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仙腸関節の評価方法
仙腸関節の障害は腰痛の原因となります
また仙腸関節は上半身と下半身の荷重伝達に
重要とも言われています
では仙腸関節が腰痛の原因となっているか?
仙腸関節の機能に問題がないか?
を確認するにはどうすればいいのでしょうか?
今回は論文から
仙腸関節のテスト方法を紹介します
疼痛誘発テスト
仙腸関節由来の疼痛かどうかを確認するための方法は6つあります
以下の方法をいくつかテストすることで
疼痛が仙腸関節かどうかを確認します
テストは痛みが出るので注意して行いましょう
1ディストラクションテスト
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ディストラクションテストは、脚を伸ばした仰臥位で行う。
検査者は患者の上前腸骨棘(ASIS)に手を置き、
SIJに向かって外側から圧力を加える。
クロスオーバー・グリップを用いる方法も(下図)。
SIJに患者の症状が再現されれば、このテストは陽性である。
感度 60
特異度 81%9
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2大腿スラストテスト
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この検査は、患者が仰臥位で両脚を伸ばした状態で行う。
検査者は患者の横に立つ。
対側の患者の脚を股関節90°屈曲位にして膝を曲げ、片手を検査側のSIJの下に置く。
曲げた膝を大腿骨から検査側のSIJに向かって縦方向に圧迫する。
検査した側のSIJに痛みが再現されれば陽性である。
感度 88
特異度 69%
3圧迫テスト
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圧迫テストは側臥位で行われる。
患者は症状がない側を下に横たわり、股関節45°、膝関節90°屈曲する。
検査者は患者の後方に立ち、両手を患者の腸骨稜の上前面に置き、垂直に圧迫する。患者の症状が再現されれば、この検査が陽性である。
感度 69
特異度 69%
4仙骨スラストテスト
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このテストは、患者をうつ伏せにし、検査者は両手をS2レベルの上に置き、前方に圧力を加える。SIJに痛みがあれば陽性である。
感度 63
特異度 75%
5パトリック(FABER)テスト
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パトリックテストはFABERテストとも呼ばれ、股関節の屈曲、外転、外旋を表す。
患者は仰臥位になり、検査者は被検側の脚を股関節45°、膝関節90°に屈曲させる。
この姿勢から屈曲した脚を側方に倒す。
反対側の腸骨稜は骨盤が回旋しないように固定する。
別の検査法として、患者の外側の足首を対側の膝の上に置く方法もある。
検査された側のSIJの痛みは検査が陽性であることを示すが、この痛みは股関節に限局した痛みと間違えないようにする。
感度 69
特異度 16%
6ゲンスレンレスト(骨盤捻転テスト)
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患者は仰臥位になり、非検査側の下肢を胸に引き寄せ固定する。
検査者は大腿骨遠位端に圧力をかけ、下方に押して股関節をわずかに伸展させる。検査されたSIJが痛みがあると陽性である。
感度 53
特異度 71%
触診テスト
触診テストにて仙腸関節の機能を確認します
3つのテストをここでは紹介します
7立位前屈テスト
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患者はまっすぐ立ち、検査者は親指を上後腸骨棘(PSIS)に置く(図上)。
患者にゆっくりと前屈してもらい、その間に検査者はPSISに置かれた親指を観察する(図下)。
検査している親指が患者の屈伸の最中、あるいは屈伸の終わりに同じ高さに留まらなければ陽性である。
この所見はSIJの機能障害を示している。
感度 17%
特異度 78%
8ジレテスト
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患者はまっすぐ立ち、検査者は検査する側のPSISを触診する。
もう一方の親指はS2棘突起の上に置く。
その後、患者は検査側の脚を股関節屈曲90°上げる。
SIJの機能が正常であれば、PSISはS2の高さの下に下がる。
これが起こらない場合、あるいはPSISが最小限の低下しか示さない場合、検査は陽性となり、SIJ機能障害を示す。
感度 43%
特異度 68%
9シンピプローンテスト
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患者は伏臥位となる。
検査者は患者の片方のASISの下に手を置き、検査脚を15°伸展させる。
患者のASISが下に置かれた検査者の手から持ち上げられれば、検査は陽性とみなされる。
ASISが検者の手にかかる圧力が増加した場合、検査は陰性となる。
感度 82%
特異度77%
Clinical examination of the sacroiliac joint
テストの解釈
疼痛誘発テストの個々の信頼性はあまり高くありません
そのため複数のテストを組み合わせて実施します
1から4のテストの2つ、もしくは疼痛誘発テスト6つ中3つであれば
仙腸関節由来の疼痛の予測因子となり得ます
1つも痛みがなければ仙腸関節由来の痛みではないと考えられます
Diagnosis of sacroiliac joint pain: validity of individual provocation tests and composites of tests
一方触診のSIJの検査には、立位屈曲テスト、ジレテスト、シンピプローンテストなどがあります。
これらはSIJの機能障害を指摘することを目的としています。
触診が、非常に重要な要素であります
問題となるのは、SIJの動きが非常に限られていることです
そのため、疼痛誘発テストと触診テストでは
触診テストの妥当性が疼痛誘発テストよりも低いと見られています
Shimpi Proneテストの有効性は感度82%、特異度77%と
高い値を示しているので、仙腸関節の機能低下がみるには
このテストがいいのかなと考えています
まとめると仙腸関節由来の疼痛がどうかを確認するには
疼痛誘発テスト1から4を実施2つ以上か確認し
仙腸関節の機能低下があるかどうかを確認するには
Shimpi Proneテストを実施
腹臥位ではやれない場合などは他の触診テストも実施する
という感じでやるといいのかと思います