での足上げ
伏臥位での体幹上げ
可変角度のローマンチェア 15°
可変角度のローマンチェア 45°
まとめ
この研究では
腰椎前弯を大きくする姿勢キューイングが
多裂筋の活性化を促進し
なおかつ
最長筋の活性化には影響を与えないことが
示されました
腰痛のある人へ腰部伸展の運動は
腰椎の椎間関節と椎間板への圧迫力が大きくなり
腰痛を悪化させる可能性のあると
その運動を避けがちです
しかし
この論文を見ると
前弯を大きくした状態で
運動を進めると最長筋の活性化が増加しないため
圧迫力は必要最小限に抑えることができるかもしれません
腰痛があるから
前彎をさけることはしがちですが
考えさせられます
また
運動中の腰椎伸筋の活性化を促進するため
使用される他の方法も研究されています
Leeらの研究ではこの研究とは対照的に
脊柱起立筋の活性化を増加させることなく
腹部のくぼみを大きくすることで
多裂筋の活性化を 4% MVIC 増加させました
今回参考引用した論文は
https://www.jospt.org/doi/10.2519/jospt.2016.6174